「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

鹿の増加と植生変化

2010年08月28日 | 自然・環境
 うちの村は人間の数よりも鹿の数の方がはるかに多く、畑の被害なども多いという話はたびたび書いているが、被害というだけでなく、家の周囲からオニユリやユウスゲ、オオバギボウシ、オカトラノオ、カワラナデシコ、ツリフネソウなどの花がすっかり消えてしまったり、少なくなってしまったりしていて、風景としても寂しいし、今年の10月に名古屋でCOP10が開催されるので、よく言葉が聞かれるようになった「生物多様性」という点でも、すごく問題なのではないかなと思っていた。最近は6月ころまで、まるでちゃんと草刈りをしているかのごとくに草が伸びない。夏になると、鹿が好きではなさそうな草だけ背丈が伸びて、あとのところはやはり草丈が低いままの状態だったりしている。あと、耕作を休んでいる何年間かの間に、毎年植生が変化しているのが感じられる。2~3年ほど前に、一面の菜の花畑(といっても、外来種のカラシナ系の雑草)になったかと思うと、次の年には鹿に食べられて、花が咲く時期がずっと遅れて、量的にも激減した。このまま鹿の増加に対して、有効な策が打てないままでいたらどうなるのかというのは、農業被害だけでなく、本当に切実な関心事になっている。
 今日は伊那谷自然友の会の生物講座で、「ニホンジカが増加した20年間に何がどう変わったか」と題した講座があったので、話を聞きに行った。残念ながらこの地域の話ではなくて、奥多摩あたりの話が中心だったけど、奥多摩で鹿の高密度化によって出現が大きく変化した植物として、減少種の中には、やはり共通するなと思うものが多かった。遷移度とか、やや難しい話も多くて、分かりにくい部分もあったけれど、中型・大型の、要は目立つ草本類が減っているみたいだ。減るものだけでなく、新たに鹿の好まない植物が増えたりもするので、多様度指数という点では、調査地の中ではあまり変わらないところもあったけれども、アヤメが消えてしまった櫛形山では、多様度指数が大きく減っていた。ここらも櫛形に近いのではないかという気がする。
 明日は、尾高山・シラビソ峠周辺を実際に歩いて観察するとのこと。