「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

耕作放棄地

2007年06月03日 | 自然・環境
(バイオエタノールの話からの続きです。そんな食料とエネルギー事情の中で、日本を見てみると) 
 今、日本の耕作放棄地の面積は、なんと埼玉県の面積に匹敵するほどらしい。実際、うちの村でも、過疎化で人が去り、だれも耕す人もなくなったところは至るところにある(うちの周りの畑も今一部しか作付けしていないけど、これは一時的なもので、いずれまた畑に復帰したいとは思っている)。でも、こんな条件のよくない山の中の田畑でなくても、もっと条件のよいところでも、耕作が放棄されているところがたくさんあるのだろう。
 日本の食料自給率はカロリーベースで40%というのはよく言われる話で、これだけ耕作放棄地がありながら、食料、特に家畜の飼料など大半を輸入に頼っている状況は、どう考えても食料安全保障上も問題だと思うけど、何ら有効な手だてもないまま、農山村からは若い人が流出し、高齢者ばかりが残された農山村では、年々耕作放棄地が増えていく(前項のバイオエタノールの原料だって、よその国の食料を奪わなくても、日本の耕作放棄地に作付けすればいいんだと思うけど、とにかく耕す人がいなくなって放棄されている状況が改善されなくては、それもありえない)。今、自給率が高いお米だって、田んぼの担い手は高齢者がかなり多いはずだから、何もせずに手をこまねいていたら、どうなっていくか分かったもんじゃない。
 日本は資源がないとよく言うけど、中国の人が飛行機で日本に来たら、上空から見たら、日本の山は色が違う。山に木がたくさん生えていて、至るところ水が豊富だ。水不足の中国から見たら、日本が資源がないとは言えないと思ったという話も聞いた。
 木質バイオマスを有効に利活用する方法だって、いろいろ開発されつつある。第一次産業がもっと大切にされて、農山村で今利用されないでいる資源(耕作放棄地や森林など)がもっと活用されれば、日本はすごくいろいろなことが変わりうるのだろうと思うけど、現実には今、都市と地方の格差といった言い方でいわれているのは、完全に都市型の価値観の話のように思う。そうではない別の尺度を持った農山村の価値が、もっともっと大切にされて理解されてほしいものだと思う。人間が生きていくのに最も基本的かつ不可欠な食べ物を生産するのが農業等の第一次産業であり、その現場が農山村なんだから。
(久々に農業絡みの話を聞きながら、つらつら思ったことです)
 

バイオエタノール

2007年06月03日 | 自然・環境
 最近マヨネーズの値上げがニュースになっていた。要は、地球温暖化絡みなどで最近急速に推進されているバイオエタノールの原料にトウモロコシなどが使われるため、食用油の値段が高騰しているためらしい。これは日本だから、今のところマヨネーズの値上げ程度のニュースで済んでいるけど、例えばトウモロコシを主食としている人たちにとっては、大変な問題だろうと思う。トウモロコシの需要増で高く売れるため、大豆など他の作物を作っていた畑でトウモロコシへの転換も起こっているそうだから、他の食料も不足して値上げになってくることが考えられるし、畜産の飼料にも輸入トウモロコシが大量に使われているから、畜産製品の値上げもそのうち起こってくるだろう。また、食用でなければ遺伝子組み換え作物がばんばん作付けされるだろうから、遺伝子組み換えでないトウモロコシなんて本当に貴重品になってしまうかもしれない(トウモロコシの花粉はかなり広範に風で飛ぶらしい)。
 食料かエネルギーかといったら、当然食料の方が優先されるべきだと私は思うけど、それにしても、カーボンニュートラルで、一見「地球に優しい」と思われているバイオ燃料も、実は今、相当いろいろ深刻な問題をはらんでいるみたいだ。まして、熱帯雨林を破壊して、アブラヤシのプランテーションを造って、そこから作ったバイオディーゼルを遠方まで運んだりしたら、全くカーボンニュートラルどころじゃなさそうだ。
 地球温暖化絡みで出てくる話の中には、本当にそれが環境のために良いのか、持続可能性を持つものなのか、疑問に思えることが幾つもある。地球環境をこれ以上悪化させない取り組みそのものは重要だと思うけど、何が本当に優先されるべきなのかはよく考えないといけないなと思う。
 気候変動そのものは地球の46億年の歴史の中で繰り返し起こってきたことだし、種の大絶滅だって何度も起こっていることだ(ただ、それを人間の身勝手な営みが加速しているのは、もちろんよくないことだと思うが)。そこまで長いスケールでなくても、ネイティブアメリカンの人たちがいう7世代先の持続可能性ぐらいは考えて、より本質的なところを見ていく視点も必要だと思う。