「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

手仕事の値段

2007年04月16日 | 手作りあれこれ
 先週の土曜日、雨も朝のうちに上がり、昼前からは晴れてきて、
桜も七分咲きぐらいに咲いてきて、にぎやかに「さくら祭り」が行われた。
昨日の日曜日もよく晴れて、たくさんのお花見のお客さんでにぎわったことだろう
(今日は一転して、雨降りの肌寒い日だけど)。

 今年も機織りの人たちが作品を並べ、


その横には桜の花びら柄など創作手拭いの大鹿さくら組さん、


その横には授産所の人たちが写真のようなスピンドルで紡いだ毛糸と、
その糸で編んだ帽子やベストなどが並んでいた。



機織りのグループでは、細い糸を染めて、手間暇かけて織った作品を
小さな敷物なら何百円の単位、ショール等やベストに仕立てた作品でも
何千円の単位で売っていた。
自分たちで草木で染めた糸を使って織った作品なんて、本当に膨大な手間が
かかっているけれど、お土産に買っていただくのに抵抗感の少ない安目の
値段設定にしている。

一方、授産所の人たちの編んだベストなどは万に届く単位で販売していた。
このようなお祭りの場では、この値段ではとても売れないだろうと思うけど、
原毛を購入して、皆さんに労賃を払ってやっていたら、やはりどうしても
ある程度の値段になってしまうという。

中国が世界の工場といわれ、日本の国内の製造業は空洞化といわれ、
人件費の安い中国やベトナムなどにどんどん製造業が出てしまったけれど、
それと全く同じで、本当に日本の国内の手仕事にまともな手間賃を払っていたら、
到底それらの国々で作られてくる物に価格的に太刀打ちできない。
鮮度や安全性が問われる食品なら国産のアドバンテージははっきりあるけれど、
(伝統工芸ではない)手工芸品となると限りなく難しい。
趣味で作って、売れたらもうけものぐらいの感覚ならいいかもしれないけど、
それを仕事=確実な収入に結びつけるのには、技術の熟練に加えて、
よほどデザインなどにオリジナリティのあるものでないと無理だろうと思う。
あるいは、売り方、売る場所のプロモート等々に相当工夫が要るだろう。
なんて話を、授産所の友達としばらくしていた。

でも、せっかく村の中で動き出した試みなので、何かうまいこと知恵を出し合って、
似たような試みをしている人たちどうしが協力し合って、
村の産品の一つとして、いい形に成長していかないかなと思う。