おっさんひとり犬いっぴき

家族がふえてノンキな暮らし

片雲の風にさそわれて

2017-03-16 14:55:03 | 福島

 雪はすっかり溶けたが、冷たい風が吹いている。それでも外出するときには冬物を着る気にはなれず、少しくらいの寒さなら我慢して歩き回っている。足元には踊子草やホトケノザがピンクの花を咲かせ、ツクシの子が顔を出し始めた。

 春の気配があちこちに漂い始めると、土の下の虫ばかりでなく、僕の尻の下あたりももぞもぞし始める。

 家の中でじっとしていても、旅人のように時間は僕の前を通り過ぎていく。お役所の制度というのは、大体において地元に定住するのを前提としているが、この世には生涯を旅に暮らす人たちもいる。大昔、アフリカで誕生した人類は、移動を続けてきた生き物とも言える。雲が流れていけば、漂泊の思いが強くなるのは、遺伝子に深く刻まれた記憶が騒ぎ出すのだろうか。

 身の回りを片付け、靴を新調したら、風の向くまま気の向くまま、出かけてみようかな。

 なんてことを考えながら、芭蕉さんの「奥の細道」の書き出しを、僕なりに口語訳してみたりする。

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