白菜と大根がたくさんあるので、晩御飯は久しぶりにすき焼きにした。
すき焼きには、関東風と関西風があるというのを知ったのは成長してからだが、改めて考えてみると、食べ物に関してはいつまでもローカル色というのは残しておいてもらいたいと思う。通信機器や交通手段の発達で、日本中が画一的になるというのは、実につまらないからだ。
ちなみにすき焼きの場合、大雑把に言って最初に割り下を用意しておくのが関東風、順次味を見ながら調味料を足していくのが関西風。うなぎの蒲焼の場合は背開きが関東風、腹開きが関西風で、一度蒸してから焼くのが関東風、いきなり焼き始めるのが関西風。お雑煮は切り餅でしょうゆ味ベースが関東風、丸もちで白味噌ベースが関西風。これからの時期に食べる桜餅も、小麦粉をクレープのように焼いてあんこを包むのが関東風、道明寺粉であんこをおまんじゅうのようにくるんでしまうのが関西風。ところてんも関東は酢醤油だが、関西では黒蜜となる。中華料理だって、天津飯は関東がケチャップを使うのに対して、関西は甘酢だれになる。おいなりさんだって関東は俵型で関西は三角と何かと対抗しているのだ。
僕の場合は、若い頃東京の学生だった親父と、関西出身のお袋のせいで、料理により関東風になったり関西風になったりする。おお、まるでバイリンガルな帰国子女のようではないか。