昨日、芭蕉さんの「奥の細道」を取り上げたのは、出発が「弥生も末の七日」となっていたからで、現代語訳すれば三月二十七日となる。ちょうど今くらいは、旅の準備に忙しかったのかななんて想像していたが、考えてみれば昔は太陰暦と言って月の満ち欠けを目安として1年360日だったで、今とは全然時期がずれてしまっているということだ。1年で5日以上ずれれば、6年でひと月季節が早くなってしまう。そこで、うるう月というのを入れて、同じ月が二回ある年を作っていた。
ということなので、「奥の細道」の出発を改めて調べてみると、なんと五月の中旬ということらしい。文章には春霞だの雛人形だの出てくるから、遅くても四月くらいと思っていたら、なんと季節はほとんど初夏ではないか。芭蕉さんは、一年でも一番気持ちのいい時期に、おそらく真っ青な空を見上げて出発したのだろう。「片雲の風に誘われて」って、初夏の風だったのね。なんか、イメージが違うな。
さて、福島はようやく日一日と春らしくなり、そろそろカタクリやニリンソウなどのスプリング・エフェメラルが地面から顔を出す日も近いんじゃないかと思う。もしかしたら今日にでも、とカメラを持って朝の散歩に出かけたが、花どころかそれらしき草も見つけることはできなかった。
それでも朝日が昇ると日差しの暖かさを感じるようになった。
ツクシの子が顔を出し始め、福寿草の花が満開を迎えた。
雑木林のてっぺんではアトリの群れが、朝日に体を温めている。
地面に落ちた木の実や、土の中から出てきた虫を探して、野鳥たちが歩き回っている。