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随筆 都会の真ん中に見つけた僕の宝物   文科系

2022年01月21日 16時01分02秒 | 文芸作品

 名古屋中区に近い千種区の境界辺り、築六〇年の我が家の庭には松柏などは皆無で、花木、果樹ばかり。一九年前に亡くなった母の好みを受け継いだと言えば聞こえ良いが、母が生きていた頃は連れ合いと二人で、亡くなってからは僕も加わって最低限の手入れをしてきた「自然風の庭」である。と言っても建物面積を引いた図面上は五三坪の多くが南向きだから、木々も相応に大きくなる。さて、この庭に近年いろんな宝物を「見つけた」。

 まずはキュウイや巨峰葡萄の実。畳一畳ほどに広がったジャムを作る柚の木。そして、今年は金柑酒を作ろうしているその木は僕の身長の倍近い高さで一坪以上に広がっている。これらすべてを相当楽しんできたが、どっさりと実が成って独特の甘さが美味しいキュウイの方は残念ながらその木の猛烈な「乱雑さ」に閉口して、十年ほど前に涙を呑んで綺麗に伐採してしまった。すると、そのキュウイなどに圧倒されていた一重咲きの極薄ピンク梅が久々にどっさりの実を付け始めた。それまでの倍などというものではなく、剪定してもなお一坪ほどにびっしりと広げたそのすべての枝にほぼ満艦飾なのだ。母を習って連れ合いが細々と作っていた梅酒が急に増え始めて、数年前の十一月には一シーズンに三リットルほどが飲めるようになっていた。それから間もなく、僕らの代で持ち込んで実が成らないと信じ込んでいた濃いピンクの丈高い八重咲き梅にもいきなりどっさりの実がなり始めたのは、どういうわけなのか。

 さて、ここでわが連れ合い、懸命に梅酒の研究に努め始めた。そして昨年、彼女お得意のネット検索から見つけ出したのが、僕の大好物、ブランデー入りリカーを使ったブランディー梅酒のレシピである。この梅酒は、ホワイトリカーつまり焼酎だけのものよりも、味に丸みと深みが出る。梅と葡萄の味と香りがうまく溶け合ったうえにアルコール臭も消してくれて、年代物スピリッツのような趣が生まれるのだ。これも半分含めて去年十一月には実に八リットルも出来上がったから、僕が遠慮無く飲み親しい人に贈呈しても、この一月末現在まだ三分の一ほどが残っている。
  そしてこの新春、連れ合いがネットで「日本酒梅酒」なるものを見つけてきた。これによって、今年十一月から先には、三種の梅酒が飲めることになった。

 そんなこんなのこの新春、僕は庭に出ては、自分の背丈の倍以上に伸びたピンク八重咲きの枝にびっしりとついた花芽などが日を追って膨らんでくるのを確かめている。今年六月の枝を想像しているのだ。

 

コメント (2)
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