新年に当たり、僕のランニング論を一通り描いてみたい。色々学び、考え、やってきたその内容をこの4つに分けて。走れる価値。60歳以上でも意外に走れるようになるもの、その方法。最も疲れない走り方。走るための故障対策と栄養。これらは、59歳にランニング入門をし、現在月160キロほど現に走っている今年81歳になる僕が、この20年で学びつつ行い、ここに書いてきたことのまとめになります。
・走れる価値
歩く、走るという人間の活動は、「人の下半身は、突き出た心臓である」とよく言われるように、人の心肺機能(血管も含んだ血流の強さ)とともに前進あるいは後退していくもの。長い速歩きを含んで走れる高齢者は若く、活動年齢が長くなります。肩や腰が凝らない。血流が強いと免疫力も高いのでたとえば虫歯にもなりにくく、酸素を最も多く消費する脳が若い要件にもなるのだし、男性の性機能の要件にもなるはずです。
・高齢者が走れるようになる方法
先ず、20分できるだけ高速で歩く。これはウオームアップの意味を持ち、以降も走る日はまず毎日必ずやるべきものです。アップ無しで走ると、立派なランナーでもすぐに疲れて走れなくなります。20分アップで心拍を高めた後、それよりも遅いスピードで走ってみます。たとえば、時速6キロで20分歩き、5・5キロ時でなんとか先ず10分走る。そして、この後の方10分の走行距離を日に日に延ばしていく。その時その人が持ち合わせた走力(歩行力)にもよるが、週2~3回の割りでこの努力をしていって、この10分が30分にできればもうしめたもの、スピードアップも含めて立派に走れるようになります。ただし、できるだけ早く30分(速歩き20分プラス30分ということ)走れるようにするには、スピードは上げないこと。30分走れるようになれば、以降は自然にスピードは上げられるのですから。
スピードは、このように上がっていきます。5・5キロ時30分を何日も走っていれば、その速度での心拍数が次第に下がってきます。そしたら、前の心拍数までスピードが上げられます。この心肺機能強化にはLSD理論というものがあって、自分の7~8割の走力でゆっくりと長く走るほど心肺機能が強化され、それとともにもっと速く走り続けられるようになると教えています。
・疲れない走り方
後ろ足を蹴ってから前に出しすぎるような「跨ぎ走り」は、疲れます。つまり余分な力を使い、足の着地時間が長くなる不合理な走り方です。専門家はこれを「ブレーキが掛かる走り方」というようです。人の身体に合った正しい走り方は、前脚、膝を伸ばし気味にして膝下アキレス腱と踵で地面をぽーんとつついて得たその反発力で重心、腰を前に持っていきます。これはちょうど、スキップの2歩の内、膝が伸びて着地時間が短い方のあの軽く弾む1歩ばかりのような走り方と思っていただけば良いかと思います。
・故障の防止と栄養
ウオームアップをしないで走り出すと、老人は特に、膝が故障します。走り初め20分の速歩きはそのためのものと上で言いました。
また、走り始めて付いてきた筋肉を柔らかくして故障を防ぐためにも、下半身のストレッチが特に必要です。ラジオ体操の該当する下半身の色んな形を一つ15秒以上やりましょう。
片脚爪先立ち(各20回)やスクワットなど、筋肉痛が起こるような弱い部分の補強運動も適宜やると良いと思います。
栄養ですが、特に活性酸素対策が必要です。これは、運動で多く取り入れてしまう酸素とともに身体に入ってくる活性酸素が、最悪の細胞老化物質で、癌の原因にもなるからです。相撲取りや短距離ランナー、自転車選手、ボクサーなどが早死になのはこれが原因と今ではもう分かっています。この活性酸素を中和してくれるのがファイトケミカルと呼ばれるポリフェノールなどの物質。緑黄色野菜に多く含まれています。専門医学者が考案した「最強の野菜スープ」のことがこの手記の360回目(去年の7月11日)に書いてありますから、参考にして下さい。これの出し方は、こうします。右欄外今月分カレンダーの下の「バックナンバー」と書かれた年月欄で「2021年7月」をクリックします。すぐ上の今月カレンダーがその月の分に替わりますから、その「7月11日」をクリック。するとエントリーランがその日の分だけに替わりますから、お読み願えます。この活性酸素対策と有酸素運動のランニングとが揃って初めて、その人の細胞、スタイルはいつまでも若く、顔色など美容などにも良いというわけです。
最後ですが、日本ランニング学会会長のお医者さんが日独米などのマラソン大会一般参加者の何年かの記録分析からこんな結論を出した文章を紹介していました。19歳から27歳までは記録が伸びて、以降50歳までの平均記録はほぼ横ばい。50歳から下がり始めるが、19歳と同じ記録になるのは実に64歳である。つまり、毎年の63歳の平均記録は19歳のそれよりも速いと出ているのです。その高齢者達というのも、週3回1時間程度のランナーが多く、4分の1は5年以内の初心者ということでした。つまり、人間の身体は60過ぎても走れるようにできている。ネコ科チーターのような短距離型ではなく、イヌ科の長距離型なのであると、そのように読んだものです。二本脚長距離型というこの奇形哺乳類は、確かに脚腰を悪くあるいは老化させやすく、すると心肺機能もあっという間に衰えていくものだ、とも。