一級建築士事務所 サトウ工務店

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金物工法、断面欠損

2016年12月10日 | 栄町の住宅

先回に引き続き、構造の話です。
弊社の建物は、金物工法であるテックワンを標準としています。




現在の木造軸組み工法には、接合方法が大きく分けて2タイプあり、

一つは、受け側の木に欠き込みをつくり掛け側の木を差し込む方法。


そしてもう一つは、このテックワンの様に金具を介して接合する方法。


単純にどちらが良い悪いということはできませんが、前者のデメリットに「断面欠損」があります。

当然、床や屋根の重さを支えられる様に、計算して梁のサイズが決まるのですが、
その梁に欠き込みを作った場合、耐力が著しく落ちるんです。

例えば、梁にこんな↓加工がしてあった場合
(大きな梁だと1本の梁に相当数こんな欠きができます。)


この梁が105㍉×240㍉というサイズだとすると
曲げ強さを表す断面係数Zが50%以上も低下します

許容応力度計算を行ううえで教科書となる「木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2008年版)」
いわゆる「グレー本」より↓


Z=1008.0→466.4 つまり46%くらいの曲げ強さになってしまいます。

その点、接合部を金物にするテックワンなどの工法は
この梁や柱の「欠き」が最小限ですみます。

これが弊社がおすすめしている理由です。
それでも10%くらいの低減はありますので、ちゃんと低減して計算します。

梁だけじゃなく柱もこんな↓に見るからに欠損の量が違います。


もちろん、それを見越してサイズを大きくしたり補強したりすればOK
でも、そもそも許容応力度計算をしていないと、どのくらい低減するのかさえわからずにスル~

長期優良住宅の認定は、この許容応力度計算さえすれば簡単に取れるので
「構造計算はするけど長期優良住宅の認定は取得しない」という建築会社の理由がわかりません。

この回も構造マニアの施主様は喜んでくれたかな・・・


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