一級建築士事務所 サトウ工務店

自然素材を使い省エネと快適性をデザインする 新潟の家

ご紹介頂きました。モテ期かも。

2016年08月29日 | 佐渡(さわたり)の住宅


佐渡(さわたり)の住宅を Daily-Lives-Niigata にてご紹介頂きました。
#004 のどかな土地に立つ、大きな屋根の家 http://daily-lives-niigata.com/2016/08/28/004/

竣工写真→ http://www.sato-home.co.jp/works/details_07.html

本物件は竣工してもうまもなく2年が経過。
ここにきて[モテ期]の到来です

まずは、今回のDaily-Lives-Niigata の依頼。
(新潟での自然体の暮らしにスポットをあて、日常生活の中での住まいのあり方を紹介しているサイトです)

次に、来月発売の雑誌の取材依頼
(特集記事に取上げて頂きました。一週間ほど前に取材は完了 記事の仕上りが楽しみ

また更に、ここ最近のお客様から評判がとてもよく「佐渡の住宅の様なプランを」とご希望される事も非常に多くなっています。

竣工時もそれなりに評判は良かったが、ここに来てより評価が上がってきたのはとてもうれしい
確かに取材の立会いで久しぶりに訪問したが、私が言うのも何なんですが、とても素敵な住まい。

弊社にしてはやや大きめの住まい。(大きめといっても40坪ですが・・・)
細々した仕掛けや装飾は排除し、大雑把でフレキシブルな空間がド~ンとあるだけ。

ご家族がその時々ライフスタイルに応じて工夫して使って下さいね。
あとはおまかせしますねって感じの設計。

ちょっと他力本願的なプランですが、ご家族にとってみれば逆に型にはまらず自由に使え、
○○風でも△△調でもない空間は、シンプルに肩の力を抜いて過ごせているようでした

竣工時


竣工時では「サッパリしすぎて物足りないかな~」「生活感がなさすぎかな~」などと思われた家も
暮らしが始まる事により、(様々な物)や(さし色)により彩られて、現時点でのこの家族の色になってきた。

現在(取材記事より)



当社の物件はとても個性的な住まいが多い。でも、これは当社の個性ではないんです
その立地条件やそのご家族の個性なんです。

設計者の趣味趣向を押付ける。もしそうなってしまうと・・・
[個性]ではなく偏った好み、つまり[癖]となってしまいます。

[個性的な住まい]と[癖のある住まい]は、紙一重です

間違っても、癖のある住まいは作らないぞ 改めて肝に銘じます




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住宅と自動車。匠の技。

2016年08月27日 | 下保内の住宅


私がブログ更新をサボっている間にも、下保内の住宅工事はサクサクと進んでいます。




断熱工事ちゅー



屋根(このまま天井にもなる)に高性能グラスウールを[充填] 上棟の時に充填した付加断熱と合計で、235㎜になります。(このあと気密シートで覆います)

そこそこの厚みだが、実はそんなに費用をかけないで、もっと厚くもできます。
計算上のスペック(性能)を単純に上げたいのなら、平らな天井にして、その上に断熱材をたっぷり敷き込めばいいのです 簡単です。

でも、当社では単純に厚み増す事よりも、この[充填]する事にこだわります
(というか、隙間を作らない事にこだわります。)

天井の上に乗せた断熱材。ほんとにきれいに隙間なく敷かれているのでしょうか?
点検やメンテナンスなどで、天井裏を除いた事がある人はわかりますよね

天井上には天井の下地はもちろん、それを吊っている吊り木や梁、ダウンライトの出っ張りや電線などなど様々な障害物がたくさんある。隙間なく断熱材を並べるのは至難の業。


確かに、たくさん断熱材を乗せれば計算上の性能は良くなります。
でも、その断熱材に隙間があったら計算通りの性能は絶対でていません

気密測定すれば、隙間があるかどうかわかります。 でも、これはあくまでも気密層の話
断熱材の隙間は、残念ながら数値には出てきません
どんなに大きな欠損があっても数値では出てこないんです・・・ 

そこで、当社ではなるべく隙間の出来にくい施工方法として、タルキ間に断熱材を充填しています。
(壁面と同じ考えですね。) 
ですので、必然的に屋根のタルキを利用した充填断熱となるケースが多くなります。

もし、天井断熱するなら、桁上などに平らな床を作りその上に断熱材をきれいに並べるか、たっぷりと吹き込みする方法がよさそうです。(厳密に言えば桁上断熱ですけどね)


もちろん計算上の性能も大事です。当然です! しかしその計算通りの性能が実際に出せるか?は、施工の方法や施工する職人の技量にかかってくるのです。

どうしても、わかりやすい[スペック]での競争と、なってしまいがちですが、数値にばかり気を取られていると大事なところが見えなくなってしまいます。


実は、自動車のように完全なオートメーションで作られるような物でも、一部の高性能な車種ではその道を極めた限られた職人いわゆる[匠]によって、エンジンなどが組立てられています。(当然、安い車は作れません

部品も道具も作り方も全く同じだけど、作り手によって大きく差が出るということなのです

住宅と自動車は違うかも知れません。
でも、工場ではなく現場で作る手作りの住宅だからこそ、その差は大きくでると思います


昔の住宅と違い最近の住宅では本格和室がなくなって、大工の匠の技の見せ所がなくなったと言われます
でも、本当は断熱や構造など見えない所にこそ、その技を存分に発揮して頂く必要があるのです





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セルフビルド、DIY、まんなみ設計室とは・・・

2016年08月19日 | 建築

先日、柏崎のまんなみ設計室さんの新築現場を見学させて頂きました。



代表の堀井さんとは、けっこう長いお付き合い。
この方、今まで様々な設計事務所や建築会社を渡り歩き、いよいよ満を持しての事務所の開設となった。
ハイセンスな設計には定評のある建築士さんです。

だけどこの人、つかみどころがないというか、ちょっと変わっている
よって、開設した設計事務所ももちろん変わっている

私もまだイマイチ飲み込めていないのだが、簡単にいうと
[自分の家は自分で建てよう]それをお手伝いする設計事務所です。って事みたい・・・ 

もちろん、素人が全部出来るわけではないが、出来ることもたくさんある。
施工する楽しみを味わいながら、コストも落せれば。って事らしい。


そして、さっそく自邸の(半)セルフビルドが開始したわけ。
大変なんだろうけれど、けっこう楽しそう

定期的にワークショップなども開催し、興味のある仲間を集め、
塗装したり、外壁を張ったり、土台敷きまでしたとの事。

この外壁もワークショップで素人の方々で張った 



私にはこんな発想はなかったが、う~ん 確かに楽しそうである。

設計事務所をはみ出して施工会社に片足を・・・
いや、職人にまで片足を突っ込んじゃった。って感じ

確かに[作る]楽しみはよくわかる。それが自分の家となるとなおさらなのだろう。

内装の塗り壁をDIYで施主様にして頂く。っていう話は最近よく聞く。
もっぱらコストダウンと、後のメンテナンス対策。

しかし、内装の仕上げ工事というのは、新築工事のほんの一部でしかない。
もっとたくさん出来る事がある。

高い技術が求められる専門的な工事は、専門家に
少々ラフな仕上りでも許容される部分は、素人で楽しみながらコストダウン。

施工会社によっては、それを面倒がられるかも知れないが
まんなみ設計室さんと一緒に手を組んでいる施工会社は、その辺はとても理解があるみたい。

見学させて頂いた自邸は、確かに以前と変わらずにハイセンス
しかし以前とは違い、いい意味で[力の抜けた]感じ 
なんとなく潮風の香りがする そんな感じの自然体の家かな。



この自邸は秋頃に完成するとの事。
完成したら、また見せてもらおっと。





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耐震性と断熱性の両立、等級の違い

2016年08月10日 | 下保内の住宅

下保内の住宅は、上棟後早々に外周部に耐力面材モイスが張られました。
弊社では、外周部にはなるべくスジカイは使わずに面材のみの耐力壁とします。



外周部にスジカイを入れないのは、断熱材を隙間なく充填するためです。
スジカイがある所は、こんな風に断熱材の充填作業を行います→ 充填断熱 筋交い部の施工

実際にやってみると、残念ながら熟練した大工さんでもこんなにきれいに出来ません 

しかも、実際には筋交いがダブル(たすき)にかかっているケースや、スジカイ金物、ホールダン金物などもあり、
本当に隙間なく充填するのは、ほぼ不可能 

そこで、弊社ではなるべく壁の中はスジカイなしのカラッポとし、断熱材がスッキリタップリ充填できる様にしておきます。
(内部間仕切り壁には、不足分と偏芯率を補うためにスジカイが入ります。)



「じゃあ、サトウ工務店は耐震性より断熱を優先させてるの?」
いいえ、とんでもありません 耐震性は手を抜きません。

本物件も耐震等級は最高の3をクリアしています 
新潟では積雪を考慮していますので、積雪のない地域の等級3よりもウンと強い耐力になります
(地震力は建物重量に比例するので。)

耐震性能の等級による違いは、
等級1は、建築基準法の性能
等級2は、等級1の1.25倍
等級3は、等級1の1.50倍

ザックリわかりやすくいうと、
等級1は、普通の住宅
等級2は、長期優良住宅や避難所となる学校校舎
等級3は、地震時に「絶対に倒れてはいけない」消防署や警察署の耐震性能です。

弊社の近年の物件は、ほぼこの「絶対に倒れてはいけない」等級3をクリアしております

これは、優れた耐力壁モイスのおかげもありますが、なんと言ってもプランニングがポイントなのです。
プランが整っていないと、どんなに強い壁や床で補強しても、等級3はおろか等級2のクリアも難しくなります。

そういった意味では、弊社の建物はユニークな間取りだったり、思いっきり開放的だったりするけれど
ものすごーく安定していて合理的な構造を持っているという証拠になります。



「長期優良住宅の等級2をクリアするためには、プランが制限されてつまらない家になるのですすめません
などと言っている建築士は、明らかに設計力不足です。
(ちょっとえらそうに言いすぎかな・・・

[外周部での耐力面材]、[内部間仕切りでのスジカイ]、この使い分けは
耐震性と断熱性を同時に高めるための、一つの工夫です。

他にもいろんな工夫をしていますが、けっこう長い説明が必要となりますので
また機会があればご紹介します。

さて、弊社も明日から夏期休業に入ります。
期間:8/11(木)~16(火) 17(水)からは通常営業となります。

それでは、皆様よい夏休みをお過ごしください





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竣工写真でWEB見学会、量産できないワンオフの住まい

2016年08月06日 | 花園南の住宅

[花園南の住宅]の竣工写真が仕上がってきましたので、数点の写真を使ってWEB見学会といきましょう
(一気に紹介するので、ちょっと長くなるかも・・・

カメラマンはいつもの山岡さん 。とても良心的なお値段でサービス満点のカット数。センスやテクニックはもちろん言うまでもありません

まず、ファサード。
の前に 上空から俯瞰で見てみましょう。



とてもユニークなカタチ。基本は切妻屋根だが対角線上に棟をとっている。
真南に向けてポッカリ穴か開いて、ウッディーな中庭が見える。



でも、どうしてこんなカタチなのか?
まず、家の南側半分で、冬の日射をリビングに取り込みつつ、隣家の視線をカットできる屋根のボリュームを導き出し
次に、それを単純に南北対照的なボリュームとする事で対角線上が棟の切妻屋根となった。
そんなカタチなんです。(ちょっとうまく説明できない
普通は[平面で間取りを考えてから、立面におこし屋根をかける]が、今回はその逆。


次に地上に降りて、前面道路から見ると・・・



三角屋根が特徴的。平面的には真四角の家なのに、なぜかどこから見ても三角形△
EN GARDEN WORK 提案のシンボルツリー 針葉樹のトンガリ具合が絶妙にバランスをとってくれています。



雨樋、TVアンテナ、エアコン室外機、電力メーター、引込電線など本来あるべき物を見せないこだわり。 
おかげで全く生活感のない超スッキリファサード。良い意味で住宅っぽくない。 
高さはほぼ平屋。周りの住まいよりずいぶんと低く抑えられている。



環境配慮型の建材である木毛セメント板仕上げのビルトインガレージ
その中に玄関口。そうです 玄関もただの入口と割り切ってしまえば、高価でゴージャスな玄関ドアは不要
他のサッシ同様にガラスのドアでOK。断熱性も問題ない。
玄関の明り取りも兼ねられるので別途に窓は不要コストダウンに。


内部に入ると、家の中心で明るい中庭がキラキラって迎えてくれる。



微妙な中庭の切取り方で、リビングへ冬期の日射はシッカリ取入れ、隣家からの視線はカットしている 
大きな開口部、ウッドデッキ、植栽もプライバシーがシッカリ確保されてこそ有効になる。
人目を気にしてカーテンを閉める生活だと、それらの意味は半減
この家なら、お庭でもリビングでもストレスがなく開放的に暮らせる。



中庭は、完全なプライベート空間。
日光浴、BBQ、お子様のプール遊びなど、全く人目を気にせずに楽しめる。
ウッドデッキの桧の香りも充満していて気持ちいい


屋内は外観の形がそのまま表現されている。



壁には天然素材のモイス オープンハウスでは端材をバスマットにしてプレゼント。たくさん作っておいたのであっという間に終了 ほしい方はまたの機会に(弊社のお客様なら随時受付)
天井も弊社定番になりつつあるシナベニアの[突付け張り] 過去記事   
一般的にシナベニア張りは追加費用がかかるが、弊社ではモイスからの変更になるのでコストダウンとなる。
特にナナメ天井の場合は、壁と同じモイスとするよりもベニア系に変更して頂いた方が、意匠も納まりも良くなる。施主様にとってはコストも落せる。一石二鳥。

オリジナルキッチンも壁と同じモイスで作ってある。炊飯器の蒸気、食品や調理の臭い、ゴミ箱の臭いを解消し、未乾燥の食器や調理器も気にならない。 
作りはいたってシンプルだが、とっても機能的なキッチンである。

ナナメのナナメに上っていく天井空間をより活かすために吊下げられたペンダント。
取付け部分のリーリングは、出っ張りがなく超スッキリ。オリジナルで作った
プロの方はけっこう気になっていたようだ (マニアックな所に気付いてくれるとウレシイ)

間取りでなくボリュームを先行した結果生まれた特異な空間。廊下巾に対し極端に高い天井。
バランス的には住宅ではなく美術館っぽい。ここでもオリジナルのペンダントが活きてくる。



そしてバックヤード。
洗面脱衣室、サンルーム、クローゼット、納戸が一つになった多用途ルーム。
脱衣→洗濯→物干し→収納と、家事がこれ以上ないくらいラク この奥には寝室入口がある。
部屋数を減らし、収納棚や家具などの作り込みは最小限としコストダウン 後は施主様に工夫して使って頂きます



また、この部屋自体が裏動線にもなっているので、寝室や子供室からリビングを通らずに入浴や身支度が出来る。
例えばご主人のお友達が夜遅くまでリビングで飲んでても、奥様やお子様は気にせずサッサとお風呂に入ってお休みできます


寝室は1階なので基本的には平屋生活となる。
子供室だけが2階(といってもガレージ上なので中2階) 
低くしぼられた天井や平面的なナナメ壁。トップライトからは青空、雲、星が見える。
お子様の想像力や思考力も養える楽しいスペース。



このように吹抜けや変形がある建物は耐震性が気になりますが、ここは全然心配いりません 耐震等級MAXの3をクリアしています。地震の時に[倒れていはいけない建物]警察署や消防署の耐震レベルです。
(長期優良住宅はその下の等級2でOK。基準法は更にその下の等級1)

ある建築士の方が「長期優良住宅などで耐震等級を上げるのは、設計の自由度が制限されるので積極的には勧めない」と言っていたが、誰のために勧めないのか?
本物件を見て頂ければお分かりだと思うが、十分に自由な設計は可能だ。
耐震性、間取り、デザインなど全てを同時に解決する設計力があればね

外観もユニークなら内観もユニーク。
これはまじめに[ストレスのない快適な暮らし]を求めた結果です。
表面的なデザインのこだわって設計したって、快適性は担保されない。
この場所でスタンダードな住まいが本当に快適なのか?
立ち止まって真剣に考えてみればわかるはず。

意味のあるカタチがそのままデザインとなる。 私はそれがすごくカッコイイと思います。
表面的に取り繕った流行のデザインは、きっと数年もすれば陳腐化してしまいます
何年経ってもこの家のカタチの意味は残るので、何年経ってもカッコイイカタチであり続けるはずです。

この立地条件でこのご家族が快適な暮らしが出来るように一生懸命に考え一生懸命に作った
量産できないワンオフ(一点物)の住まい。 ようやく完成しました




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