認知症の父の介護生活をもとに「ロング・グッドバイ・ダディ」を著した中島京子さんは、父は大学を定年後、やることがなくなったときから、物忘れが目立ってきたといいます。それなら、やることをつくればよいのですが、これがなかなかの難題のようです。
定年後、「毎日が日曜日」になると、周囲の人たちの行動を観察すると、喫茶店に行ってモーニングコーヒーを飲みながら、スポーツ新聞を読んだり、喫茶店仲間らとだべったりする▽パチンコで遊ぶ▽図書館で雑誌を読んだり、映画をシルバー割引で見たりする、といったところでしょうか。
パチンコは勝てばよいですが、大負けしたら小遣いがすっ飛んでしまいます。私はパチンコをすると、肩こりに苦しむようになり、40代でやめました。映画も毎日見るわけにはいきません。喫茶店仲間との雑談も、当たり障りのない話でしょうから、私はあきてしまうことでしょう。
そこで、私は整骨院を始めました。人を雇わない一人院長の自営業ですから、やめたくなったら、いつでもやめることができます。体力が続けば、75歳までやりたいと思います。加齢に伴い、体がどう衰えていくか、は初体験ですから、想定できません。体力的、技術的に無理とわかれば、そのとき閉院しようと思います。
老後をどう過ごすかは、人それぞれです。でも、時間は一人ではつぶれませんし、ひとりでにつぶれません。仲間や工夫、仕掛けが必要です。ですから、やることのつくり方も人それぞれで考えるしかないようです。