足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

波乱相場のなかでの材料をみる

2007-11-17 15:27:09 | 株式

昨日のニューヨーク株は3日ぶりに反騰した。しかし東京市場と同じように薄商いであり、相場の中味は株価指数が上昇した割にはよくはなかった。NY取引所、ナスダックとも値上がり1に対して値下がり2だ。週末ということもあって、トレーダーは休み中に「なにが出るかわからない」として手持ち玉はしないケースが多い。「なにが出るかわからない」というのは、サブプライム関連の問題である。

銀行、証券会社、ヘッジファンドの業界では8月以降、2兆ドル(220兆円)の信用収縮が出ている。株式市場から資金が流出している。

それでも今週はダウ平均+1.0%、ナスダック、S&P500+0.5%と波乱相場のなかでも、底値は固まってきたような感じも受ける。

1630億ドル(18兆円)を運用するLPLフイナンシャル・グループのクライントップは「株を買っている。相場がこれ以上下落する理由はどうみても考えられない」という。大手機関投資家の押し目買いの動きが出始めたようだ。

シスコ・システムズは、昨日、追加で100億ドル(1兆1000億円)の自社株買いを発表した。これまでの分を含めて620億ドル(6兆8000億円)である。世界最大の通信機器メーカーであるが、新興市場など海外で稼いだ資金を株式市場に投入する。米国資本主義のあり方を実践している。

ハイテクに注目する向きも多い。ヤフーが週末、急騰した。マイクロソフトによるTOBのウワサが出ている。グーグルに押されている市場を、マイクロソフトが奪回するための戦略がいわれている。

先週の後半は相場は大きく下げた。その時は12月11日の連銀FOMCでの利下げの確率(金利先物市場)は98%まで上昇していたが、昨日は84%になった。連銀のFOMCのメンバーであるR・クロズナー総裁が「現在の金利水準で充分だ。来年には景気は巡航速度にもどる」と語ったのが原因だ。専門家の間でも、どの指標をとるかによって、景気の感度が異なる。

世界の相場を左右するNY市場の波乱が続くかぎり、東京市場でも不透明感が払拭できないが、「株は安い」とみる向きも増えてきてることは確かである。

今週の東京市場は日経平均は-2.8%であったが、マザーズは+2.8%であった。


米国のゲーム市場は+73%の伸び・・・新興市場が好調

2007-11-16 17:50:08 | 株式

10月の米国の家庭用ゲーム機器の動向が発表された。

任天堂Wii519,000台、Xbox366,000台、PS3121,000台であった。ゲーム機器とソフトを合計した販売高は前年比+73%と大きく伸びた。ゲーム市場が季節に関係なく人気を集めるサイクルにはいっている。

追いかけてソニーが11月11日に終わる1週間のPS3の販売高が100,000台になったと発表した。先に$100の値下げをした効果がフルに現れてきた。今月下旬の感謝祭のショッピング・シーズンを前にして、早くも効果が出てきたようである。

ストリンガー会長は「ようやく転換点を経過した。製品に火がついた」と語ったという。

米国の業界では任天堂のWiiの供給不足がいわれている。それにしても今年のクリスマス商戦での目玉には3社のゲーム機器をめぐって様々な話題が巻き起こりそう。

日本では12月1日には任天堂の期待のソフト「Wii Fit」が出るが、もともとは米国のゲーム・フアンが「Wii Sports」で考えた遊び方を、任天堂がいち早く取り入れたものではないか?

ゲーム関連株の人気は年末にかけて市場の柱のひとつになる。

本日の東京市場では日経平均は下げたが、マザーズ市場はプラスで終わった。個々の銘柄では、まるでエマージング市場なみの上昇率がみられる。われわれは引き続き、新興市場の成長株の押し目狙いの戦法を進めている。


バフェットが動き出す

2007-11-15 17:53:38 | 株式
ウォーレン・バフェット(バークシア・ハザウェイの経営者)が中国株のペトロ・チャイナを売却したのはついこの間の話であったが、最近は猛然と米国株を買い始めた。新しいところでは中古車の小売販売の最大手カーマックス(KMX)で、1400万株投資した。 PER21倍、PSR(株価÷1株当り売上)0.63倍、ROE(株主資本利益率)15%という企業で、投資金額は300億円弱。株価は前年末の水準を下回っていた。バークシア・ハザウェイは保険の最大手のひとつで自動車保険の分野ではナンバー・ワン。 投資による収益とともに、グループのひとつに加えることとにより、事業の相乗効果を図うという狙いがあるのかもしれない。 この株だけではない。 ことしになってから鉄道株を買い始めたが、その後も買い増しを続けている。 また最近は、ダウ・ジョーンズ株も買い増したほか、バンク・オブ・アメリカ、USバンク・コープ、ジョンソン&\ジョンソン、P&Gなど、これまで持ち株の中核であった銘柄のポジションを増やした。 「多くの投資家が売りたくなったときに買う」という投資哲学を実践している。 バークシア・ハザウェイ株は昨日は$137,500と史上最高値を更新した。株価はバフェットの相場観を織り込んでいる。 ウォール街は泥沼から這い上がってきた。

バーナンキ議長をしのぐ影響力

2007-11-14 17:58:39 | 株式

ウォール街の1人の首脳の発言が世界の株式相場を動かした。

火曜日にメリルリンチが金融カンファレンスを開催したが、ゴールドマン・ザックスのCEOであるロイド・ブラックファインが「これ以上、おおきな評価損を出すことはない」と語った。現在の世界の株式市場がどんな状況にあるかを分析、市場心理を熟知した上での発言であったと思う。

この発言で金融株が大幅に上昇し、ゴールドマンの株価は+7.8%。売られていたハイテク株も軒並み大幅高になった。NY株の大幅高のきっかけになった。

連銀のバーナンキ議長以上の影響力を市場に与えた。

それほど世界の株式市場はサブプライム問題の影響を気にしていたといえる。とくに10月の決算発表で次から次へと大手金融機関の損失が相次いだために、「次は?」という魔女狩り的な市場心理になっていた。

この市場の心理を現したのが金利先物市場での利下げの確率の変動だ。10月31日の前回のFOMCで0.25%の利下げが行われたあとは、先物市場では12月の利下げの確率は50%であった。

しかし先週末には利下げの確率は100%にまで上昇していた。ウォール街はそれぐらい、金融市場に不安感をもっていた。ロイド・ブラックファインの発言が相場を動かし、年末高に向かっての新しいトレンドをつくるきっっかけになった。

昨日、決算発表したドワンゴ(3715)に注目している。ことし3月に正式にはじめた動画のSNS「ニコニコ動画」が急速な伸びをしている。会員は5月に100万人、9月に300万人、そして11月13日に400万人を突破した。

グーグルが昨年、YouTubeを1800億円を投じて傘下におさめたが、動画のSNSは「Web2.0」の成長分野である。

それにこれまで収益力化していなかった家庭用ゲームソフトも軌道に乗ってきた。任天堂のDS向け「ポケモンダンジョン」シリーズは同社との共同開発。これからWiiやXbox向けに力を入れる。

インターネット関連の復活銘柄だ。


成長企業のための新市場が生まれる

2007-11-13 18:15:01 | 株式

本日はジャスダックに創設された新市場「NEO」がスタートした。

技術系のベンチャー企業のため市場である。これまでマザーズ、ヘラクレスに、ハイテク、ネット企業の公開は集中し、ジャスダックは安定性のある企業に、新規公開の企業の顔ぶれが偏りがちであった。ジャスダック市場から第2のヤフーや楽天を生み出そうというジャスダックの筒井高志社長の問題意識から生まれた。

新興市場は個人投資家が支配する市場である。個人には企業内容や、技術力など、到底、評価することは不可能であった。そこへ専門家の評価が加えられるのだから、足元の企業内容をみる上では大きな利点になる。

問題は成長力が株価形成の大きな部分をしめる新興市場銘柄だけに、現在の技術力が当面は成長に寄与する可能性はどこまであるかの評価がポイントである。

本日、公開された第1号のユビキタス(3858・NEO)は任天堂の人気商品DS向けが売上の90%弱を占める。

われわれは向こう2~3年間は任天堂のDSのソフトの伸びを考えて、PSR(株価÷1株当り売上)で評価している。