こうした中、ときおり無念ながら、物忘れもあり、自身を叱咤激励をする為に、
人生は気合いだ、と心の中で呟(つぶや)く時もある。
このような深情を秘めている私は、この記事は敬愛している医師・鎌田實さんのアドバイスと知り、
これまで高齢者の健康に関しては、私は多々の学んできた。
今回の《・・健康に長生きするための“きん・こつ・けつ”とは? ・・》って、
どのようなことなのですか、と真摯に学びたく、記事を読んでしまった。
《・・
佐賀県で『がんばらない健康長寿実践塾』、
通称『鎌田塾』を開き、健康的な食や運動習慣を伝えています。
2020年には佐賀県の女性の健康寿命が85.2歳となり、
長野県、大分県と並ぶ全国1位になりました(国民健康保険中央会発表)。
健康づくり運動を50年行ってきた鎌田さんがたどりついた、
健康のポイント“きん・こつ・けつ”について、同書をもとに詳しく教えてもらいました。
【写真】75歳には見えない!鎌田先生の元気なにっこり笑顔。他、長生きのカギ!鎌田先生が実践している牛乳を使った意外な料理
☆フレイルにならない!たん活のすすめ
年をとっても介護に頼らず、自分で生活を営むための秘訣は、
“きん・こつ・けつ”なのだ、と鎌田さんは話します。
きん=筋肉、こつ=骨、けつ=血管を若く維持し続けるコツから、
まずは“きん”について解説します。
◆女性は特に気をつけたい、筋肉が減る“フレイル”
鎌田さんによると、人間は40歳を過ぎると、毎年1%ずつ筋肉が減っていくそうです。
「筋肉が減ると、筋肉の衰えにより
心身の働きが弱くなるフレイルという虚弱症状が起こります。
65歳以上の8.7%がフレイルで、40.8%がプレフレイルという
フレイル予備軍というデータもあるほど、身近な症状なんです。
特に女性はフレイルの症状がある人の割合が高く、
70歳を超えると筋肉と骨が、ものすごく弱ってきます。
50代から気をつけておけば、その後の人生をより健康的に体を動かしやすくなりますよ。
筋肉をつけておけば、代謝がよくなり、太りにくい体にもつながります」(鎌田さん・以下同)
自身がフレイルに当てはまるかは、下記のチェックポイントで確認できます。
1つでも当てはまればプチフレイル、3つ以上当てはまったらフレイルの可能性が高い状態です。
□立つときに「よいしょ」と言う
□ペットボトルのふたが開けにくい
□以前に比べて疲れやすい
□前を歩く人を追い抜けない
□1年で体重が2~3kg減った
フレイルは放っておくと、要介護へとまっしぐらのリスクがあるといいます。
そこで、鎌田さんは、筋肉の材料であるたんぱく質を積極的に取る“たん活”をすすめています。
◆フレイルにならない“たん活”食事法とは?
鎌田さんによれば、“たん活”は肉、魚、野菜(豆類)などおなじみの食材でOK。
特に朝に摂るたんぱく質は、効率よく筋肉に変わってくれるそうです。
また、食間に“たん活”おやつを取り入れるのも、おすすめです。
午前10時や午後3時など、3食の間にこまめに摂るのが理想的。
「たとえば、果物やせんべいなど糖質が高く血糖値が上がりやすいおやつを、
たんぱく質たっぷりなものに、置き換えてみましょう。
ヨーグルトやチーズなどの乳製品やゆで卵など、冷蔵庫に常備できるものがおすすめです。
また、ナッツ類はたんぱく質が豊富な上に、
体によい脂質やビタミン、ミネラル、鉄分、食物繊維がたっぷりで、バランスのよいおやつになります」
☆骨粗しょう症は食べ物で防ぐ!骨を強くする食事
骨密度の正常値は80%で、腰や大腿骨のいずれかの骨密度が、
70%を下回ると、骨粗しょう症と診断されます。
骨粗しょう症の人は、全国で約1280万人おり、
60代女性では5人に1人、70代女性では3人に1人といわれ、
更年期以降の女性の割合が特に高いのだそうです。
骨密度が低下すると、くしゃみで骨折する人もいるほど、
骨の強度は、老後の健康に関わってきます。
また、眼窩(がんか)という目の周りの骨がくぼむと、
目尻にシワが寄り、クマができて、老けて見える傾向にあります。
◆骨を作るにはカルシウム!摂取時に気をつけること
75歳の鎌田さんの骨密度は、なんと135%もあるそうです。
では、骨密度の低下を防ぐには、どんなことに気をつけるべきなのでしょうか?
「骨を強くするためには、バランスのよい食事とこまめなカルシウム摂取が大切です。
カルシウムというと魚介類や乳製品のイメージですが、大豆食品や野菜にも含まれています。
また、カルシウムは尿や便として少しずつ排出されやすい栄養なので、
こまめに摂ることも欠かせません。
しらす干しなどの小魚は効率よく、手軽にカルシウムを摂取できます」
カルシウムが豊富な食材は、乳製品、大豆・大豆食品、野菜類、魚介・海藻類の4つ。
この4つの食品群の中から、最低2群を摂る“4群・2群の法則”を鎌田さんは推奨しています。
◆カルシウムだけじゃない!骨を強くする栄養
さらに、いくつになってもスタスタと歩ける強い骨を作るには、
カルシウムだけでなく、ビタミンDやKを一緒に摂取することも欠かせないそうです。
「ビタミンDには、腸管でのカルシウムの吸収率をアップさせる働きがあり、
ビタミンKは、カルシウムが骨に沈着するのを助け、骨を壊す破骨細胞の働きをおさえてくれます。
ビタミンDが多いのは、魚やきのこなどで、
一方のビタミンKは、発酵食品に多く含まれていて、納豆には特にたっぷり入っています。
海苔やわかめ、ひじきなどの海藻類にも含まれます」
また、骨を弱らせるリンには要注意。
体に必要なミネラルではあるものの、過剰に摂るとカルシウムと結合して、
体外に排出されてしまいます。
スナック菓子やインスタント食品、清涼飲料水などに多く含まれているので、
できるだけ控えるようにしましょう。
☆長生きの敵、血管の老化を予防するには減塩
血管が老いると、体の不調や恐ろしい合併症を引き起こす動脈硬化、
胸や手足に異常を感じる血管障害などを招きます。
鎌田さんは、若々しい血管こそが、長生きの秘訣だと話します。
◆血管老化度をチェック
「血管の老化度を測ってみましょう。
(最高血圧-最低血圧)÷3+最低血圧の値が、100を超えたら血管の老いの兆候があり、
動脈硬化が始まっている可能性があります。
ただし、最高血圧と最低血圧が150~90の間であれば、
薬に頼らず、食習慣の改善によって、血管を健康へと導くことが出来ます」
鎌田さんによれば、食事でまず工夫すべきは、減塩。
塩分の摂りすぎは、血圧を高めて、血管の老化に拍車をかけます。
また、野菜や海藻をたくさん摂ることもポイントです。
ほうれん草や小松菜、海藻類には、塩分を排出するカリウムが豊富に含まれているので、
積極的に摂りましょう。
さらに、抗酸化作用や抗炎症作用が期待できる、しょうがやスパイス類を活用するのも手です。
ちなみに、女性に多い低血圧は、気にしなくてもよいのだと話します。
「低血圧は、病気ではありません。
むしろ、80歳を超えても、動脈硬化になりにくい体質と言えるので、実はラッキーなんです。
とはいえ、低血圧でも血管が老化することはあり得ますので、
食事の意識はしたほうがいいでしょう」
◆牛乳が減塩料理の味方に!
日本人は、みそや醤油、塩を調味料としてよく使うため、塩分摂取量が多くなりがちです。
そこで鎌田さんは、いつもの料理に、牛乳を使うことをおすすめしています。
「牛乳を加えることで、醤油やだし、みそなどの塩分を減らしても、
コクや旨味が引き出されておいしくなります。
そのうえ、牛乳は、たんぱく質、脂質、炭水化物、ミネラル、ビタミンが
バランスよく摂れる準完全栄養食です」
たとえば、味噌汁のだしの半量を牛乳に、煮物の水を牛乳に置き換え、野菜を牛乳で茹でる・・・
といった工夫をすると、いつもの献立が減塩してもおいしく、
さらにカルシウムもプラスされて、骨密度アップにもつながります。
◆恐ろしい病気を引き起こす“ゴースト血管”の予防法
鎌田さんは“ゴースト血管”の恐ろしさも説いています。
ゴースト血管とは、血液が流れなくなった毛細血管のことで、
冷えやむくみ、肩こりなど日常的な症状から、
動脈硬化や高血圧、脳梗塞、さらにアルツハイマー型認知症の原因になるなど、
問題視されています。
「“ゴースト血管”を防ぐためには、抗酸化作用のある食べ物を摂りましょう。
緑黄色野菜の色素や赤い魚のアスタキサンチンには、抗酸化作用があり、血管の老化を防いでくれます。
より手軽に毎日の習慣に取り入れるなら、“シナモンコーヒー”がおすすめです。
シナモンやコーヒーに含まれるポリフェノールには、
強い抗酸化力や血管拡張作用があり、2つを合わせることで、さらに効果がアップします。
血管が広がって血流がよくなると、毛細血管が修復されてゴースト血管対策になりますし、
冷え性に悩む人にもおすすめです」
“シナモンコーヒー”は、コーヒー1杯にシナモンスティック1/10本程度を好みの時間漬けるだけ。
ただし、シナモンの摂りすぎは、肝臓に負担をかけるので、1日2杯までを目安にしましょう。
コーヒーが苦手なら、紅茶やハーブティーでもOK。
シナモンの代わりに、しょうがを入れてもよいそうで、
しょうがの辛味が強いときは、はちみつを入れて飲みやすくしてもOKです。
◆教えてくれたのは:医師・鎌田實さん
1948年生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業。
1988年に長野・諏訪中央病院院長に就任し、脳卒中の死亡率が全国ワーストクラスだった長野県で
減塩運動をスタートさせ、地域住民と公民館で食事をするなど「住民とともにつくる医療」を推進。
地域包括ケアのさきがけとなり、長野県を屈指の健康長寿県に導いた。
2005年より同院名誉院長に就任。
『医師のぼくが50年かけてたどりついた鎌田式長生き食事術』(アスコム)のほか、
実用書からエッセイまで著作多数。
取材・文/イワイユウ 撮影/黒石あみ ・・ 》
注)記事の原文に、あえて改行など多くした。