Y男の日誌

映画を見た、本を読んだ、どこに行った、何か考えたなどなどのY男の行動記録。政治の話題も。暇な時にしかアップロードしない。

入院生活

2011-06-12 21:37:25 | 病気・けが・入院
自分の場合の話である。

俺は今、M市のS総合病院の内科病棟に入院している。朝は主治医が回診に来る。5、6分程度話をする。検査数値がどうなったとか、今後はこういう治療を行うとか言って帰る。次に会うのは翌朝だ。看護婦達にいろいろ指示していくので、具体的な採血、注射や点滴、検査のための院内移動などは、内科の看護婦達が行うのだ。

しかし、検査やら治療なんてせいぜい一日に一時間くらいのものだ。そのひとつのイベントの為に留めおかれているのだ。貧血がひどいから外出はまだ許可されていない。

6人部屋の中は皆カーテンを締めていて、まだ顔もわからない人もいる。俺以外は糖尿病のようだ。彼らは、今日は何歩歩いた、という話を看護婦としているから、外出OKなのだろう。
歩く以外には皆何をしているのやら?
それぞれのベッドにTVはある。皆イヤフォンで聞いているし、コミュニケーションは無いから、部屋はいつも静かなのだ。おならの音がよく聞こえるのが不興。

俺は、昼寝も読書もするが、そんなに寝てばかりも本を読んでばかりもいられないものだ。ちなみに『ねじまき鳥クロニクル』(十数回目)、『プリンセス・トヨトミ』(初)を読んでいる。『ねじまき鳥』は、何度読んでもすぐに引き込まれる。特に間宮中尉の長い話のところはいつ読んでも面白い。
あとは看護婦達の目を掻い潜って時々外にタバコを吸いに行くぐらいだ(外出自体本当は駄目なのだが、黙認されている。救急病院なので24時間開いているのも助かる)。

一日に何度も体温と血圧と指先の酸素?を計られる。小便と大便の回数を尋ねられる。プライバシーなんて無いのだ。
昨日は、大腸内視鏡検査の前に下剤2リットルを飲まされ、体の中の物を全て排泄させられた。何度もトイレに行ったわけだが、3回目くらいの時、看護婦は、男性トイレに俺を探しに来て、便を見せろというのだ。
検査出来る様な状態か確認したかったのだろうが、俺はひどい屈辱感の中、ドアを開けて自分の排泄物を彼女に見せたのだ。彼女は犬や猫の糞を検分するように、平然とした表情でそれを眺めていた。

一日三食飯は出る。8時、12時、18時。味は薄い。無いと言っていい時もある。まずいのだ。この病院では、にんじんを細かく刻んで、他の野菜と和えたものがいつも一品出る。調味料は酢が薄められて使われている事が多い。これがこの上なく気持ち悪い。
俺は糖尿病でもないし、腎不全でもない。俺の食事に貼ってあるのは、常食という紙だ。常食でこの味の薄さなのだから、糖分や塩分をコントロールしなくちゃいけない人達の食事は、更なるまずさだろう。
しかし、変化が乏しい退屈な入院患者にとっては、この三食が待ち遠しくなるから不思議だ。

俺は大腸と胃の検査が続き、金曜日一日と土曜日の昼まで、一切飯抜き、飲み物も抜きだった。同じ病室の奴らは飯を食っているのに、俺には何も出てこない。その代わりに点滴ですよと、10時間も掛かる栄養たっぷり輸液が与えられた。これがあると、外にタバコを吸いにいけない。
昨日は輸液が速く落ちていくように調整してみたのだが、あまり速いと血管のあたりが痛くなるのだ。
入院時に俺の手首のところに、ヘパロックというものが取り付けられた。いつでも輸血や点滴や注射が出来るように、管が俺の手首の血管に刺さっているのだ。管は30センチくらい伸びて三股に分かれるようになっていて、普段は蓋をしてある。昨日は、ずっと点滴があったが、点滴の管がつながったまま、鉄剤の注射をしていた。鉄剤を流す時は、点滴の輸液を止めていたのだと思う。
患者は点滴や注射の度に、毎回いろいろな場所に針を刺されなくて良いのだ。ただし、点滴や注射をしない時もヘパロックは手首に刺さっているから、これが鬱陶しいのだ。管には血が滲んでいて、自分が入院している事を実感させる。

この入院で、病院のイメージは大きく変わった。
お見舞いにいくと、病院独特の消毒された臭いのほか、小便や風呂に入れない患者達の不潔な臭いを感じていた。それは死の臭いなのではないかと思っていた。
しかし、シャワー室があって、日曜日以外は使えるから、清潔さも保たれる。貸与のパジャマは毎日取り替えてくれるし、シャワーを使えない時は、濡れたタオルで体を拭かせてくれる。清潔さを維持しようとしているのだ。トイレの臭いもあるだろうが、薬品や食事のおかずの臭いが複雑に混じった不思議な臭いだったのだ。死の臭いではない。

また、看護婦達は、いつも明るくて優しい。患者が汚ならしい状態でもその態度は同じだ。昼の勤務があったり、夜勤があったり、不規則でかなり過酷な労働条件なのに、彼女達は責任感に満ち元気だ。
慈愛に満ちた笑顔をたたえ、常に前向きな姿勢で患者に接する彼女達は、まさに聖職者、白衣の天使である。容姿を問わず。
敬意を表したい。感謝してます。
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