絵はゴーギャン作。タイトルなどはわからない。タヒチであろう。
400ページ弱の文庫本だったが、読了した。非常に非常に面白かった。約90年前に書かれた作品である。
出てくる画家ストリックランドのモデルはポール・ゴーギャンである。モームがストリックランドを
はじめ登場人物を魅力的によく描いているし、ストーリーが面白い。この数日間で、モームとゴーギャンへの興味は僕の人生で最大値に高まっている。次もモーム作品だ。『人間の絆』の予定。
翻訳も良かったのだと思う。2007年に出た新しい、行方さん?先生の訳である。この先生はモームの研究家であり、『英文の読み方』とかの英語についての著作も多い。若いわけではないだろうが、現代的な言葉づかいで、滑らかな自然な日本語訳となっている。
ゴーギャンであるが、行方先生もあとがきで仰っているように、あくまでもモデルではあっても、モームの描くストリックランドとゴーギャンは違うらしい。証券会社にいたとか、タヒチに魅せられたとか、そのままを描いている部分があっても、国も違うし、性格もこの通りではなかったようだ。しかし、多くの人々がゴーギャンといえば『月と六ペンス』に描かれている人物像を連想してしまうらしい。僕も同じである。
さっそくゴーギャンについての本も買ってきた。ゴーギャンの著作『ノアノア』も買ってきてしまった。絵も見たい。タヒチにも行きたい。
非常に満足のいく読書であった。