ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

大震災からの立て直し

2012-03-20 09:32:35 | 社会

震災から1年が経過して、テレビではどのチャンネルに回しても震災特集という時期があった。しかし内容は物足らなかった。殆どが悲惨な災害を再現し、復興が遅れていることを指摘するか、芸能人が被災地の人達を励ますと言ったたぐいの報道であり、「どうするべき」という意見は殆ど無い。NHKは問題点は鋭く突いていた感じがするが、解答を与える役の評論家は「被災地の人達の生活が第一」といった抽象的な答えに終始していたように思う。

震災からの復興を議論する場合に重要なのは、この震災がまた来た時にどこまで対策を練った復興策にするかだろう。テレビなどでは震災は「また来るもの」と考えて津波で流された場所には住宅を建てない、というような意見が強い。それに対して反論するには勇気がいるのだが、私はあえて流された地域にも家を建てるべき、と言いたい。

海抜20メートル以下の地域には家を建てないとすると非常に広い地域が使えないことになり、実質的に街は成り立たない。今後100年は来ないであろう津波のために街づくりを放棄するのは現実的ではないと思うのである。考えるべきことは、仮に津波が来たとしても死者の数がはるかに少なくて済むような方策を考えることだと思う。例えば街に一つは10階建て以上の大きめのビルを建てて海岸に近い人たちはそのビルに逃げ込めるようにする、などである。個人の住宅は流されてしまうので経済的損失は被るが命は助かる、と言ったところを落とし所にするべきだと思う。

原子力発電に関しても同様である。こちらの問題は人類が大きな事故が起こったときに有効な対策を持っていないということが分かったので原発廃止論にはそれなりに強い根拠がある。しかし、やはり今後100年は起こらないだろう事故のために、原発をすべて停止するというのは現実的ではないと思う。実際これまで世界ではスリーマイル島、チェルノブイリ、福島と3度ほど大きな事故があったのだが過去2度の事故では原発廃止論にはつながらなかった。今回の事故の教訓で対策を強化するだろうから事故は一層起こりにくくなるだろう。原子力発電という技術を捨て去るよりは、事故が起こらないようにする、起こったときにも迅速に対処して被害の拡大を防ぐ、といった対策を考えるほうが賢明だろう。

それでも私は100年後くらいには原発は廃止するか、小規模なものにすべきだと思っている。それは原発の安全性というよりは地球温暖化の観点からである。このことは以前書いた。

問題だと思うのは日本国内で私が書いたような意見を言いにくい雰囲気をマスコミが作り上げていることである。実際の経済を考えると、そうしたほうが良いと思っている人が少なからずいるということは色々な動きから感じられる。それでも意見として言えないのは「命より経済が大切なのか」と言った原理主義的な意見に反論できないからである。そこで何となくごまかして実際の行動を決めてしまう、そうした社会の雰囲気は変えなくてはいけないと思う。