ウィトラのつぶやき

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日本政府の赤字は過大評価?

2010-03-07 05:39:42 | 経済

最近、日頃私がこのブログの書いていることに真っ向から対立するような意見を書いた論文を二つ読んだ。一つは日本の国債に関するもの、もう一つは小沢政治に関するものである。今回は国債のほうについて書く。

著者の意見は日本政府の国債残高は大幅に過大評価だというものである。日本政府の借金は長期、短期合わせて850兆円あるが、貯金も540兆円あるので、実質の借金は310兆円しかなく、GDPの60%程度である。これは欧米諸国と変わらず、むしろ健全なほうだろ言うロジックである。貯金の内訳は、社会保障の積立金220兆円、財政投融資220兆円、外貨準備高100兆円くらいだそうである。

なるほど、と思った。
IMFの統計などは借金だけを言っていて、預金のほうは言っていない。外国政府も預金がゼロの訳はないので、言いすぎだとは思うが、最近のギリシャの状況などとはだいぶん違うようである。

ギリシャの場合、政府が借金を返せなくなるのではないか、という不安感が大きな要因となっている。日本の場合、IMFに援助を求めるようになる前には、まず外貨準備を取り崩すだろうし、社会保障、財政投融資の準備金も絞る余地があるだろう。

この人の意見では、今の日本はまだ急に倒産するような状態ではないので、今のうちに財政出動して景気を回復させるとともに、増税して将来の収入を確保すべきだという。

いわゆる、特別会計の埋蔵金の話とはこういうことか、と思った。

しかし、社会保障費は当分の間増大することは確実だし、財政投融資だって引き上げたら倒産するところが出るだろう。社会保障費の準備金を下げれば、国民はますます将来に不安を抱き、お金を使わなくなるだろう。積極財政は簡単ではないし、効果も疑わしいと思う。

私は、積極財政を打ってお金を市場にばらまくよりも、国民に痛みを与えても国全体として非効率になっている組織を改造して効率的に行動できるようにするのが基本線だと持っている。その意味では何度か書いた公務員改革、それも一般公務員の改革が重要だと思っている。

それでも、ここ5年以内に日本がIMF管理下に入る、ということはなさそうだと分かって一安心した。