ウィトラのつぶやき

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オバマ政権は投資と投機を区別していない?

2009-06-10 08:41:23 | 経済

日経ビジネスにオバマ政権がベンチャーファンドの税率を上げようとしていてシリコンバレーが反発している、という記事があった。

その記事によるとオバマ政権はベンチャーファンドと普通の投資ファンドあるいはヘッジファンドとを同じように扱って税率を上げようとしているのでシリコンバレーを支えるベンチャーファンドに資金が集まらなくなっている、ということである。 もし事実だとするとオバマ政権は投資と投機を区別していないことになり、私の言っている「投資を奨励し投機を抑制する」はオバマ政権ではありえないことになる。

これまでの動きを見てそうかも知れないな、と思う。 オバマ政権が「大儲けは悪だ」という発想に立っているとすると、これまでのアメリカの方針の一大転換でありアメリカ経済は相当長い間立ち直れないだろう。

アメリカはこの20年くらいプロパテント政策、堺屋太一のいう「知価革命」を推進して製造業を放棄してきた。それがGMなどの自動車産業や、アメリカの通信機器メーカーの衰退につながっており、代わりにマイクロソフトやシスコがのし上がってきたことにつながっていると思う。

しかし、大儲けを許さないとすると重要な価値観はまじめに働いて小さいながらも付加価値をつける人を評価する、と言う体制になる。ヨーロッパ、特にドイツや北欧などはこの方針を貫いてきている感じがあり、これに中国、インドなどを加えた新興勢力がのし上がってくるだろう。

日本はどうかと言うと難しいところである。日本は本質的にモノ作りの国なので有利に働くはずだが、アメリカにならって価値観を変えてきたために製造業の足腰は相当に弱ってきている。ここから引き戻せるかどうかであるが、人の価値観を変えるには長い時間がかかるためこれまでの価値観が継続し、製造業の力が落ちていくのを食い止めるのは間に合わないように思う。

最大の問題はアメリカで、景気は底を打ってもなかなか回復せず失業率の高い状態が続く。オバマ政権は4年間で共和党に政権を取られ新しい共和党政権は再びバブルを目指す、と言うパタンになりそうである。同様な問題がイギリス、スイスなどにもあるのでこれらの国が結託して巻き返しを図るというパタンになりそうである。

今が大切な時期である。どうなるかじっくり見ていきたいと思う