備忘録として

タイトルのまま

イスラム国

2015-02-08 18:42:30 | 話の種

イスラム国の日本人人質事件以降、大使館から直接、あるいは商工会議所や日本人会を通して、私たち在留邦人に対し注意喚起のメールが送られてくる。「日本人,日本企業,及び,日本人学校等の我が国の関係機関や組織がテロを含む様々な事件に巻き込まれる危険があります。」と喚起し、「誘拐、脅迫、テロ等の不測の事に巻き込まれることのないよう、各地域の特徴を踏まえた上で、外務省が発出する渡航情報等及び報道等により最新の治安・テロ情勢等の関連情報の入手に努め、日頃から危機管理意識を持つとともに、状況に応じて適切な安全対策が講じられるよ心掛けてください。」と注意するものである。

シンガポール人の15%程度がイスラム教徒である。Religion in Singapore (Wiki)による。  街にはモスクが建ち、事務所にも敬虔なイスラム教徒の社員が何人もいる。隣のマレーシアとインドネシアは基本的にイスラム教を国教とする国である。インドネシアは世界で一番イスラム教徒の多い国で、どの町でも必ず夜明け前に詠唱されるコーランで起こされる。ここにはイスラム教が身近にある。

2002年インドネシアの観光地バリ島で起きたジェマ・イスラミヤ(JI)という東南アジアを拠点とするイスラム過激派によるテロ爆破事件では、外国人観光客200人余りが犠牲になりその中には日本人2名が含まれていた。オーストラリア人観光客が多く集まるレストランでの自爆テロで、2001年9.11後のテロとの戦いに協力的なオーストラリア人をターゲットにしたとされる。インドネシアでのテロはその後も続き、2003年はアメリカ系ホテルチェーンのマリオットホテルに爆弾を積んだ自動車が突っ込み、2004年はオーストラリア大使館、2005年は再びバリ島、2009年はアメリカ系リッツカールトンホテルがターゲットになった。2005年のバリの爆弾テロではまた日本人1名が巻き込まれた。シンガポールでは9.11の数か月後ジェマ・イスラミヤの活動員十数人が逮捕され、地下鉄駅の爆破を計画していたとして当時、大騒ぎになった。ジェマ・イスラミヤは東南アジアに西側の価値観ではない真のイスラム国家を樹立することを目的としているため、これまで発生したテロは、主にアメリカ系資本やアメリカ人やオーストラリア人など西洋人が多く集まる場所をターゲットにしてきた。

今、マレーシアとインドネシアからイスラム国に戦闘員として参加する若者が1000人を超えたことが問題になっている。イスラムの聖職者が、イスラム教に忠実であること、イスラムを敵とみなす相手との戦いは聖戦(ジハード)であること、それを実行するイスラム国に参加することを奨励することから、イスラム教に敬虔な若者ほどその思想にひきつけられているという。イスラム教を国教とする国がその国家権力を行使し、若者がイスラム国に行くことを思い留まらせるのは難しいとも言われている。第二次世界大戦で日本人の若者がお国のためにと言って死んでいったことと重なる。まさに過激なイスラムを信奉する若者にとって敵は「鬼畜米英」なのである。そして最も大きな問題は、今後、そのような若者がイスラム国の過激な思想を自国内で広め実行することであると言われる。

イスラム国は今回の事件で、日本と日本人もターゲットだと宣言した。これまでは日本人はテロ事件に”巻き込まれた”のが、これからは”ターゲット”となり、どこで何が起こってもおかしくない状況になったのかもしれない。「状況に応じて適切な安全対策が講じられるよう心掛けてください」と言われても、イスラムに毎日接しているので、普通に慎ましく仲良く生活するしかないのだけれど。


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