珍しい、白黒・オーストラリア映画・「渚にて」(On the Beach)はネビル・シュートによって、1957年に書かれた小説でスタンリー・クレイマー監督、グレゴリー・ペック主演で映画化されました。
時間とともに忍び寄る死の灰、核戦争で人類が滅びてしまう末期の人間模様を書いた内容で本当に人類の愚かさを訴えた内容です。核の脅威を人類への警鐘を込めた映画としては最初で最後の映画とも言われています。(白黒映画です。ユーチューブ等で見れます。是非多くの人達に見てほしい映画です!)、2000年にはエンド・オブ・ザ・ワールドと言う題名で映画テレビ化されています。
世界には現在、1万5400発(ストックホルム国際平和研究所「SIPRI」調べ、2016年6月13日現在)の核弾頭が存在すると言われています。
「渚にて」(On the Beach)を鑑賞後は、おそらく多くの方は映画のように迫りくる死の放射能は無く、今日の平和に心からほっとすると思いますが、現世界は核の微妙なバランスで保たれていると言えるかも知れません。
もし、この微妙な核のバランスが狂ったら・・・
以下文は、ウィキペデア、外務省資料、The State等々の記事を参考にしていますが、一部古いデータがあるかも知れません。何せ素人ですので日記程度の内容です。
あまり目立たないインド、パキスタンの核兵器
インドは1974、98年にポカラン (Pokhran)核実験場(インドのラージャスターン州にあるタール砂漠の中にある人里離れた場所)で6回の地下核実験を行った核兵器保有国です。
パキスタンは、1998年5月28日、30日バローチスターン州チャガイ地区(Ras Koh丘陵)において6回の地下核実験を行っています。両国ともNPTには入っていません。
インド・80~110発、パキスタン・90~110発程度(CNN・JP資料)の核弾頭をバランスよく?保有と言われています。
イスラエルの核問題
一切の査察を拒否するイスラエルと言うより、世界はイスラエルの核弾頭に触れることは一切タブーと言われています。イスラエル関しては、文献等読めば数百発保有(国外等保管含め)は間違いないと言われています。原爆、水爆、化学、生物等全てを即使用可能な完璧な状態で保有しています。
核兵器の不拡散に関する条約(Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons : NPT)は1968年7月1日に署名開放され、1970年3月5日に発効、日本は1970年2月署名、1976年6月批准しています。
締約国は191か国・地域(2015年2月現在)、非締約国はインド、パキスタン、イスラエル、南スーダン
米、露、英、仏、中の5か国を核兵器国と定め、核兵器国以外への核兵器の拡散を防止しています。
この条約の適用上、核兵器国とは、1967年1月1日以前に核兵器その他の核爆発装置を製造し、かつ爆発させた国を言うとしています。
素朴な疑問があるのは、米英仏中露の常任理事5カ国以外の国が核兵器を持つことを禁じた核拡散防止条約
何故5カ国のみが許されるか?
第2次大戦の戦勝者、核を適切に管理する技術を有している等々・・・この理屈には無理があるように思います。
国連は5カ国以外は核兵器を持たないよう、IAEAが各国を査察する国際体制を守る戦略を取っています。
NPT体制後もインド、パキスタン、イスラエルはNPTとIAEAの体制に入ることを拒否したまま核兵器を保有しています。
昨今、米国は特に北朝鮮等が核兵器、ミサイル開発実験を行っていると大きく問題にしています。
アメリカが本気で核の無い世界を目指していたら北朝鮮、イランだけを制裁するだけではなくインド、パキスタン、イスラエルにも過去、厳しい態度をとることが必要だったと思います。インド、パキスタン、イスラエルは核弾頭を保有してしまいました。
アメリカがインドに対して与えた核技術は発電用原子力技術ということになっていたようです。インドはアメリカから得た技術を高速増殖炉の建設に使うと予測されていました。高速増殖炉ではプルトニウムが生成され、インドはプルトニウム核爆弾の大量生産が可能となります。やはり、インドに核兵器転用が可能技術を供与することは、追加製造することを認めるに等しい行為とだったと思います。
一部の国は、アメリカのインドへの核技術供与を見て、NPTに入って核兵器開発をあきらめるより、NPTに入らずに核兵器開発をしてしまったら、アメリカは追認してくれるのだから得策だと考えたと思います。北朝鮮も根底にこの考えがあるかもしれません。
シリアに関して言えば過去、核濃縮等開発を行っていましたが、イスラエル空軍の徹底的な攻撃により破壊されました。両国とも互いに黙秘しました。
英ジャーナリスト、ゴードン・トーマス氏著、「ギデオンのスパイ-モサドの秘史」(Gideon's Spies:The Secret History of the Mossad)で、イスラエル対外情報機関モサドとの関連、シリアの核濃縮を指摘していました。シリア国外でもモサドにより多くのシリア核技術者は殺害されたと言われています。
シリアは現在、核開発は行っていないようですが複雑な中東、独立を保つためには保有の意思はあると思います。これらの間違いない事実は世界に報道されることは無かったようです。中東では如何に核の力が大きいかが分かります。
問題のイランはNPT加盟、IAEAの査察も受けていますが、研究はしていると思います。アメリカ、イスラエルはNPT体制加盟のイランを、今も先制攻撃の対象にしているとも言われています。
NPTに加盟せずに核兵器を開発したインドには、過去、追加の核兵器を開発できる技術を与えています。アメリカがインドに核技術を与える決定をしたのを見て、慌てたのはパキスタン、パキスタンのムシャラフ大統領、当時のブッシュ大統領にインドに与えたのと同じ核技術を求めています。ブッシュ大統領は拒否していましたが・・・インドは民主主義国、パキスタンは独裁国でイスラム原理主義が色濃く、アルカイダに核兵器が渡りやすいとも言われています。不思議にも両国は同数程度の地下核実験、核兵器を保有しました。
以後、両国は対立の構図が構築出来たように思います。両国の対立を好くする人達がいるのかと思える時があります。
不思議に思えるのは、高度の技術を要する核技術を技術立国でもない両国が易々と本当に開発、実用化できるものか?
両国に誰かが与えたのか?
与えることで利益を得る人達がいると考えるのが自然にも思えます。素人ながら疑問は増すばかりです。
核、ミサイル開発でアメリカと対立している北朝鮮、報道等では北朝鮮は崩壊するとよく言われたものですが北朝鮮の崩壊は無いと思います。北朝鮮主導で朝鮮半島統一の可能性さえ否定できないように思います。昨今の核、ミサイル報道等だけでも核兵器はほぼ実用化したと思うべきです。
北朝鮮の場合、米国とは現在も朝鮮戦争状態で、現在は休戦状態ですが戦争状態に変わりはないように思います。
北朝鮮側から見ればアメリカが核弾頭ミサイルを保有、敵対しており、戦争休戦状態でもあります。平和な国、日本から見たら北朝鮮の策は理解に苦しむかも知れませんが、世界の何処の国からからも犯されない自主独立の為なら当然、国民生活は貧しくても自国防衛のためにも核、ミサイル開発を行うと思います。朝鮮半島の対立を欲している人達からすれば、北朝鮮の核保有は喜ばしいことかも知れません。
北朝鮮の言い分
アメリカは過去の合意文書さえ守っていないどころか敵対、アメリカは自国の核弾頭ミサイルは保有するが、北朝鮮には自衛のためでも保有するなと圧力・・・北朝鮮はアメリカが核弾頭ミサイルを放棄したら我々も放棄する!
アメリカが核保有国北朝鮮を攻撃できないか、答えは明白です!核保有国が核保有国を攻撃すると言うことは、核の微妙なバランスが崩れ、世界は取り返しのつかない状態になるでしょう。オーストラリア映画・「渚にて」(On the Beach)は、この人類の愚かさを訴えています。
核保有国の根底の一部には、核を保有しなければ真の自国の独立を維持できない世界の現実を認識しているかも知れません。北朝鮮も同様と思います。
真の独立国家を維持するためのは、必要悪となってしまった核
核を保有すると言うことは、国外の大きな力に対しても堂々と自国の考え、意見を主張することが出来る自主独立国になれることに尽きるかも知れません。何故、イラン、シリア等は核を保有したがるのか、真の自主独立を目指す為か・・・特に日本にとっても北朝鮮の核、ミサイルは厄介な問題であることは間違いない事実だと思います。
古い映画ではありますが、オーストラリア映画・「渚にて」(On the Beach)は、私達に今も核依存への警鐘を鳴らし続けていると思います。