極東アジアの真実 Truth in Far East Asia

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昨今の中国防空識別圏に思う。

2015-03-12 16:16:21 | 日中

あれほど騒がれてた中国防空識別圏問題、今はマスコミに取り上げられることは殆どありません。

防空識別圏は国際法上で明確に定義された概念はありません。日本の防空識別圏は冷戦時、米国が勝手に引いた線で、設定してるのは世界でも米国同盟国である日本、英国、韓国、インド等数十カ国程度ですが公表してない国も存在するようです。国によっては相手国の国内にかかってることも予想されます。

防空識別圏とは、領空の外側に設定する空域、領空に入った軍用航空機等がその国の領土上空に到達するまでの時間はわずか短時間しかありません、外国の航空機の領空侵犯(領空侵犯対処は国際法上、警察権の行使とされています。領海における船舶について認められる無害通航権は,領空における航空機には一般に認められていません。)を確認してから対応していたのでは自国の領土に侵入され、極めて大きな国益を失う恐れがあります。領空(陸地から12マイル)に入る前に航空機を識別し、事前に防空防衛体制を取れるようにするのが防空識別圏設定の目的と言われています。

1950年、GHQ(米軍)が日本の防空識別圏を冷戦下勝手に設定しました。日本、韓国、台湾、フィリピンにまたがる空域に線を引き、ソ連、中国の領空侵犯等を監視する目的で・・・以後GHQ(米軍)の線引きは4カ国・地域に引き継がれました。

日本では1959年に航空総隊司令官と米軍第5空軍司令官の間で、松前・バーンズ協定が交わされ、防空識別圏が日本側に移管されましたが、現在も米軍の権限は絶大と言われています、日本であって日本でない空が存在しています。

松前・バーンズ協定は、日本の領空侵犯に対する米第5空軍と航空自衛隊航空総隊の対処要領を定めたものです。(1959年締結)
識別するには高性能レーダーや、緊急発進(スクランブル)戦闘機等が必要であり、運用では米軍との緊密な連携が不可欠だったようです。 防空識別圏は、60年の日米安全保障条約改定までに完全に日本に引き継がれ、領空侵犯に対応する体制が整ったと言われています。

防衛庁(当時)が内部で防空識別圏を規定したのは1969年(防衛庁訓令)です。日本にとって東シナ海に設けた防空識別圏は日米安保協力の目玉だったようです。
過去中国が防空識別圏を張り出す形で自前の防空識別圏を設定すると発表しました。当然尖閣諸島への領有権の主張が狙いだったと思います。
 
日米への挑戦と言える中国の行動を、過去日本政府は防空識別圏の撤回を中国に要求しますが・・・同盟国米政府の反応は東シナ海の現状を変えようとする一方的な行動だ(ケリー国務長官)との声明だけで、撤回の言葉はありませんでした!歴史的背景から米国は中国が防空識別圏を設定したことに対して文句を言うのも筋違い・・・日本の中国に対する撤回要求、これも何か・・・
 
そもそも防空識別圏は各国の国内措置であり、他の国が撤回させるのは難しいと言われています。過去冷戦下中国、旧ソ連の領空侵犯を念頭に米国が勝手に設定したこともあり、撤回要求は後ろめたさがあったように思えます。
 
中国が防空識別圏運用をいかにするか・・・中国は防空圏を飛行する航空機に対して事前通告を要求、従わなければ防御的な緊急措置を講じると宣言しました。国際法の原則、公海上空における飛行の自由が脅かされかねない事態に・・・現在は強制力の語は省かれていますので、何ら問題ない中国防空識別圏と取れないでもないですね。(尖閣上空以外は・・・)
 
事前通告なしに、B―52を飛行(本土に対し横行飛行で脅威等問題無いポジション)
中国の防空識別圏の設定自体は、何も新しくも珍しくもない!(ヘーゲル国防長官)とし、撤回は求めなかったようです。
飛行安全への配慮で米民間航空が中国に飛行計画を提出することも容認しました。以後日本も提出し現在に至っているようです。


参考:松前・バーンズ協定

外務省日米安保条約課作成「松前・バーンズ協定の取扱いについて」極秘メモ(71年2月3日付)によると・・・

過去国会答弁等で米軍の行なう領空侵犯対処措置も、概ねわが方のそれ(警察行動)と同義であると言われていました。

実際と違いがある箇所・・・
米軍のROE(交戦規範)は領空侵犯対処という特別の方法は認めていない、一般に交戦という概念ですべての戦闘行動を律している。

1 敵性機(ソ連機)と遭遇した場合、相手が上空に位置するなど敵性行動を取る場合、こ れ に攻撃(先制攻撃を含む)を加え、撃墜する義務がある。
2 場合によっては、相手方領域内に入ってもよい。
 
 同メモに添付した防衛庁(当時)のメモは、在日米空軍は65年7月以降、領空侵犯に備えた警戒待機をとりやめているとして、松前・バーンズ協定の廃止を要求したようですが、外務省は米側を通じて極東情勢を得るため等などとして廃止を拒否、同協定は現時点でも有効です。
 
 日本の防空識別圏運用は、独立国として航空自衛隊の賢い運用(防衛省内訓等の運用見直し等々・・・)で、国益等を考えて処理されてると思いますし、今後も適切に処理されると思います。何時の日か、日本領土上の空域等々が返還され完全に日本のものとなり、日本上空を自由に日本の航空機が飛べる日が来ることを!
 
プログは、外務省日米安保条約課作成「松前・バーンズ協定の取扱いについて」極秘メモ(71年2月3日付)、過去の日経新聞等々を参考にしています。


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