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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

週末ゲーマー

2005年03月21日 23時37分40秒 | GAME
 ゲームは大昔のMac版Wizardlyや最初期のドラクエなどからやってます。ただし、継続的にやるとかそういうことは全くなくて、やるとなると明日仕事だというのに、夜明け近くまで、まるで命を削るようにやるかと思えば(笑)、やらないとなると3年も4年も「オレにはゲームなんかカンケーない」とばかりに全くやらなくなくなってしまうという人間なんですが....って、みんなそんなもんですかね(笑)。

 で、プレステ2を購入したのも実は一昨年の年の瀬なんですよね、もう後発もいいところ(笑)。数年ぶりにのぞいたゲームの世界はいろいろ変わってました。一口でいえば、ゲーム性や難易度の追求より、画面のリアリズム追求、物語性重視といった点にシフトしていたってところですかね。ともあれ、それが新鮮だったのかどうか、それからの半年間くらいは、ほとんどゲーム漬けの毎日になってしまいました。(下記参照)、
 ところが、7月にオーディオ電線病が再発してからは、ゲームの方はやっても週末くらいという「週末ゲーマー」になってしまい、かれこれこの9ヶ月間はゲームといえば、「BUSIN 0」をぼちぼちやっている程度だったんですが、それでもいつか結末はくるものです。気がついてみたら、いつの間にやら後半戦。しかも3連休という絶好のタイミング(笑)だったものんで、んじゃ....ってんで、久々に気合い入れて、この休み中、後半から一気に終盤戦、昨晩、めでたくアウローラ嬢とアシラ殿下を(意外にもやすやすと)撃破して、めでたくエンディングを向かえた訳です。

 ところが、その後がマズかった。最近のゲームにつきもののボーナス・ダンジョンを物は試しとちょいとのぞいたのが命取り(笑)、今度はそっちにハマってしまい、本日も夕刻から数時間ほどやってしまいました。そもそもボーナス・ダンジョンって、前作の「Busin」もそうでけど、私のような人間にとってはゲーム終了後、試しに入ってみて、やたら強い敵に遭遇、いきなり全滅して、「こりゃ、途方もない根気と執念が必要だ....」とばかりに、ほとんどやる気がしないものばかりだったんですけど、今回のそれはそれなりに考えて作ったのか、難易度がほとんどゲーム終了後となだらかにスライドしているせいと、階層も9999とかいう途方もないものではなく50階くらいの手頃という訳で、割とすんなり入れておもしろいです。なもんで、マイルフィックから「村正」を6本手に入れて、我がチームを「前列:将軍×3、後列:聖騎士×3」というドリーム・チームに仕立て上げようか....などと、しょうもないことを考えたりしてますが。

 そんな訳で、「ドラゴンクエスト8」「シャドーハーツ1&2」あたりのストック済みのものはもちろん、大規模MMOとかやりたいゲームはいろいろあれど、しばらくは「BUSIN 0」とオサラバできそうもありません。あぁ、誰かオレ様にヒマな時間をくれ!。


※ この1年くらいにやったゲーム
 ・ Star Ocean 3- Till the End of Time (2003/12-2004/1)
 ・ BUSIN (2004/1-2)
 ・ WILDARMS AlterCode:F (2004/2-3)
 ・ WILDARMS Advanced 3rd (2004/3)
 ・ 真・女神転生III - NOCTURNE マニアクス (2004/4)
 ・ FINAL FANTASY X (2004/5)
 ・ FINAL FANTASY X-2 (2004/6-半分くらいで中断中、サイテー!)
 ・ ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち (2004/6-半分くらいで中断中)
 ・ BUSIN 0 (2004/6-2005/3)
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The James Bond Collection

2005年03月20日 23時17分58秒 | サウンドトラック
 007シリーズのサントラといえば、最近ほぼ全作がボーナストラック入りでリマスター盤として再発され、根っからの007ファンの私は驚喜して聴きまくっている昨今なのだが、こちらはそれとは全く関係のない別のアルバムである。ニック・レーン指揮によるプラハ市立フィルハーモニー管弦楽団による演奏で、「ドクター・NO」から前作「ザ・ワールド・イズ・ノット・イナフ」までをサントラの聴き所をCD4枚組で楽しんでもらおうという趣向だ。
 このシリーズのベスト盤といえば、かつてオリジナルの主題歌のみを集めたものは数種類出ていたし、シリーズの有名どころをオケで演奏したアルバムもないではなかったが、聴いてみると、どうもオリジナルのスコアからかけ離れた金ぴかのケバいアレンジのものが多く、どうもサントラ・ファンとして満足できる代物にはお目にかかったためしがないのだが、こちらはそれなりに満足できる仕上がりだと思う。

 まずその理由として、オリジナル主題曲のオーケストラ版の演奏だけではなく、劇中のサントラとして聴き所をオリジナル・スコアにかなり忠実に再現し、それを小組曲風に各映画単位で割り振っているところがあげられる。特に「ドクター・NO」については、サントラ盤には劇中のオーケストラ演奏がほとんど収録されていないので、ニック・レーンが再現したこの組曲の存在は実に貴重だし、その他の作品についても、例えば「ゴールド・フィンガー」ならフォートノックスのシーン、「サンダーボール」「ロシア」ならあの007のセカンド・テーマといった具合に、あすこが聴きたい、ここは是非とりあげて欲しいと思うところは、各作品ともほぼ8割方押さえており、選曲面ではマニアでもかなり満足できるのだ。

 加えて音質の良さ、最近リマスター盤が出てかなり良い音質で楽しめるようになったとはいえ、初期のサントラ盤の貧弱な音質に我慢していたファンとしては、細部までクリアかつ広大なダイナミック・レンジのデジタル録音で聴くショーン・コネリー時代の名作の数々の場面は、まさに待望久しい出来事とさえいえよう。「二度死ぬ」でおそらく一番有名なロケットがスペクターに拿捕される場面の音楽やテーマ曲など、こうした理想的録音で聴くとバリーの巧緻で立体的オーケストレーションもオリジナルの数倍は映えようとというものである。

 もちろん、バランスやテンポ設定など「ちょっと違うんじゃねぇの」と思うところはないでもないし、バリー以外の人が担当した音楽については妙に冷遇されているところや、4枚組のボックスセットにしてはブックレットなしで安っぽい装丁である点なども含め、発売元のSilvaというレーベル(イタリア)の常とはいえ、やや企画にのみ頼って細部の仕上がりに雑なところがないではないから、かつて出たヒッチコック作品のアンソロジー同様、ファンから決して満点はもらえないだろうが、とりあえず75点くらいはあげられるのではないだろうか。

 そんな訳で、007シリーズのついては主題曲はベスト盤。スコアについてはこれを入手すればとりあえずシリーズの音楽の全貌を俯瞰することはできるだろう。そんな意味では便利なアルバムであり、企画ではある。このアルバムをきっかけにして、次はアメリカのVarese Sarabandeあたりで更に豪華なアルバムでも企画してもらいたものだ。(2003年9月13日)

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ポートレイト・オブ・ビル・エヴァンス/various artists

2005年03月19日 23時22分10秒 | JAZZ
 イリアーヌ・エリアス、デイブ・グルーシン、ハービー・ハンコック、ボブ・ジェームス、ブラッド・メルトーの5人のピアニストがそれぞれ2曲づつビル・エバンスゆかりの楽曲を弾いたトリビュート・アルバム。ビル・エバンスへのトリビュート物はマイルス同様それこそ沢山出ていて、これもいかにも日本人が喜びそうなストイックなジャケのデザインからして「あぁ、またかい」という感じがないでもないのだが、なにしろ集合しているメンツが豪華なので思わず購入してしまった。まず、アルバムの構成が各人2曲づつ担当というのがいい。1曲ではなく2曲となれば参加アーティストもそれなりにコンセプトが必要だろうし、露出度も高いから、アルバムにはそこはかとない緊張感とある種絞りこんだ充実感のようなものが感じられると思うからだ。
 では参加メンバーについて、簡単にコメントしてみたい。


・ボブ・ジェームス
 アルバム冒頭に収録されたのは、曲はかの有名な「ナーディス」で、これをリチャード・ボナとビリー・キリソンのトリオで演奏している。ボブ・ジェームスのピアノ・トリオといえば数年前に、クリスチャン・マクブライドと組んだアルバムがあったけれど、あれがピアノ・トリオとしてはどうも煮えくらない感じだったのに比べると、この演奏はその時より数段パワフルな演奏だ。もちろんやっているのがボブ・ジェームスだからして、フュージョン的な仕掛けやポップさが出てくるところだってもちろんあるのだけれど、これだけとパワフルだと、「おいおい、やるじゃねぇか」などといってみたくなる。
 もう1つの楽曲はオリジナルで、「カインド・オブ・ブルー」あたりのフォーマットを踏襲した2管編成の非常にモーダルな、かつ味わい深い演奏、アレンジも演奏も楽しんでやっている風情がある。いつも自分の枠から出ようとしないボブ・ジェームスだが、今回のおもしろさは他流試合だからこそ出た味といったところか。

・ハービー・ハンコック
 ハービー・ハンコックはいわゆる正統派モダン・ジャズをやる顔と、コンテンポラリーなブラック・ミュージックをクリエイトする二つ顔を持つと思うのだが、このアルバムでは2曲目の「ゴッタ・リズム」が後者。アルバム掉尾を飾るピアノ・ソロである「ゴースト・ストーリー」は前者という形で使い分けている。「ゴッタ・リズム」は、サンプリングが多用され、錯綜したファンキーなリズムにハンコックのピアノが乗るパターンで、マイケル・コリーナ(アルバムの総合プロデューサー)とハンコックが組めば、「やっぱこうなるわなぁ」的なモダン・ファンクでビル・エバンスのビの字もない音楽だ。「ゴースト・ストーリー」はショパンの曲にインスパイアされたインプロらしく、ショパンというよりスクリャービンみたいな宇宙的、耽美的な雰囲気をベースに、ちょいとゴスペル的な隠し味をまぶしたような音楽になっている。なんでもコンセプトはエバンスのそれを引き継いだものらしいけど、出来上がった世界はハンコック以外の何者でもないってところだ。

・イリアーヌ・エリアス
 ジャック・ディ・ジョネット、マーク・ジョンソンというエバンス門下と組んだトリオ演奏。アルバム中ではもっともエバンス・トリビュートっぽいというか、一番、エバンスっぽい演奏となっている。収録曲も「降っても晴れても」と「イフ・ユー・クッド・シー・ミー・ナウ」と格好の曲を選んでいて、もうすっかり気分はビル・エバンスという感じ。このアルバムに、彼女のかわりにアンディ・ラバーンとかリッチー・バイラークあたりが入っていたら、やっぱりこういう演奏になっていたんだと思う。
 とはいえ、ある種の開放感みたいなもの、そして音楽を今風な感覚で流動的に動かしていくあたりは、どっちかといえばキース・ジャレットにも近いものがあるし、時にハンコックっぽい手癖を披露したりするのはいかにもイリアーヌだなぁとも思ったりもするのだけれど。

・デイブ・グルーシン
 ビル・エバンスとボブ・ジェームスは意外とはいえ、未だ探せば接点が見つけられそうだが、デイブ・グルーシンとはちょっと世界が違い過ぎやしないか。しかも演奏しているが「ワルツ・フォー・デイビー」と「エミリー」とくれば、どうしようもなくGRP的なゴージャス&ソフィスティケーデッドな演奏になるは必至と思いきや、これがななかなかいい。収録された2曲はいずれもティム・ケネディーとデイブ・ウェックルのトリオで、まぁ、甘口であるのは間違いないとしても、なかなかどうしてピアノ・トリオの勘所を押さえた音楽的感興溢れる演奏を出してくるあたりは老獪そのもの。ヘンリー・マンシーニのアルバムでも、この人のスタンダードなジャズ演奏は意外なほど味があって良かったけれど、これはもっといい出来だと思う。それにしても、チック・コリアのバンドで若き手数王だったウェックルがこんなに枯れたプレイをするとはちょいと意外だな。

・ブラッド・メルドー
 売れっ子、メルドーは2曲ともピアノ・ソロ。さすが世代的に一番若いだけあって、演奏も豊富なジャズ的語彙とテクニックを屈託なく使い、さらさらと流れるように演奏している。この淡彩さというか軽さはある意味でニュー・エイジ的な感じさせたりもするが、まぁ、1970年生まれという世代なのだろう。メルドーといえば、そのリリシズムからビル・エバンスと比較されることも多いようだが、彼のそれはエバンスのような研ぎ澄まされたものとは違い、基本的にはウォームなものだと思う。あと、1曲ならソロでもいいが、2曲入れるなら、残り1曲はレギュラーのトリオを入れても良かったのではないか。(2003年11月24日)
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The BEATLES / Let It Be... Naked

2005年03月18日 00時24分13秒 | Beatles
 話題の新作(?)である。ビートルズ名目上のラスト・アルバムである「レット・イット・ビー」から、毀誉褒貶の激しいフィル・スペクターによってプロデュースされた部分を最新のデジタル技術を使って、その痕跡を消し去る....というコンセプトが話題になっているアルバムで、来年中にDVDで発売される、映画「レット・イット・ビー」に先行するサントラという位置づけにもなっているらしい。

 収録曲自体はオリジナル・アルバムから「ディグ・イット」と「マギー・メイ」をカットし、そのかわり「ドント・レットー・ミー・ダウン」をプラスした程度で、その意味では大した変動はないが、話題となっているリミックスや採用されたテイクの異同、曲順などはほとんど全体を一から見直したのだろう。確かに全体から受ける印象はオリジナルとは様変わりしている。

 まずなんといってもその音質、近年の「イエローサブマリン」などと同様、オリジナルに比べ全体の音圧、各楽器の分離の良さが際だって増していることに加え、アルバムの性格上、ある種の生々しさのようなものを演出したかったに違いあるまい。とにかく、残響が少なめにして、各楽器の音の太さ、存在感のようなものを全面に出た音になっている。

 一方、本アルバムで採用されたテイク違いも興味深い。厳密にいえば別テイクと呼べるのは「ロング・アンド・ワインディング・ロード」くらいものだと思うが、「レット・イット・ビー」におけるギターやヴォーカル、「アイブ・ガット・ア・フィーリング」のヴォーカルの差し替えは一聴瞭然だし、これまでの2ヴァージョンは遅すぎたり、早すぎたりした「アクロス・ザ・ユニバース」が初めてまっとうなピッチに修正されたのも特筆すべき点だろう。また、他の曲でも細かい部分では定位のやバランスが微妙にかえられたりして、細部で興味深い点は、マニアであればあるほど数知れずという感じではないだろうか。
 個人的には、初めて収録された「ドント・レットー・ミー・ダウン」のルーフトップ・コンサート・ヴァージョンがうれしかった。オリジナルの重厚さに比べると、荒っぽい演奏だが、後半のスキャットの部分が最高に素晴らしく、常々オーディオ・アルバムの一曲として聴きたかった私としては、これには溜飲が下がる思いであった。

 そんな訳で、この作品、大変興味深く聴くことが出来たアルバムではあるが、ポールが密かに目論んでいる?ような、現行のオリジナル・アルバムにとって替わるものでもあるまい。やはりこれはオリジナルを前提にしたヴァリエーション、リミックスの類だと思う。また、グリン・ジョーンズによって選曲、構成された「ゲット・バック」というお蔵入りになったアルバム(ネイキッドというなら、こちらの方こそがネイキッドそのものなのだが)を知っている人にとっては、このアルバムが高度なデジタル技術による様々な作業によって、いわば仮想的に演出された『裸のレットイットビー』であることを感じない訳にはいかないとも思う。そのあたり強者のビートルズ・マニアはどう感じるのだろうか。

 なお、本アルバムの国内盤はいよいよCCCDが採用されている。私はレコード会社が音楽ソフトにコピーガードを施すことに決して反対ではないのだが、CCCDのような音質への影響が無視できず、なおかつCDプレイヤーに過剰な負荷をかけるような形でのプロテクトは賛成できない。何かもっと良い手段はないのだろうか。正直申して、自分のプレイヤーでこのような紛い物....といってはいい過ぎだが、プレイヤー自身の寿命を縮めるリスクがあるディスクを再生するのは、あまり良い気分ではなかったことだけは申し添えたい。(2003年11月16日)


※ 以上は、1年半くらい前にネットの某所で書いたものですが、結局、CCCDをかける心理的抵抗があまりに大きいので、しばらく前に米盤を買い直したものを、さっきやっと封を破って聴きました。これで安心して聴けます。ついでに、音質もこちらの方が心持ち良いような気もしました。あっ、そうそう、これを書いた翌年、つまり2004年に映画「レット・イット・ビー」のDVD版はついに発表されませんでしたね。一体、どうしたんでしょう?。
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JOHN WILLIAMS / Superman The Movie

2005年03月17日 00時27分35秒 | サウンドトラック
 さすがにアメリカは映画大国だけあって、サントラ専門に発売しているレーベルがいくつもありますが、その中でもやはり大手といえばvarese sarabandeでしょうか。このレーベルの凄い点は、通常の新作のサントラの発売や名作の復刻はもちろんですが、元音源がみつからない作品や音が貧弱な作品のサントラ等、場合によっては比較的近年の作品まで再録音を様々な形でやってしまう点です。

 このアルバムもそうした一枚で、ターゲットになったのは、かの「スーパーマン」です。同レーベルでは歴代スーパーマン関係の音楽を集めた「Superman: The Ultimate Collection」というアンソロジーも出していますが、こちらは音楽をジョン・ウィリアムスが担当した1978年の作品のスコアを元にしたものです。この作品にはもちろん立派なオリジナル・サウンドトラック盤が存在する訳ですが、残念ながらあのアルバムは、メイン・タイトルが編集されていたり、肝心な曲が収録されていなかったりと、いろいろ不満があったものですから、そのあたりの欲求不満を解消すべく、完全版を目論んで再録音されたのがこれという訳です。

 この完全版で、なんといってもうれしかったのはファンが待望していたのがメインタイトルの完全版が実現したこと。映画ではファンファーレの後、デイリープラネット社を紹介するモノクロ映像と少年のナレーションが入って、こからそおもむろにメインタイトルに移行していった訳ですが、サントラに入っているヴァージョンや各種ポップス・オーケストラが演奏しているのは、この部分が短縮されているもので、このアルバムは購入して一聴した時は、「これだ、これだ」と大喜びしたものです。
 また、スーパーマンの地球の育て親ジョナサンの亡くなるシーンのしっとりとした音楽(これは続く「リービング・ホーム」と絶対続けて聴くべき)やロイス・レインが遭遇するヘリコプター事故の救出シーン(スーパーマンが初お目見えするシーンでもある)の、スリリングな音楽がサントラには収録されていなかったのはいかにも不可解でしたが、ここではきっちりとの演奏されていて、溜飲さがりまくりでした。
 おまけに、音質的にはオリジナルを完全に上回ったとしか思えない、ホールトーン豊かな優秀録音だった訳で(本家はややデッドで乾き気味な音だった)、わたし的にこれはもう完璧なアルバムでした。

 そんな訳で、サントラ・マニアの私にはvarese sarabandeというのは大変ありがたいレーベルです。ジョン・ウィリアムスではこれの他にも「ジョーズ」でお世話になりましたし、エーリッヒ・コルンゴールドやバーナード・ハーマンについては数知れず、他にも「エイリアン3部作」や「アレックス・ノース版2001年」などうれしくなるようなアルバムを沢山だしているのて、これからも注目したいレーベルのひとつです。


※ ちなみに「スーパーマン」のサントラは、2000年にライノから前述の不満点を全て解消した「本当に完全なサウンドトラック盤」が出ましたので、現在、varese sarabandeのスコア盤のアドバンテージは音質のみになってしまっています(涙)。
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イエローマジック歌謡曲<Disc.3>/various artists

2005年03月16日 23時15分18秒 | JAPANESE POP
 ディスク3は83年から88年前の曲を収録してます。YMOは解散し、テクノが既存の音楽手法として一般化していく様を捉えたディスクとしても興味深いです。

 01.わがままな片想い, 08.ピンクのモーツァルト / 松田聖子
 前者は「天国のキッスのB面ってこんな曲だったけ?」って感じのレア物。曲としてももちろんテクノとしてもA面の方が優秀なのは一聴瞭然ですけど、まぁ、コレクターズアイテムってことで収録でしょう。ちょっと「ロータスラブ」みたいな感じもある曲です。後者は問答無用!細野さんのアイドル路線の最高傑作でしょう(シングル・ヴァージョンなのかニクイ!)。それにしても松田聖子のヴォーカルって、その人工美がいかにもテクノ向け、こんなチャーミングな声、もう当分あらわれないでしょうね。

 02.まりン / 飯島真理
 一方、教授のアイドル路線の最高傑作がコレ。粘着質な坂本サウンドとロリ声が絶妙に有機反応して、極上な音楽になってます。これに匹敵するものといったら、後年の中谷美紀しかないでしょう。飯島真理のソングライティングも天馬空を行く奔放さがあって素晴らしい。これ少女期特有の天才化現象ですかね。

 03.鏡の中の十月 / 小池玉緒
 YMOのスビンアウト物の最高傑作といったら、やっぱこれか?。ひとくちにいってしまえば、YMOアラ・フレンチ・ポップスといった感じなんですけど、これ路線化することなく、この曲のみの単発に終わったのは、返す返すも惜しかったです。

 04.ダンスホールで待ちわびて / タンゴ・ヨーロッパ
 細野さんは作曲のみ。編曲は戸田誠二で、そういえばShi-Shonenっぽい賑々しさがあります。細野さんが編曲したら、きっと「過激な淑女」みたいになってたんじゃ?。

 05.ピンクの鞄 / 高橋美枝
 松本+細野+大村という松田聖子のスタッフをそのままもってきた曲。悪くないけど、ヴォーカルが一生懸命過ぎて、松田聖子のような「軽さ」がないのがちょいと減点かな。

 06.玉姫様 / 戸川 純
 戸川と「テクリデリック」の合体ってな感じだけど、やっぱ戸川純のヴォーカルには上野耕治の偏執狂的なシンセ・オーケストレーションが一番合っていたような。

 07.風の谷のナウシカ / 安田成美
 アレンジが細野さんと萩田光雄という組み合わせが強力。一種のイメージ・ソングな訳ですけど、ヴォーカルの安田成美は声はそのものはいいんだけど、もうちょっと歌がうまかったらなぁ(笑)。1曲だったら許せるが、高橋がプローデュースしたアルバムの方はけっこう全部聴くのツラかったぞ。

 09.ファンキーマージャン / 竹中直人
 「い、痛い、じゅ~うぶん痛い!」が懐かしい(笑)。本編はミカ・バンドの名曲でキックとベースのユニゾンが気持ちいいファンキーサウンド。ベースは細野さん?。

 10.リセエンヌ,11.クララ気分 / 原田知世
 どちらも教授のアイドル路線ですけど、前者はライナーにもある通りクラウス・オガーマン風のオケ・アレンジがこの種の音楽にはもったいない(笑)。後者は飯島真理と共通する正統派のアイドル路線。

12.タキシード・ムーンで夕食を/キララとウララ, 13.銀河鉄道の夜/中原香織
 いずれも細野さん関連。前者はFOEと同じサンプルを使っているあたりが今聴くとレア。後者は名作サントラからモチーフを使ったもので、これも何年ぶりに聴いたことだろう。

14.生意気娘 / 中原理恵
 ゲートが聴いた高橋のスネアとスカスカのサウンドがTENT時代を象徴してますね。この延長線上で、門あさ美もプロデュースしたと思うんだけど、そういえばこのアルバムには入ってませんね。

15.NEO-PLANT (12inch single ver.) / 如月小春
 前曲がTENTならこっちは、MIDI/Schoolレーベルな音。86年の作品ですが、この時期になると、もはやYMOというより、メンバー個人様式の方が強力に露出してます。

16.SIAM PARADISE/少女隊, 17.天使のゆびさき/西村知美, 18.時代よ変われ/つみきみほ
 少女隊は「メイキング・オブ・ノンスタード・ミクスチャー」のヴァリエーション。西村知美は細野さんは曲のみで武部聡のアレンジが教授役をやっている感じ。つみきみほではその役割を清水信之に....。後者2曲は普通のぐっと歌謡曲に近づいている感じですけど、80年代後半ともなるとテクノの水増しされつつ、一般化してしまったということなんでしょうね。
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イエローマジック歌謡曲<Disc.2>/various artists

2005年03月16日 00時07分12秒 | JAPANESE POP
 82年と83年の曲を収録。ディスク1のニュー・ミュージック&ロック系に続いて、いよいよアイドル歌謡の分野でYMOのサウンドを増殖させているという趣のディスクです。

 01.赤道小町ドキッ / 山下久美子
 これぞテクノ歌謡ですね。クラフトワーク発、YMO経由、ウルトラヴォックス着ってなシンセベースがグー!。

 02.サマルカンド大通り / スーザン
 こちらはモロ高橋サウンドによるテクノ歌謡ですが、高橋がやるとニューウェイブ色が少々強いですかね。スーザンのこまっしゃくれた声もそれ風。

 03.哀愁のデスマッチ・ラブ<予告篇> / アゴ&キンゾー
 ほとんどリズムで組み立てられたスカスカのサウンド、できればヴォーカル抜きで聴きたいような曲ですね。初めて聴く曲です。

 04.夏の雫 / 三田寛子
 こんな人にもまで絡んでいたのですね。坂本のアイドル歌謡曲路線で、ストリングス+シンセのアレンジがいかにも教授。なお作曲は井上陽水。

 05.ハートブレイク太陽族 / スターボー,06.しあわせ音頭 / 柏原よしえ
 前者はジャーマン・テクノ的無機質さ、後者はワールド・ミュージック博覧会というそれぞれ細野の主要な音楽的要素をほとんどやっつけ仕事的に披露したという感じですかね。柏原よしえは相変わらず正統派的に歌がうまい、だけどてテクノには合わないかな。

 07.コズミック・サーフィン / コスミック・インベンション
 これもその存在は初めて知った曲。かの「コズミック・サーフィン」に歌詞つけて歌ってます。なんせ細野さんがやってるんだから文句なし。できればこれもカラオケで聴きたかった(笑)。

 08.ねらわれた少女 ,09.ロマンチスト / 真鍋ちえみ
 この時期の細野さんは働きまくってます。これも細野さん絡みの曲。前者は「バレエ」風なリズムに、「フィルハーモニー」っぽいシンセと細野サウンド満開。後者は作曲のみ、松田聖子が歌っても良かったかな。

 10.雪列車 / 前川清
 イントロは「ラストエンペラー」で、本編は「戦メリ」といった感じですかね。いかにも坂本風なエキゾチックな旋律とサウンド。曲も良いです。

 11.三国志ラヴ・テーマ / 小池玉緒
 YMOが絡んだ女性ヴォーカルとしては、声の質感といい、抑揚といい、この人が一番合っていたと思うなぁ。細野さんのエキゾチックな旋律がいかにも合ってます。

 12.I Like Best,13.哲学しよう / 山田邦子
 前者はニュー・ヨーク・パンクのパロディかな。後者はそのまま「ごきげんいかが、1,2,3」といきそうな細野性ファンキー・テクノ。ベース・ラインはさすが。

 14.だって、ホルモンラブ / 伊武雅刀
 インドっぽいリズムが、その後の「オムニ・サイト・シーイング」が思わせるところもありますが、全体としては遊びですね。それにしても伊武雅刀ってこんな曲やってたのか。

 15.ティーンエイジ・イーグルス / イモ欽トリオ,16.きたかチョーさん まってたドン / 川上さんと長島さん
 前者は作曲のみ、アレンジは白井良明で細野さんよりまっとうなテクノ・サウンドかも。後者はもろ「過激な淑女」はリズム・パターンでニヤニヤ。

 17.君の名はサイコ,18.毎日僕を愛して / 郷ひろみ,19.From Tokyo-Endingメロディーはリピートで- / ユミ
 いずれもテクノ、フュージョン、ウェストコースト・サウンドの坂本流の合体。それまで単にヴォキャブラリーの羅列に終わっていた感もなくはなかった坂本のアレンジが、いよいよ冴え始めてきたことを感じさせる3曲ともいえます。極上一歩手前な坂本サウンドってところかな。
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トーマス・フィンク・トリオ/My Romance

2005年03月15日 12時30分00秒 | JAZZ-Piano Trio
 澤野工房の1枚です。ドイツのピアノ・トリオらしいのですが、スタンダート嗜好、ビル・エヴァンスの影響、やや硬質でクリアなピアノのタッチなどの点で、先月レビュウした同じドイツのビアニスト、アーノルド・クロスにちょっと似ているような印象を受けました。ただ、アーノルド・クロスがインプロやリズムにある種の音楽主義的面なこだわりを感じさせたのに対し、トーマス・フィンクの方は、良くも悪しくもあっけらかんとして、カクテル風に甘口なBGM的なムードに染まっているのが特徴かと思います。

 収録曲ですが、音楽的にはインプロ主体のジャズっぽいムードの「オール・ザ・シングス・ユー・アー」と、イージー・リスニングすれすれBGM風な「ムーン・リバー」が両極という感じで、その間にビル・エヴァンス絡みの「マイ・ロマンス」「マイ・フーリッシュ・ハート」「ターン・アウト・ザ・スターズ」、そしてボサ・ノヴァやブルース、あとラテン風なリズムを使ったオリジナルが数曲が入るという感じですかね。こう考えると、けっこうバラエティに富んでます。

 スタンダードについては、ほとんど日本人が選曲したんじゃないかと思うほど、メロディアスなものが選ばれていて、やや装飾的なフレーズを多用するところはあるものの、基本的にはストレートかつスムースに歌っていて、明らかに旋律重視なタイブとお見受けしました。まっ、その意味ではヨス・ヴァン・ビーストにも近いような気もしますが、こういう雰囲気重視みたいな音楽やっても、どこか律儀さが感じられるのはドイツ人故かもしれません。生真面目におシャレっぽいムード演出してるっていうか(笑)。

 5曲ほど入った、オリジナル作品はいろいろなスタイルに挑戦して器用なところを見せていますが、基本的にはどれもイージー・リスニング風なムードで、前述のスタンダード作品より、ひょっとするとこっちの方にこの人の特徴がよく出ているのかもしれません。「オータム・フィーリング」「トムズ・ワルツ」などの上品かつムーディー・センスはなかなかのもので、とっても楽しめました。

 そんな訳で、これも澤野工房らしいとしかいいようがない1枚。いく分キメ手に欠くキライはありますが、B級っぽいのもまた楽しや....で、最近の私の愛聴盤です。
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イエローマジック歌謡曲<Disc.1>/various artists

2005年03月15日 00時23分03秒 | JAPANESE POP
 ディスク1は79年から82年まで、つまりYMO最盛期のクロスする曲目が収録されてます。ほぽ、当時の歌謡曲とは隔絶した全編テクノですね。


 01.YELLOW MAGIC CARNIVAL(single version) / マナ
 初めて聴ききました。パンチのある声に、YMO前夜の細野サウンドが融合した感じで、ニュー・ミュージックなんだか、歌謡曲なんだかわからないボーダーな感じがいかにも細野さん。ストリングスのアレンジが時代っすね。

 02.エレクトリック・ラブ・ストーリー / 近田春夫
 細野さんは編曲だけなのに、なんか歌っているのも細野さんのように聴こえたりしますが(笑)、基本的にこの曲のターゲットになったのはジュリーなんでしょうねぇ。一方、ベースは「テクノポリス」のパターン。当時何度も聴いているハズだけど、全く記憶に残ってませんでした。

 03.ユー・メイ・ドリーム / シーナ&ザ・ロケット
 久しぶりに聴いたんですけど、あの頃は強く感じたニューウェイブ的感触より、今聴くとオールディーズ的なムードの方を強く感じます。タイコの高橋を筆頭にリズム的にはほとんどYMO。

 04.チャイナ ローズ / 金井夕子
 これも初めて聴く曲。金井夕子なんて名前も知らなかったな。エキゾチックな細野サウンドに、坂本ストリングスとアイドル声が乗るってパターンなんだけど、全く古びてないのが妙。それにこのコやけに歌が上手い。

 05.憧れのラジオ・ガール, 06.夜の翼 / 南佳孝
 お懐かしや、南佳孝!。「憧れのラジオ・ガール」はビートルズっぽいリズムにヴォコーダーの組み合わせがめちゃくちゃポップに響いたものだった。終盤近く坂本ヴォコーダーが思わずひとり歌っちゃうところなどサイコーにお茶目ですね。「夜の翼」はテクノで解釈されたタンゴ、この時期のひとつのパターンで、YMO絡みでは加藤和彦やラジなんかもやってたよなぁ。坂本の巧緻なアレンジに脱帽。

 07.IDOL ERA / サンディー
 これはほとんどYMOですね。「ソリッド・ステート・サバイバー」か「増殖」に入っていてもおかしくない感じ。ぶっといリズムと呪術的サウンドは細野の好みが出たというところか。そうそう、当時から思っていたんだけど、サンディーの声ってケート・ブッシュに似てないですか?。

 08.CARNAVAL / 大貫妙子
 そういえば、大貫妙子も「ロマンティック」と「アヴァンチュリエール」はけっこうYMOに接近してましたよね。この曲などその筆頭ですが、この手のサウンドに乗っても大貫妙子の世界になっているのはさすが。でも、当時はけっこう超然として聴こえたター坊の声も、今聴くとけっこう娘々してますね。

 09.AH! SOKA / スーザン
 スーザンもほとんど覚えていない。当時は和製リナ・ラヴィッチみたいなイメージだったんだけど、この曲を聴くと全然違うじゃないか(笑)。高橋の乾いたジャストなリズムとちょっとオールディーズな感覚が「音楽殺人」を思わせる仕上がり。

 10.浮かびのピーチガール / シーナ&ザ・ロケット
 メンツもアレンジも完璧にYMO。ただし、YMOにしてはちょいとのどか過ぎるという気もしますが(笑)。もうちょっとテンポが早ければ、「増殖」とか「スネークマン・ショー」にぴったりかも。

 11.ラジオと二人, 12.アパルトマン / ラジ
 この時期の高橋プロデュースとしては、ヨーロッパ指向とテクノ融合という意味で、多分もっとも成功したのがラジじゃないですか。この2曲は「真昼の歩道」からだけど、タイトル曲とか「キャトル」と一曲目なんかもいれて欲しかったなぁ。

 13.春咲小紅 / 矢野顕子
 問答無用ですね(笑)。それにしても、この曲から四半世紀もたっているのに、この人の破格な音楽的自我は、現在も微動だにしませんね。この曲もあの声でYMOサウンドを完璧にねじ伏せてます。

 14.ハイスクール ララバイ, 17.ティアドロップ探偵団 / イモ欽トリオ
 どっちもまともに聴くのは初めてですが、「ライディーン」と「テクノポリス」あたりのパロディって感じですかね?。おそらくやっつけ仕事なんでしょうけど、てっとり早く仕上げてもこうなる的細野さんの職人芸を感じます。曲としては「ティアドロップ探偵団」の方が細野さんクサイです。

 15.コンピューターおばあちゃん / 酒井司優子
 もちろんこれも初めて聴く曲。クラフトワーク的なシンセベースがマニア心をそそります。あと、立体的に仕上げたシンセ・サウンドがいかにも坂本だし、中間部のオーケストレーションなどけっこう聴きどころ多いです。しかし、このロリ声には絶句!。

 16.恋はルンルン / 伊藤つかさ
 坂本のちょっとヨーロッパの香りのする上品なアイドル声+テクノ路線ですが、この線だと飯島真理あたりが完成型で、この曲はそのプロセスという感じもなくはない、坂本的ボキャ満載アレンジがちょいと不発気味というか。

 18.プリティー・ボーイ……大・丈・夫 / 中原理恵
 「ニウロマンティック」や「ボク、大丈夫」あたりの高橋サウンドを少し薄めて、都会調な女性ヴォーカルを乗せたような仕上がり。中原理恵ってYMOファミリーだったのかぁ。ブロデュースは高橋ですけど、細野さんがやっても合いそうな声だったんですね。

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日本作曲家選輯/橋本國彦

2005年03月14日 18時41分26秒 | クラシック(20世紀~)
 もはやクラシックの廉価盤レーベルというには、あまりにメジャー化し、かつ巨大化したナクソスですが、同レーベルで個人的に最も注目しているのが、「日本作曲家選輯」という、戦前から現代に至る日本の作曲家の作品にスポットライトを当てたシリーズです。先日、とりあげた伊福部先生のアルバムもその一枚ですが、日本のレコード会社の邦人作曲家への冷遇ぶりを尻目に、この香港のレーベルは将来的に数十枚のオーダーでこのシリーズを出す計画なのだそうで、資料的な価値はもちろんのこと、一種の文化事業としても素晴らしい企画だと思います。

 今回聴いたのは、橋本國彦の作品集(沼尻竜典指揮/東京都交響楽団)です。この人は戦前の楽壇をリードした存在らしいのですが、なんでも第二次大戦中の国策に音楽でもって協力したということで、その音楽は近年まではほとんど封印状態だったらしく、このアルバムに収録された2曲、交響組曲「天女と漁夫」と交響曲第1番は、いずれも世界初録音となっています。
 この2曲から感じられる彼の作風は、ミもフタもない表現をしてしまえば、「平安朝な旋律をロマン派の形式と管弦楽で表現した」ってところですかね(怒られそうだな-笑)。当時の日本の状況からすると、もう少し西洋コンプレックス丸出しの泥臭い音楽を展開しているのではないかとも予想しておったのですが、なかなかどうして、非常に洗練された音楽になっていて、西洋音楽の巧みな換骨奪胎ぶりは、加工文化ニッポンの面目躍如といったところでしょうか。

 交響曲第1番は、全3楽章、46分に渡る堂々たる作品で、第1楽章はマーラーやツェムリンスキー、そしてワーグナーあたりを思わせる瀟洒なオーケスレーションでもって、淡麗な日本な旋律を見事にうたいあげ、第2楽章は、両端に沖縄の旋律、真ん中にスケルツォを挟んだ複合的楽章(通常の2楽章と3楽章を統合化)で、両端におかれた沖縄風のパートはちょっとポロディンの「中央アジアの草原にて」風、中間部の日本的な祭りの音楽とスケルツォの融合といった感じで前楽章が「ドイツロマン派の鋳型に流し込んだ日本の情緒」だったとすると、この楽章はロシア音楽の鋳型に流し込んだそれという感じ。ハイライトである第3楽章は、伊沢修二の「紀元節」を主題とした変奏曲で、ブラームスの「ハイドン変奏曲」やエルガーの「エニグマ演奏曲」あたりを彷彿とさせる堂々たる仕上がり、終盤のフーガで「紀元節」のテーマがほぼ原型どおりに再現するあたりの盛り上がりなど感動的です。

 一方、交響組曲「天女と漁夫」については、ロシア~スラブ音楽+印象派的なムードに、日本的情緒を溶け込ませたような作品で、基本的には前述の交響曲と同じようなコンセプトで作られているようです。ただし、もとがバレエ音楽というだけあって、素材の取り扱いは自由ですし、ドメスティックな土俗的ダイナミズムが強調されるところもあったりして、趣としてはかなり奔放な作品という感じがしました。

 そんな訳で、この2曲は一聴して気に入り、以降お気に入りになりました。ライナーを読むと橋本國彦はこの2曲の他にも興味深い作品がいろいろあるようなので、これを機会に是非他の作品も聴いてみたいところです。
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UC/Y.M.O.(SACD)

2005年03月13日 20時21分43秒 | JAPANESE POP
 それにしても、YMOのベスト盤は、これで何組目になるのだろうか?。彼らが活動中に出した「Multi Plies」や一応メンバーのお墨付きといえなくもない「Sealed」、「Techeno Bible」、「YMO Go Home」あたりはまだしも、YMOの散会後、アルファがベストやそれに類する編集盤を怒濤の如くリリースしたおかげで、いささかうんざりしているムキも多いのではないだろうか。
 ともあれ、また出たのである。タイトルは「Ultimate Collection of YMO」。前回の「YMO Go Home」は細野晴臣の選曲で東芝からのリリースであったが、今回はソニーからの発売、また、前回のものとは別物であることを強調したかったのか、坂本龍一の選曲でパッケージは真っ赤、しかもメディアがCDではなく、SACDという思い切った形となった。SACDは現在お世辞にも普及しているとはいえないが、最近はユニバーサルがかなり積極的に同メディアの発表していることから、ご本尊のソニーとしてもここのあたりで自社のSACDカタログを拡張しておきたいとの思惑もあったと思われる。

 さて、今回のベストだが、前回の「YMO Go Home」とは異なり、ほぼYMOの活動の時系列にそった形で選曲、構成されている。その意味では「Techeno Bible」に近いものがあり、「増殖」までを1枚目、「BGM」以降の楽曲が2枚目という構成も、まぁ似たような趣向となっている(坂本龍一選曲という側面はあまり重視することもないことでもないだろう)。
 収録曲は、おおよそ1ダース半あるくらいと思われる「問答無用のYMOクラシック」+α+ボーナストラック3曲といったところだが、特徴としては「増殖」からの収録曲が多い反面、「BGM」と「Tecnodelic」の収録曲が少ないことがあげられるかもしれない。前回落選したシングル曲もきっちり収録されており、SACDという新しい革袋で「公的YMO」のイメージを今一度押さえようという意図伝わってくる選曲、構成といえる(ちなみに、ファースト・アルバムからの曲はオリジナル・ミックス・ヴァージョンを採用、「Technopolis」はシングル・ヴァージョン、磁性期はステレオ・ヴァージョンだ)。

 音質の方だが、これはさすがSACDというべきだろう。YMOのCDといえば、これまでずいぶんと長いこと不遇をかこっていて、近年の「Techeno Bible」、紙ジャケによる再発、「YMO Go Home」でようやく満足できる音質、音圧になってきた訳だが、今回のリマスターでは当然その上を行くクリアなものになっている。
 YMOの音楽は多分メンバー3人の個性なのか、音楽的に作り込み過ぎるところがあり、その結果としてレコードやCDでは、詰め込まれた情報量の多さ故に、やけに賑々しく、時に飽和して聴こえてしまうところがなきにしもあらずだったが、SACDではそのあたりを感じることがほとんどなく、YMO的な豊富な音楽情報を、むしろ長所としてストレートに愉しむことができるのだ。この傾向は「君に胸キュン」、「Rydeen」といった情報量満載のポップな楽曲で顕著であり、いささかオーバーにいえば、自宅のオーディオシステムでこれほど精彩な分離とフラット感を伴い(かつ騒々しくなく)、これら楽曲が鳴ったことは、これまでなかった体験だといえる。

 という訳で、本作はごくごく真っ当なベスト盤である。真っ当さという意味では、細野晴臣の構成の妙でマニアックに仕立てられた「YMO Go Home」などよりは、よほど素直にYMOをレトロスペクティブできる作品だろう。惜しむべきは、SACDの高音質を現段階では、未だ多くの人が享受できないという点だ。本アルバムはCD版もあるらしいが、リマスタリングの効果はCDでも期待できるとしても、この音質をCDで再現することは、多分不可能だからだ。
 なお、ボーナストラックは、映画「プロパガンダ」の大詰めのシーン用に録音された祝典的で壮大なコーダともいえる"M16"、CMで使われたらしい「Behind The Mask」、中本マリとのTVオンエア用の音源からの断片「恋人よ我に返れ」の3曲となっている。どれも後期YMO(というかこの時期の坂本の音楽)の落ち穂拾いのような代物で、マニアにはともかく、普通のファンにはとりたてて有り難がた味のあるトラックではない。(2002年9月15日)
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イエローマジック歌謡曲/various artists

2005年03月13日 08時45分00秒 | JAPANESE POP
 あのYMOブームから早四半世紀、当時YMOの洗礼を受けた当時のテクノ・ポップ・ジェネレーションは(多少董はたってましたが、一応私もそのひとりです-笑)、今も様々なところで元気一杯、とにかく、その影響力は未だ衰えるところを知らず、レトロスペクティブも盛んという訳で、遂にこういう代物まで出てしまいました。
 当時のYMOは別に金に困っていた訳でもないだろうに、自らのテクノ的ボキャブラリーをワーカホリックをよろしく、歌謡曲、ニューミュージック、ロックなど様々な分野で、貪欲なまでに増殖させていった訳ですが、このアルバムはその時期を中心に、YMOのメンバーが様々な形で関わった「テクノ ・ポップ歌謡曲」的なアイテムを集めたコンピレーション・アルバムです。しかも、CD3枚、全55曲というもの凄い分量で、あの頃、YMOがもたらした衝撃波の凄まじさを、いつもとはちょっと違った視点からレトロスペクティブさせてくれます。

 収録曲の詳細については、後続のディスク編に譲りたいと思いますが、知っていた曲は6割くらいですかね。ニューミュージックやロック系なのは当時から大体押さえていましたが、松田聖子以外のアイドル系はほとんど未知の曲でした。イモ欽トリオでさえ、きちんとして聴いたのは今回が始めてです(笑)。なもんで、聴いているこちらとしては、懐かしい曲と「へぇ、こんなのやってたのねぇ」的に意外な曲が交錯する感じで、そうこうしている内にそれぞれの楽曲の背景にあるYMOという巨大が存在が浮かび上がるってな寸法。聴き終わる頃には、「やっぱYMOって、まぎれもなく1つのムーブメントだったなぁ」と思うことしきり。
 これは当時も思ったものですが、音楽的イノベーションという点で、YMOは60年代のベンチャーズを筆頭に到来したエレキ・プームに匹敵するものがありましたよね(ひょっとしたあれ以上だったかも)。

 そんな訳で、このアルバムレビュウの方も、3枚組という分量相応に多くなりそうなので、今回はここで切り上げ、個々の収録曲については後続のディスク編に譲りたいと思います。
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あみん/P.S.あなたへ.....

2005年03月12日 03時05分43秒 | JAPANESE POP
 あみんのデビュウ作。彼女達はこの後、中途半端なアルバムを一枚残して、解散してしまい、結局、ソング・ライティングを担当していた岡村孝子の方が、ソロとしてあみんの音楽を継承していくことになるのは、ご存じのとおり。

 思い出してみると、岡村孝子が「夢の樹」というアルバムをあみんと同じ萩田光雄の編曲出した時、「なんだ、あみんって、岡村孝子そのものだったんだぁ」みたいな意見が多かったような気がするんだけど、個人的には「うっそ~、これはやっぱあみんとは似て非なる世界だよ」ってな印象だったんですよね。
 結局、あみんって、70年代初頭から面々続く歌謡フォークの流れの最終ステージみたいなものだったのに対して、岡村孝子のソロというのは今で云えばOL向けJ-Popの始祖みたいな感じだったんだじゃないですかね。つまり両者はつながっているようで、微妙に断絶しているようにも思えるんですけど、どうでしょうか。

 とまぁ、どうでもよい小理屈はともかくとして(笑)、今聴くと、あみんの音楽って当たり前だけど、コーラスがフィーチャーされているのがいいです。このさらさらとして、ベタつかない清涼感は(歌詞はそうとうベタついているが-笑)、多分、若い女性がやったフォーク・デュオ特有の世界で、今の日本ではもちろん絶無、昔は一杯ありそうだった気がしますけど、実はあまりなかったスタイルだと思うんですよね。今の業界にはこれ聴いて育った世代がにいっぱいいるだろうから、誰かテキトーな人材使ってあみんのリニューアル版みたいな音楽やったら、おもしろいんじゃないすかね....直球すぎてダメか(笑)。

 ついでにあみんといえば、加藤晴子のヴォーカルの魅力も意外と大きいです。大名曲「潮の香りの中で」のヴォーカルは、多分、彼女の方が担当していると思うんだけど、後に岡村がソロで再録したものより、声質といい、感情の表現といい、単にボーカリストとしてだけなら、岡村よりずっといいものを持っていたことがわかります。
 結局この人は、あみんの後、カタギの世界に戻ってしまったようなんですけど(昨年の岡村のステージにはゲスト参加して「待つわ」を歌ったとか)、「コーヒーはきらい」とか「冬」とかの、多分、プロダクション・サイトに無理矢理おっつけられたとおぼしき(笑)、岡村が書いていない曲でのヴォーカルを聴くと、職人的なソロ・ヴォーカリストとしても、2,3枚アルバムを作ってもよかったようにすら思ったりします。

 ちなみにアレンジは萩田光雄で、この人の膨大な編曲歴でも、この作品は久保田早紀あたりと並んで最高に洗練された職人芸を披露したものだと思います。ボザ・ノヴァ、フランシス・レイあたりの手法をなにげに歌謡フォークにとりこんでしまうセンスは抜群です。

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私の愛機 [3] STAX Lambda Nova Signature(EarSpeaker)

2005年03月12日 00時30分00秒 | PC+AUDIO
 スタックスのヘッドフォンは、一般的なヘッドフォンとは全くことなる仕組みで鳴るコンデンサー型ヘッドフォンといいます。入力も変わっていて、アンプやCDPなどにあるヘッドフォン・ジャックからは鳴らすことはできず(そもそもあすこには入りませんけど)、専用のヘッドフォン・アンプみたいなものが必要です。とまぁ、ここまで書いてくれば、なんとなく分かっていただけると思うのですが、Staxというのは非常にマニアックなヘッドフォンではあるんですね(笑)。

 で、スタックスのヘッドフォンを私は20代の中盤頃知りました。最初に購入したのは確かSR-ΛPROで、ドライバーはSRD-7MK2だったと思います。とにかく一聴して、その高い分解能と、ベタつかず、まるで羽毛のように軽やかな繊細さに驚愕したものです。それまでも決して安いヘッドフォンを使っていた訳ではないのですが、それらとはあまりに別次元の音がしたので、すぐさまその音の虜になり、場合によっては昼でもこれを使って大音量で音楽を聴いていたくらいです。まっ、早い話、スピーカーの音がスタックスに完璧に負けていた訳ですが(笑)。

 それから、約10年後に購入したのが、Lambda Nova SignatureとSRM-T1Wを組み合わせたSYSTEM Wというセットで、多分、13万くらいしたと思います。高い買い物でしたが、これまで以上の明快さと、真暖色系な量感がプラスされた、それはもう惚れ惚れするくらい素晴らしい音質で、13万という価格は一聴して納得できました。同時に「いつか、このくらい音をスピーカーで鳴らすとすれば、それにはいったい何百万かかるんだ?」と思って、ため息もでましたが....(笑)。ともあれ、これもまた以降10年近く使っていくことなります。

 そして、1~2年前ですが、ついに「究極のStax」といわるSR-007+SRM-007tを踏ん張って購入しました(価格は合わせて30万!)。さすがに最高峰といわれるだけあって、これまでのStaxのイメージを覆すような、雄大な低音とリッチな音の感触は確かに素晴らしかったものの、しばらく使っているうちにどうも音が厚手過ぎるというか、あまりアナログライク過ぎるのが肌にあわず(クラシックだけなら、極上なんですが)、結局、Lambda Nova Sに戻すことなったのです。

 そんな訳で、このLambda Nova Sは、私が日々愛好するオーディオ機器で、もっとも古参かつ使用頻度の高いのものとなりました。私はStaxの音が大好きなので、実は前述の商品の他にも、ケージタイプで軽い装着感のSR-αPROや今や伝説的な籠型のデザインで、音が前方から聴こえる!SR-ΣPROなども所有しておるのですが、装着感といい、音質といい、やはり自分にはLambda Nova Sが一番なようです。ここ数年、自室のオーディオ・システムのグレードが急速に上がったため、もはや「スピーカーの音がスタックスに負ける」ということはありませんが、JBLを真夜中に鳴らすことなど現在の環境では不可能ですから、夜ともなればスタックスの登場と相成る訳でして、これからも長いつきあいになりそうです。
 

<私の使ったSTAXの機種>
 ・ SR-ΛPRO(1982)
 ・ SR-αPRO(1985)
 ・ SR-ΣPRO(1987)
 ・ Lambda Nova Signature(1994)
 ・ SR-003 (1997~)
 ・ SR-007 (1998~)

 ・ SRD-7MK2(1985)
 ・ SRM-T1W(1994)
 ・ SRM-007t (1998~)
 ・ SRM-717 (2000~)


◆ STAX Unoffcial Pageに商会されているLambda Nova Signature(1994)の紹介ページ ◆
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リー・ワイリー /ナイト・イン・マンハッタン

2005年03月11日 21時05分05秒 | JAZZ
 
 昔から気になっていたジャケですが、そろそろこういうのを買って聴く年だろうと(笑)、購入してきました。リー・ワイリーっていうと、なんとなく昔から「ジャズ・ヴォーカルの麗人」みたいなイメージありましたけど、実際の音楽を聴いてみると、楚々というよりも、ハスキー・ヴォイスに加え、独特なヴィブラートが「酸いも甘いもかかみ分けた、粋なお姉様」みたいな感じを誘います。こんな声だったか!>リー・ワイリー。

 ただ、私はハスキー系の女性ヴォーカルって、決して嫌いな訳ではないんですけど、どうも好きになるまでに時間がかかる性質らしく、アニタ・オデイとかヘレン・メリルなんてところは良いとか悪いとか思う以前に、あのクセに慣れるのが時間かかった記憶があります(ダイアナ・クラールも好きなるまで、いったい何枚アルバム買ったことか-笑)。なもので、何度か聴き込んでみないことには、この人の声、好きなのか嫌いなのかわかんない....ってのが正直なところ。知らない曲も多いことだし。

 バックはピアノ・トリオ+トランペット、曲によっては小規模なストリングスが付きます。録音は50年代初頭らしいですが、雰囲気的には明らかに40年代風。ジャズ・ヴォーカルが大いに受けている昨今でも、この雰囲気はノスタルジックさを超えて、ある種アルカイックな風情すら漂いますね。
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