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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

トーマス・フィンク・トリオ/My Romance

2005年03月15日 12時30分00秒 | JAZZ-Piano Trio
 澤野工房の1枚です。ドイツのピアノ・トリオらしいのですが、スタンダート嗜好、ビル・エヴァンスの影響、やや硬質でクリアなピアノのタッチなどの点で、先月レビュウした同じドイツのビアニスト、アーノルド・クロスにちょっと似ているような印象を受けました。ただ、アーノルド・クロスがインプロやリズムにある種の音楽主義的面なこだわりを感じさせたのに対し、トーマス・フィンクの方は、良くも悪しくもあっけらかんとして、カクテル風に甘口なBGM的なムードに染まっているのが特徴かと思います。

 収録曲ですが、音楽的にはインプロ主体のジャズっぽいムードの「オール・ザ・シングス・ユー・アー」と、イージー・リスニングすれすれBGM風な「ムーン・リバー」が両極という感じで、その間にビル・エヴァンス絡みの「マイ・ロマンス」「マイ・フーリッシュ・ハート」「ターン・アウト・ザ・スターズ」、そしてボサ・ノヴァやブルース、あとラテン風なリズムを使ったオリジナルが数曲が入るという感じですかね。こう考えると、けっこうバラエティに富んでます。

 スタンダードについては、ほとんど日本人が選曲したんじゃないかと思うほど、メロディアスなものが選ばれていて、やや装飾的なフレーズを多用するところはあるものの、基本的にはストレートかつスムースに歌っていて、明らかに旋律重視なタイブとお見受けしました。まっ、その意味ではヨス・ヴァン・ビーストにも近いような気もしますが、こういう雰囲気重視みたいな音楽やっても、どこか律儀さが感じられるのはドイツ人故かもしれません。生真面目におシャレっぽいムード演出してるっていうか(笑)。

 5曲ほど入った、オリジナル作品はいろいろなスタイルに挑戦して器用なところを見せていますが、基本的にはどれもイージー・リスニング風なムードで、前述のスタンダード作品より、ひょっとするとこっちの方にこの人の特徴がよく出ているのかもしれません。「オータム・フィーリング」「トムズ・ワルツ」などの上品かつムーディー・センスはなかなかのもので、とっても楽しめました。

 そんな訳で、これも澤野工房らしいとしかいいようがない1枚。いく分キメ手に欠くキライはありますが、B級っぽいのもまた楽しや....で、最近の私の愛聴盤です。
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イエローマジック歌謡曲<Disc.1>/various artists

2005年03月15日 00時23分03秒 | JAPANESE POP
 ディスク1は79年から82年まで、つまりYMO最盛期のクロスする曲目が収録されてます。ほぽ、当時の歌謡曲とは隔絶した全編テクノですね。


 01.YELLOW MAGIC CARNIVAL(single version) / マナ
 初めて聴ききました。パンチのある声に、YMO前夜の細野サウンドが融合した感じで、ニュー・ミュージックなんだか、歌謡曲なんだかわからないボーダーな感じがいかにも細野さん。ストリングスのアレンジが時代っすね。

 02.エレクトリック・ラブ・ストーリー / 近田春夫
 細野さんは編曲だけなのに、なんか歌っているのも細野さんのように聴こえたりしますが(笑)、基本的にこの曲のターゲットになったのはジュリーなんでしょうねぇ。一方、ベースは「テクノポリス」のパターン。当時何度も聴いているハズだけど、全く記憶に残ってませんでした。

 03.ユー・メイ・ドリーム / シーナ&ザ・ロケット
 久しぶりに聴いたんですけど、あの頃は強く感じたニューウェイブ的感触より、今聴くとオールディーズ的なムードの方を強く感じます。タイコの高橋を筆頭にリズム的にはほとんどYMO。

 04.チャイナ ローズ / 金井夕子
 これも初めて聴く曲。金井夕子なんて名前も知らなかったな。エキゾチックな細野サウンドに、坂本ストリングスとアイドル声が乗るってパターンなんだけど、全く古びてないのが妙。それにこのコやけに歌が上手い。

 05.憧れのラジオ・ガール, 06.夜の翼 / 南佳孝
 お懐かしや、南佳孝!。「憧れのラジオ・ガール」はビートルズっぽいリズムにヴォコーダーの組み合わせがめちゃくちゃポップに響いたものだった。終盤近く坂本ヴォコーダーが思わずひとり歌っちゃうところなどサイコーにお茶目ですね。「夜の翼」はテクノで解釈されたタンゴ、この時期のひとつのパターンで、YMO絡みでは加藤和彦やラジなんかもやってたよなぁ。坂本の巧緻なアレンジに脱帽。

 07.IDOL ERA / サンディー
 これはほとんどYMOですね。「ソリッド・ステート・サバイバー」か「増殖」に入っていてもおかしくない感じ。ぶっといリズムと呪術的サウンドは細野の好みが出たというところか。そうそう、当時から思っていたんだけど、サンディーの声ってケート・ブッシュに似てないですか?。

 08.CARNAVAL / 大貫妙子
 そういえば、大貫妙子も「ロマンティック」と「アヴァンチュリエール」はけっこうYMOに接近してましたよね。この曲などその筆頭ですが、この手のサウンドに乗っても大貫妙子の世界になっているのはさすが。でも、当時はけっこう超然として聴こえたター坊の声も、今聴くとけっこう娘々してますね。

 09.AH! SOKA / スーザン
 スーザンもほとんど覚えていない。当時は和製リナ・ラヴィッチみたいなイメージだったんだけど、この曲を聴くと全然違うじゃないか(笑)。高橋の乾いたジャストなリズムとちょっとオールディーズな感覚が「音楽殺人」を思わせる仕上がり。

 10.浮かびのピーチガール / シーナ&ザ・ロケット
 メンツもアレンジも完璧にYMO。ただし、YMOにしてはちょいとのどか過ぎるという気もしますが(笑)。もうちょっとテンポが早ければ、「増殖」とか「スネークマン・ショー」にぴったりかも。

 11.ラジオと二人, 12.アパルトマン / ラジ
 この時期の高橋プロデュースとしては、ヨーロッパ指向とテクノ融合という意味で、多分もっとも成功したのがラジじゃないですか。この2曲は「真昼の歩道」からだけど、タイトル曲とか「キャトル」と一曲目なんかもいれて欲しかったなぁ。

 13.春咲小紅 / 矢野顕子
 問答無用ですね(笑)。それにしても、この曲から四半世紀もたっているのに、この人の破格な音楽的自我は、現在も微動だにしませんね。この曲もあの声でYMOサウンドを完璧にねじ伏せてます。

 14.ハイスクール ララバイ, 17.ティアドロップ探偵団 / イモ欽トリオ
 どっちもまともに聴くのは初めてですが、「ライディーン」と「テクノポリス」あたりのパロディって感じですかね?。おそらくやっつけ仕事なんでしょうけど、てっとり早く仕上げてもこうなる的細野さんの職人芸を感じます。曲としては「ティアドロップ探偵団」の方が細野さんクサイです。

 15.コンピューターおばあちゃん / 酒井司優子
 もちろんこれも初めて聴く曲。クラフトワーク的なシンセベースがマニア心をそそります。あと、立体的に仕上げたシンセ・サウンドがいかにも坂本だし、中間部のオーケストレーションなどけっこう聴きどころ多いです。しかし、このロリ声には絶句!。

 16.恋はルンルン / 伊藤つかさ
 坂本のちょっとヨーロッパの香りのする上品なアイドル声+テクノ路線ですが、この線だと飯島真理あたりが完成型で、この曲はそのプロセスという感じもなくはない、坂本的ボキャ満載アレンジがちょいと不発気味というか。

 18.プリティー・ボーイ……大・丈・夫 / 中原理恵
 「ニウロマンティック」や「ボク、大丈夫」あたりの高橋サウンドを少し薄めて、都会調な女性ヴォーカルを乗せたような仕上がり。中原理恵ってYMOファミリーだったのかぁ。ブロデュースは高橋ですけど、細野さんがやっても合いそうな声だったんですね。

コメント (1)
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