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ザ・ストーン・ローゼス/石と薔薇

2005年03月30日 00時01分23秒 | ROCK-POP
 1989年頃だったと思うんだけど、突如マンチェスターから登場したストーン・ローゼスに対するロッキング・オン周辺の盛り上がり方は尋常ではなかった。とにかく「60~70年代ロックをリアル体験できなかった、遅れてやってきたロック・エイジ達が、それを追体験すべくストーン・ローゼスに全てを託す」ってな雰囲気だったように思う。

 既にもう後戻りが不可能なほど音楽が多様化して、ロックなどもはや「時代の音楽」でさえなくなっていたあの時期、かつてのあったニュー・ロックの熱狂など、90年代に追体験などできる訳もなかったのだが、とにかく「80年代は何もなかった、でも90年代はストーン・ローゼスがシーンをひっぱるのだ」みたいな熱気だけは、ロック的同時代性から既に脱落しかけていた私にも伝わってきたものだ。オーラスの曲など、ビートルズの「リボルバー」、レッド・ツェッペリンの1枚目、ディープ・パープルの「イン・ロック」、あとXTCの1枚目あたりのオーラス曲と共通するような、バンドが別の次元へ向かって突き抜けて行くかの如き、まさにロックとしかいいようがない怒濤の混沌パワーがあって、「なるほど、これは本物かもしれん」などと感じたものだった。

 ところが、ご本尊のストーン・ローゼス自身はこれを出した後、確かメジャーのゲフィンと契約して、いよいよワールドワイドで大ブレイクか?期待させたのとは裏腹に、元々契約していたマイナー・レーベルとコダゴタなどで、5年も待たせた挙げ句、やっと出した2枚目(未聴)はあまり盛り上がることもなく、そのまま消滅してしまうという、ほとんど笑えない末路をたどったのは周知の通り。結局「80年代は何もなかった、そして90年代も何もなかった」となった訳だ。となれば、あの熱狂は単なる空騒ぎだったということになるのだろうか。ついでにいえば、私のサブカル的なロック同時代体験ってのも、多分このあたりがピリオドだったと思う。

 まっ、それはともかくとして、このアルバムも発表後早15年、なんかもう立派なロック・ヴィテージ物になったような気がする。当時はフォーク的な繊細さとダンス・ビートの融合が新しいなどといわれたものだけど、今となってはあっという間に水増しされて一般化してしまったこうした方法論より、今聴くと心を掴むメロディだとか純粋にロック的ダイナミズムといったものの方が印象に残る。また、そういうもんがあったからこそ、今聴いても音楽としての生命力を感じるのだろうとも思う。結局は音楽だけが残ったというところなんだろうけれど、同じ頃、同じように評価されていた、ライドとかハッピーマンデーズとかのマンチェスター勢って、今聴くと、どうなんだろう、ローゼスのような生命力を感じるのだろうか?。
コメント (2)
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