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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

リヴィング・スキャット フィーチャリング 伊集加代

2005年03月07日 12時15分00秒 | サウンドトラック
 ネスカフェ・ゴールド・ブレンドのコマーシャルでもう四半世紀はお馴染みの、例のダバ・ダーって曲でスキャット・ヴォーカルをやっていたのが、伊集加代という人、CMやらジングル、バック・コーラス等で参加した曲は数千以上という典型的なスタジオ・ミュージシャンのようです。

 80年代のピチカート・ファイブあたりが出発点なんですかね。近年はモンド・ミュージックとかいって、60年代後半~70年代前半くらいのイタリア&フランスの映画音楽だとか、日本のTV&CMミュージックあたりの刹那的、享楽的な音楽が異常にもてはやされたりしていますが、これもその流れで復刻されたもので、いわば真打ち登場といったところでしょうか。

 1曲目は問題の?ネスカフェのCMでお馴染みの「めざめ」(っていうタイトルだったんだ-笑)ですが、フル・ヴァージョンで聴くとイメージがけっこう違いますね。どっちかというとスウィングル・シンガーズ風にクラシカルな感じです。なんでも、もっと古い録音で、1分くらいのショート・ヴァージョンというのもあるようですが、そっちも聴いてみたいもんです。なにしろ長い間、使われた曲なので、きっとその他にもいろいろなヴァージョンがあるんでしょう。全部収録されたアルバムなんてもそのうち出るのでは....?。

 残りの曲は当時のカバーを中心とした匿名性の高い企画物みたいなアルバムからで構成。大半がカバー作品で、アレンジはボサ・ノヴァ、ソウル、バカラックといろいろ。本場物の味付けをパクった、いわば「類似品のおもしろさ」というべきものてす。伊集加代のスキャットも、例えばダニエル・リカーリみたいなその道一筋の凄みとか美しさみたいなものではなく、「とりあえず、軽く歌ってみました」的な投げやりな軽快さが、逆に今の時代に受けているんでしょうね。
 
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バーナード・ハーマン/ヒッチコック映画音楽集 (SACD)

2005年03月07日 00時00分00秒 | サウンドトラック
 バーナード・ハーマンは映画音楽のみならず、あらゆる分野で私がもっとも好きな作曲家です。彼はオーソン・ウェルズの名作「市民ケーン」の音楽で映画音楽の分野にデビューした訳ですが、50年代以降は主にヒッチコックとのコンビで数々の名作を作っていったのは、映画に詳しい方なら既にご存じのことでしょう。
 ハーマンの作風は一口にいって、「第二次大戦後に遅れてやって来たロマン派の末裔」といったところですが、聴く者を不安な世界に誘うようなニューロティック(神経症的)な雰囲気や、ある種極限を行くようなロマンティックさを、独特なオーケストレーションで表現しているのに特徴がありました。
 
 さて、このアルバムはエサ・ペッカ・サロネンとロスアンジェルス・フィルという当代一流のクラシック・コンビがハーマンの書いたヒッチコック作品を中心に演奏したもので、こうしたアルバムが出るところをみると、ハーマンの作品も単に映画音楽という枠を超えて、古典音楽となりつつあることを感じさせます。
 選曲されたのは、「知りすぎていた男」「サイコ」「マーニー」「北北西に進路をとれ」「めまい」「引き裂かれたカーテン」といったヒッチコックの名作群の他、トリュフォーの「華氏451度」とスコセッシの「タクシー・ドライバー」なども選ばれており、さながらハーマンズ・グレイテスト・ヒッツといった様相を呈しています。ハーマンの入門にはぴったりの内容といえるでしょう。しかも、「知りすぎていた男」「引き裂かれたカーテン」については、ほとんど世界初録音といってもいいものであり、マニアにも見逃せない内容となっているあたり心憎いものがあります。

 演奏については、オリジナル・サウンド・トラックの濃厚な趣は、時代的に望むべくもありませんが、おそらくサロネンはハーマンのことが好きなんでしょう、本業の分野でも偏愛しているストラヴィンスキー同様、テンポもバランスも極めて妥当、キレのあるリズム、すっきりとした表情でスムースで流す一方、細部をおろそかにしない端正さも伺わせる解釈は、作曲者に対する愛情を感じさせます。また、ロス・フィルはいわばハリウッドのご当地オケだけあって、華やいだムードと優秀な機動力はこれらの映画音楽にぴったりだと思います。

 なお、本作品はSACDでも出ているので、CDと比べてみましたが、元音源はDSDでなく、マルチビット録音のようですから、理屈でいえばSACDの優位性はそれほどでもないハズなのですが、やはりこうした大規模なオーケストラ物だと、まるで天井が高くなったかのように聴こえるホールの残響、各楽器、特に弦楽器群の分離、そして滑らかな音の質感等といったいくつかの点で、CDというメディアでは実現できない美質が満喫できます。
 
コメント (3)
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