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The James Bond Collection

2005年03月20日 23時17分58秒 | サウンドトラック
 007シリーズのサントラといえば、最近ほぼ全作がボーナストラック入りでリマスター盤として再発され、根っからの007ファンの私は驚喜して聴きまくっている昨今なのだが、こちらはそれとは全く関係のない別のアルバムである。ニック・レーン指揮によるプラハ市立フィルハーモニー管弦楽団による演奏で、「ドクター・NO」から前作「ザ・ワールド・イズ・ノット・イナフ」までをサントラの聴き所をCD4枚組で楽しんでもらおうという趣向だ。
 このシリーズのベスト盤といえば、かつてオリジナルの主題歌のみを集めたものは数種類出ていたし、シリーズの有名どころをオケで演奏したアルバムもないではなかったが、聴いてみると、どうもオリジナルのスコアからかけ離れた金ぴかのケバいアレンジのものが多く、どうもサントラ・ファンとして満足できる代物にはお目にかかったためしがないのだが、こちらはそれなりに満足できる仕上がりだと思う。

 まずその理由として、オリジナル主題曲のオーケストラ版の演奏だけではなく、劇中のサントラとして聴き所をオリジナル・スコアにかなり忠実に再現し、それを小組曲風に各映画単位で割り振っているところがあげられる。特に「ドクター・NO」については、サントラ盤には劇中のオーケストラ演奏がほとんど収録されていないので、ニック・レーンが再現したこの組曲の存在は実に貴重だし、その他の作品についても、例えば「ゴールド・フィンガー」ならフォートノックスのシーン、「サンダーボール」「ロシア」ならあの007のセカンド・テーマといった具合に、あすこが聴きたい、ここは是非とりあげて欲しいと思うところは、各作品ともほぼ8割方押さえており、選曲面ではマニアでもかなり満足できるのだ。

 加えて音質の良さ、最近リマスター盤が出てかなり良い音質で楽しめるようになったとはいえ、初期のサントラ盤の貧弱な音質に我慢していたファンとしては、細部までクリアかつ広大なダイナミック・レンジのデジタル録音で聴くショーン・コネリー時代の名作の数々の場面は、まさに待望久しい出来事とさえいえよう。「二度死ぬ」でおそらく一番有名なロケットがスペクターに拿捕される場面の音楽やテーマ曲など、こうした理想的録音で聴くとバリーの巧緻で立体的オーケストレーションもオリジナルの数倍は映えようとというものである。

 もちろん、バランスやテンポ設定など「ちょっと違うんじゃねぇの」と思うところはないでもないし、バリー以外の人が担当した音楽については妙に冷遇されているところや、4枚組のボックスセットにしてはブックレットなしで安っぽい装丁である点なども含め、発売元のSilvaというレーベル(イタリア)の常とはいえ、やや企画にのみ頼って細部の仕上がりに雑なところがないではないから、かつて出たヒッチコック作品のアンソロジー同様、ファンから決して満点はもらえないだろうが、とりあえず75点くらいはあげられるのではないだろうか。

 そんな訳で、007シリーズのついては主題曲はベスト盤。スコアについてはこれを入手すればとりあえずシリーズの音楽の全貌を俯瞰することはできるだろう。そんな意味では便利なアルバムであり、企画ではある。このアルバムをきっかけにして、次はアメリカのVarese Sarabandeあたりで更に豪華なアルバムでも企画してもらいたものだ。(2003年9月13日)

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