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The BEATLES / Let It Be... Naked

2005年03月18日 00時24分13秒 | Beatles
 話題の新作(?)である。ビートルズ名目上のラスト・アルバムである「レット・イット・ビー」から、毀誉褒貶の激しいフィル・スペクターによってプロデュースされた部分を最新のデジタル技術を使って、その痕跡を消し去る....というコンセプトが話題になっているアルバムで、来年中にDVDで発売される、映画「レット・イット・ビー」に先行するサントラという位置づけにもなっているらしい。

 収録曲自体はオリジナル・アルバムから「ディグ・イット」と「マギー・メイ」をカットし、そのかわり「ドント・レットー・ミー・ダウン」をプラスした程度で、その意味では大した変動はないが、話題となっているリミックスや採用されたテイクの異同、曲順などはほとんど全体を一から見直したのだろう。確かに全体から受ける印象はオリジナルとは様変わりしている。

 まずなんといってもその音質、近年の「イエローサブマリン」などと同様、オリジナルに比べ全体の音圧、各楽器の分離の良さが際だって増していることに加え、アルバムの性格上、ある種の生々しさのようなものを演出したかったに違いあるまい。とにかく、残響が少なめにして、各楽器の音の太さ、存在感のようなものを全面に出た音になっている。

 一方、本アルバムで採用されたテイク違いも興味深い。厳密にいえば別テイクと呼べるのは「ロング・アンド・ワインディング・ロード」くらいものだと思うが、「レット・イット・ビー」におけるギターやヴォーカル、「アイブ・ガット・ア・フィーリング」のヴォーカルの差し替えは一聴瞭然だし、これまでの2ヴァージョンは遅すぎたり、早すぎたりした「アクロス・ザ・ユニバース」が初めてまっとうなピッチに修正されたのも特筆すべき点だろう。また、他の曲でも細かい部分では定位のやバランスが微妙にかえられたりして、細部で興味深い点は、マニアであればあるほど数知れずという感じではないだろうか。
 個人的には、初めて収録された「ドント・レットー・ミー・ダウン」のルーフトップ・コンサート・ヴァージョンがうれしかった。オリジナルの重厚さに比べると、荒っぽい演奏だが、後半のスキャットの部分が最高に素晴らしく、常々オーディオ・アルバムの一曲として聴きたかった私としては、これには溜飲が下がる思いであった。

 そんな訳で、この作品、大変興味深く聴くことが出来たアルバムではあるが、ポールが密かに目論んでいる?ような、現行のオリジナル・アルバムにとって替わるものでもあるまい。やはりこれはオリジナルを前提にしたヴァリエーション、リミックスの類だと思う。また、グリン・ジョーンズによって選曲、構成された「ゲット・バック」というお蔵入りになったアルバム(ネイキッドというなら、こちらの方こそがネイキッドそのものなのだが)を知っている人にとっては、このアルバムが高度なデジタル技術による様々な作業によって、いわば仮想的に演出された『裸のレットイットビー』であることを感じない訳にはいかないとも思う。そのあたり強者のビートルズ・マニアはどう感じるのだろうか。

 なお、本アルバムの国内盤はいよいよCCCDが採用されている。私はレコード会社が音楽ソフトにコピーガードを施すことに決して反対ではないのだが、CCCDのような音質への影響が無視できず、なおかつCDプレイヤーに過剰な負荷をかけるような形でのプロテクトは賛成できない。何かもっと良い手段はないのだろうか。正直申して、自分のプレイヤーでこのような紛い物....といってはいい過ぎだが、プレイヤー自身の寿命を縮めるリスクがあるディスクを再生するのは、あまり良い気分ではなかったことだけは申し添えたい。(2003年11月16日)


※ 以上は、1年半くらい前にネットの某所で書いたものですが、結局、CCCDをかける心理的抵抗があまりに大きいので、しばらく前に米盤を買い直したものを、さっきやっと封を破って聴きました。これで安心して聴けます。ついでに、音質もこちらの方が心持ち良いような気もしました。あっ、そうそう、これを書いた翌年、つまり2004年に映画「レット・イット・ビー」のDVD版はついに発表されませんでしたね。一体、どうしたんでしょう?。

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1 コメント

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Unknown (ezee)
2005-08-09 02:03:18
お初です。私も過度(!?)の期待を持ってコノアルバムに挑みましたが、おっしゃる通りオリジナルのバリエーションだと感じました。なんかオリジナルに慣れた耳には合間の声とか無いのも淋しく感じたもんです。でも充分楽しめたのも事実!又おもしろい企画モン聞きたいっすね~
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