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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
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ワーグナー管弦楽曲集/カラヤン&BPO (DVD-A)

2005年03月09日 22時05分06秒 | クラシック(一般)
 カラヤンはワーグナーの序曲や前奏曲ををまとまった形で何度か録音していますが、個人的にもっとも愛聴しているのは、70年代前半にEMIで収録したこのアルバムです。もともとカラヤンはワーグナーを得意としてきましたが、この時期のカラヤンはベルリン・フィルと最高の相性を見せていた頃なのに加え、彼自身が未だ若く覇気十分なことも手伝って、ほとんど極上の演奏となっていたと思います。

 で、そのEMI盤ですが、国内では都合3回CD化されているようで、一番最初はCD初期にLP2枚からベスト選曲された1枚物、ついで90年代初頭にオリジナルの構成でCD2枚に分けた物、そしてジャケもオリジナルを体裁に戻し、Artという技術を使ってリマスタリングされたものがあるようです。とりあえず、私はそのどれも聴いていますが、驚いたのは3回目のもので、ヴァイオリンの響きが、俄然滑らかになり、透明感を増したおかげで、非常に「普通の響き」に近づいたというか、今時のバランスににじりよったような響きになっていたんですね。

 この時期のベルリン・フィルの割とキンキンいうようなヴァイオリンは、良くも悪しくもカラヤン的人工美を感じさせるポイントだったと思うんですけど、Art盤で聴くとそうでもないんです。「本当は意外とまっとうなサウンドが鳴っていたのねぇ~」など妙に感心したくらい、普通な音になってしまっていて、その分、従来のカラヤンらしさみたいなものが薄まった気がしたのもまた事実。あちらを立てればこちらがなんとやらで、リマスタリングの難しさを感じたものでしたが....。

 さて、今回聴いたのは、前述の3つに続く4つ目のものになります。ただし、今回のはCDではなく、普及率ではSACD以上に地味なDVD-Audio!!(オランダ盤)。前述のCDに比べて、格段に音質が上がってます。おそらく24Bit/48kHzという物理的特性の良さが物をいってるんでしょう。まるで弦の本数が増えたかように、ヴァイオリン群がきれいほぐれ、後方で低弦もきれいに分かれて聴こえます。リマスタリングの方向としては、3回目のArtと同じ方向性かと思いますが、CDのように上下を圧縮したような飽和感がなく、全体に余裕を持って鳴っているせいで、妙な違和感も覚えず、ごくごく自然に楽しめたのは、私がオーディオ・マニアだからですかね(笑)。

 惜しむらくは、「バルシファル」からの2曲が収録されていない点と、どうせなら、24Bit/48kHzなんかではなく、24Bit/96kHzという最高のサンプリング・レートで収録して欲しかったという点が、ややひっかからないでもないですが、カラヤンのワーグナー管弦楽曲集の音質向上も、そろそろこのあたりで限界かなという気はしました。
 まぁ、個人的には、これと同じマスターを使ったSACD盤を出してもらって、それと聴き比べをしたいなどという、贅沢なことも考えたりしないでもないですが....。
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チック・コリア・トリオ・ライブ・イン・ヨーロッパ/夜も昼も

2005年03月09日 00時01分23秒 | JAZZ-Fusion
 ライナーにも書いてあるけれど、アルバム1曲目の「ループ」という曲は、同時期にスタートしたキース・ジャレットのスタンダーズをけっこう意識していると思う。憂いを含んだ旋律をちょいとラブソディックな感じで、徐々に熱くなっていくかのように進行させ、熟したあたりでベースにバトンタッチってあたり、意識しているというより、「オレ達はスタンダーズみたいにだってなれる」ってことを証明したがっているような演奏だと思うんだよなぁ。

 まっ、そんな訳でこのアルバムの1曲目は、「ザ・トリオ」としてはちょいと毛色の違った楽しさを味合わせてくれるんだけど、続く3曲のスタンダードはチック・コリア流の解釈によるスタンダーズで、「キースがスタンダードをああ処理するなら、うちはこうだ」的な感じおもしろい(まっ、そんなに意識はしてないと思いますが)。チック・コリアらしい敏捷さや、明晰なタッチ等で、ソロはもちろんだけど、「アイ・ヒア・ア・ラプソディ」のヴィトゥスのソロの裏で軽く合いの手のように入れるフレーズなんか、いかにも彼らしくてゴキゲンです。「サマーナイト」から「夜も昼も」へ移行するメドレーも、やや沈んだトーンの前者と明るいオプティミズム全開ってな感じ後者が、いい意味で対照的に配列されていて流れとして変化に富んでいるがおもしろい。
 それにしても、いつも思うんだけど、この人のテーマの解釈って、なんていうかトリックスター的な軽やかさがあるというか、いたずらっぽく微笑んで、曲をねじ伏せてるみたいなところがいいよね。センスもいいし。

 とはいえ、このアルバムでおもしろいのはここまでかな。まっ、譲って5曲目のスクリャービンの「前奏曲第2番」まで(チックにはちと荷が重いのではないか、コレ-笑)....あとのヘインズとビトゥウスのソロは、ちょっと付き合いきれんという感じ。前作にあたる2枚組もフリー・インプロのディスクの方でも割とそういうところがあったけど、このトリオって、各人の自意識が過剰過ぎるのか(笑)、時に単なる練習用フレーズの公開練習みたいな感じになっちゃうのが、つまらない。まっ、会場にいれば、これはこれで盛り上がるのかもしれないんだろうけど。
コメント (2)
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