01. Orbits (Shorter)
オーソドックスさアブストラクトさが入り交じったシグナル風なテーマにこの時期の「マイルスの変質」を感じさせる。ソロの方もこの時期らしいスピーディーな4ビート・パターンではあるものの、ショーターソロなど彼らしい「変な感じ」がかなり出てきているのが目新しい。そんな訳で、従来の圧倒的な推進力でぐいぐい進む流れが確実に変容してきたことを感じさせる1曲。
02. Circle (Davis)
やや陰鬱なムードをもったもスローワルツ。ミュートで演奏されるテーマは従来のバラード演奏とさほど遠くないセンスであるし("Goodbye"を思わせたりもする)、ショーターもその線。ただし、バックを彩るハンコックのピアノだけは確実に新しい響き美しさをもっている。ソロについてもほぼハンコックの印象派的なたたずまいが、他のソロを圧倒しているといってもよかろう。
03. Footprints(Shorter)
トニーとロンがライブで見せる変幻自在のリズム・チェンジをスコアリングで再構成したようなリズム実験のような曲だ。ご両人は付かず離れずといった風情で様々なリズムの変化を演じてみせるが、ロンのベースが12小節のリズムをキープしていて、1~10小節はほぼリフ、に11~12小節目でパターンを様々に変えるという構成で全体を通しているのがミソ。ソロはマイルス→ショーター→ハンコックの順だが、それらのリズムとはほぼ無関係にソロをとっているようでもありちょっと複音楽的にも感じられる。つまり非常に知的なアレンジなのだ。
04. Dolores (Shorter)
アップ・テンポで進む王道4ピート作品で、ソロの順番もいつもどおりだし、過渡期を迎えていた彼らとしては、古典的なたたずまいといえる。テーマに回帰するプロセスと唐突なコーダのアレンジが、いささか凝っている点を除けば、ライプでお馴染みないつものペースで押しきっているというところだろう。
05. Freedom Jazz Dance
8ピートをベースにした作品。前作での"Eighty-One"に比べると、こちらの方がいくらかストレートに8ピート的なおもしろさを出しているともいえるが、全体としはまだまだ4ピートにきこえる部分もあって中途半端な感はぬぐえない。ただし、シグナル風にモチーフを繰り出してくるマイルス・ソロはかなり斬新だし、ショーターやハンコックもその線で実験的なフレーズを繰り出しているのは、その後の彼らの展開する音楽を思えば興味深い点ではある。
06. Gingerbread Boy
1,4と同傾向の王道4ピート作品。トニーに暴れ方といい、ソロのホットさといい、ダイナミックさという点ではアルバム随一かもしれない。人様の曲を素材にして軽く一曲仕上げたというところなのだろが、ハンコックのソロでベースが一瞬、弛緩した動きになるあたりの呼吸は名人集団の凄さを見せつける。(2000年7月9日)
オーソドックスさアブストラクトさが入り交じったシグナル風なテーマにこの時期の「マイルスの変質」を感じさせる。ソロの方もこの時期らしいスピーディーな4ビート・パターンではあるものの、ショーターソロなど彼らしい「変な感じ」がかなり出てきているのが目新しい。そんな訳で、従来の圧倒的な推進力でぐいぐい進む流れが確実に変容してきたことを感じさせる1曲。
02. Circle (Davis)
やや陰鬱なムードをもったもスローワルツ。ミュートで演奏されるテーマは従来のバラード演奏とさほど遠くないセンスであるし("Goodbye"を思わせたりもする)、ショーターもその線。ただし、バックを彩るハンコックのピアノだけは確実に新しい響き美しさをもっている。ソロについてもほぼハンコックの印象派的なたたずまいが、他のソロを圧倒しているといってもよかろう。
03. Footprints(Shorter)
トニーとロンがライブで見せる変幻自在のリズム・チェンジをスコアリングで再構成したようなリズム実験のような曲だ。ご両人は付かず離れずといった風情で様々なリズムの変化を演じてみせるが、ロンのベースが12小節のリズムをキープしていて、1~10小節はほぼリフ、に11~12小節目でパターンを様々に変えるという構成で全体を通しているのがミソ。ソロはマイルス→ショーター→ハンコックの順だが、それらのリズムとはほぼ無関係にソロをとっているようでもありちょっと複音楽的にも感じられる。つまり非常に知的なアレンジなのだ。
04. Dolores (Shorter)
アップ・テンポで進む王道4ピート作品で、ソロの順番もいつもどおりだし、過渡期を迎えていた彼らとしては、古典的なたたずまいといえる。テーマに回帰するプロセスと唐突なコーダのアレンジが、いささか凝っている点を除けば、ライプでお馴染みないつものペースで押しきっているというところだろう。
05. Freedom Jazz Dance
8ピートをベースにした作品。前作での"Eighty-One"に比べると、こちらの方がいくらかストレートに8ピート的なおもしろさを出しているともいえるが、全体としはまだまだ4ピートにきこえる部分もあって中途半端な感はぬぐえない。ただし、シグナル風にモチーフを繰り出してくるマイルス・ソロはかなり斬新だし、ショーターやハンコックもその線で実験的なフレーズを繰り出しているのは、その後の彼らの展開する音楽を思えば興味深い点ではある。
06. Gingerbread Boy
1,4と同傾向の王道4ピート作品。トニーに暴れ方といい、ソロのホットさといい、ダイナミックさという点ではアルバム随一かもしれない。人様の曲を素材にして軽く一曲仕上げたというところなのだろが、ハンコックのソロでベースが一瞬、弛緩した動きになるあたりの呼吸は名人集団の凄さを見せつける。(2000年7月9日)
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