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マーラー 交響曲第5番(まとめ)

2007年02月20日 01時22分36秒 | マーラー+新ウィーン
 という訳で、約10日くらいかけて、我が家にあるマーラーの5番の総ざらえをしてみた訳ですが、これを機会に購入したものも含めて全部で17種類、他のマーラーやブラームスなどもかなりの数、同曲異演のCDを持っているはずですが、自宅ではこの曲がおそらく最多でしょう。さすがに聴き過ぎてげんなりしているところもあります(笑)。で、今回聴いた17種のちりあえずまとめを少々。

 個人的にマーラーの音楽として説得力あったのは、カラヤンとベルリン・フィルのすべるように美しい響きとシリアスなオケの緊張感。次いでショルティとシカゴ響の豪快なドライブ感と推進力、更に自分でリマスターしてアナログ時代の音に近づけたバーンスタインとニューヨーク・フィルの炸裂するダイナミズムといったあたりでしょうか。やはり、どれも昔から聴いてきた演奏で、これでマーラー像を形成した....つまり「慣れ親しんだ」というファクターはやはり重要でした。

 あと、今回改めて注目した演奏としては、マゼールとウィーン・フィルのものが筆頭格ですかね。なにしろウィーン・フィルの美しさを満喫させる演奏で、聴いていて「こんなに素晴らしかったっけ?」と自分でも驚いたくらでした。同じようにシャイーとアムスもオケの美麗なサウンドを堪能できる演奏で、こちらはマゼール盤を上回る超優秀録音なのがポイント。あと、同様に優秀録音で捉えた美麗なオーケストラ・サウンドという意味では、アバドとシカゴ響、ハイティンクとベルリン・フィルも甲乙つけがたい仕上がりだと思いました。これに比べるとインパルとフランクフルトの演奏は、録音は優秀ですが、オケの瀟洒な響きという点では、こちらのブランド崇拝的先入観もあるでしょうが、今一歩世界の超一流オケと比べると見劣りする気もしました。

 一方、録音で損しているのはテンシュテットとロンドン・フィル。何回も聴きましたのでそれなりに慣れてもきましたが、やはり音像が遠目でやや混濁気味な音質は違和感があります。一方、録音の良いシノーポリは私にとって、これといって特徴のない演奏に聴こえてしまい、印象は地味なままですし、アバドの新盤はやや細部に仕上げが雑なところが災いして旧盤を超えられなかった印象。

 多少古目の演奏としては、レヴァインとフィラデルフィアはショルティとシカゴの演奏をカラフルで柔軟にしたような演奏でなかなかいけました。また、クーベリックとバイエルンはマーラーの叙情に焦点をあて上品な演奏で、これは個人的にはこれもなかなかのお気に入り。懐かしのノイマンとゲヴァントハウスはクーベリックをもう少しドイツ的にしたような演奏でこれはこれで味わいがありそう。メータとハイティンクの旧盤は今となって、いささか古びてしまったかなという感じがします。
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マーラー 交響曲第5番/ハイティンク&ベルリンPO

2007年02月20日 00時42分19秒 | マーラー+新ウィーン
 ハイティンクがアムスを退任後、80年代中盤からベルリン・フィルと開始したマーラー・チクルスの一枚です。発売当初は非常に高い評価を得ていたように記憶していますが、結局、このコンビによるマーラーは8,9番を残したまま、全集は完成しませんでした。完成していれば、フィリップスのふたつめのマーラー全集ということで、それなりに価値も高いものだったろうに、こうして一枚1000円の廉価盤に組み込まれてバラ売りされているのは、ひとえに全集にならなかったからなんでしょうね。喜んでいいのか、残念に思うべきなのか複雑な心境になります。

 内容ですが、旧録のプレーンでさらっとした演奏に比べ、非常に重厚かつねばり強い雄渾なマーラーとなっています。どの楽章はテンポも遅く、雄大なスケール感とある種の克明さのようなものが同居した、これ以上ないくらいに安定度の高い、石橋を叩いても....的な演奏になっています。これは良い意味でいうのですが、時にブルックナーを聴いているような気にさえなる演奏とでもいったらいいかもしれません。
 あと、オケもアバドの時のような機能集団という感じではなくて、いかにもドイツ的な響きを発散していて、なにか久々にベルリンらしい音を聴いたという感じがします。このあたりはスケールの大きな巨匠となったハイティンクとベルリンの相性が良い方向に作用した結果なんでしょうね。とにかく、この演奏に漂う並々ならぬ平衡感と重厚さはただ者ではありません。同じ「遅い演奏」でも、ちょっと指揮者のキャラが強烈過ぎてエキセントリックな印象もあったバルビローリに比べ、個人的にはこちらの方が遙かに説得力があるような気もしました(13分もかけて演奏した第4楽章など全く遅い感じがしないのが「演奏の妙」というべきでしょう)。

 録音は最新のフィリップス・パターンというべきもので、適度なホールトーンで形成された遠近感、これ見よがしではないが十分に確保された解像度となめらかな高域のシルクのような感触は、昔からこのレーベルの特徴でしたけれど、この録音もそれをそのまま受け継いで、高域や低域の物理特性をぐっと上げたという感じの音になっています。デッカの録音されたようなシャイーのマーラーのような派手さはないものの、十分に素晴らしい優秀録音です(しかもこれライブ録音だとか)。
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