若き日のフィッシャーディスカウがフルトヴェングラー、そしてケンペと組んだ名盤中の名盤です。前者は「さすらう若人の歌」で52年に、後者は「亡き子をしのぶ歌」で55年に収録されていますが、どうしてこういう組み合わせになったのか、浅学の私は知りませんが、オリジナルではおそらく別々に発売されていたいたものをLP時代になったまとめたものが名盤化したのかもしれませんね。50年代中盤といえば収録はまだモノラルであり、音質的な面からも、古びてしてまいかねないアルバムでしたが、私がクラシックに耽溺していた80年代もこのアルバムは「名盤中の名盤」として評価が高く、レギュラープライスに近い形で発売されていたような気がします(違ったかな)。
さて、このアルバム、私は80年代にこのアルバムをエアチェックかなにか録音したテープで繰り返し聴いたような記憶がありますが、多分、購入はしていないでしょう。おそらくこういう歌曲なら女声で歌ったものを聴きたくて、そちらを数枚購入したまま、次の対象に興味が移ってしまったというところではないかと思います。
なので今回聴くのは実に久しぶりになるのですが、一聴してひきこまれました。さすがに名盤中の名盤という評価はだてではありません。そもそも私は歌曲というジャンルが得意でなく、その中でも男声の歌曲となるとほとんど興味からはずれてしまうのですが、このアルバムについては例外といえますね。とにかく両曲ともにフィッシャーディスカウらしさであるいつもの格調高さに加えて、ここでは若さ故なのかナイーブな情感のようなものがブレンドされ、微妙な緊張感を湛えつつも、知情意が見事にそろった歌い振りなっているのが素晴らしいです。一般的には老獪なフルトヴェングラーと組んだ「若人」のフレッシュな歌い振りが方が有名でしょうが、「亡き子」の抑圧された情念のようなものも見事なものがあると思います。
フィッシャーディスカウという人の歌曲は数えるほどしか聴いていませんが、60~70年代のつくられた歌曲集などを聴くと、あまりにコントロールされた完璧さ故にとっつきにくく感じてしまったものですが、このアルバムでは素直に情感に訴えてくるような一途さのようなものにぐっときます。
録音は52,55年ですから当然モノラルということになりますが、あまりに素晴らしいパフォーマンスなので、こうした音質上の欠点は1,2分聴いただけで忘れてしまいます(リマスターの効果もあるんでしょうが)。オケは50年代にEMIのハウス・オーケストラとして数々の盤歴を残したフィルハーモニアですが、フルトヴェングラーとケンペという指揮者を迎えたせいか、カラヤンの時のようなスリムな機動美さではなく、ドイツのオーケストラのような重量感とくすんだ響きがあってこれも良いところですね。
あと蛇足ですが、ここに収録された「若人」と「亡き子」って、もし指揮者は逆だったらどうなっていただろ?と聴きながら考えちゃいました。まだまだブラームスみたいなところが残っている「若人」の方を正統派ドイツの巨匠ケンペが担当し、「トリスタン」の親類みたいな「亡き子」フルトヴェングラーが振るというのも、けっこうおもしろかったと思うのですが....。
さて、このアルバム、私は80年代にこのアルバムをエアチェックかなにか録音したテープで繰り返し聴いたような記憶がありますが、多分、購入はしていないでしょう。おそらくこういう歌曲なら女声で歌ったものを聴きたくて、そちらを数枚購入したまま、次の対象に興味が移ってしまったというところではないかと思います。
なので今回聴くのは実に久しぶりになるのですが、一聴してひきこまれました。さすがに名盤中の名盤という評価はだてではありません。そもそも私は歌曲というジャンルが得意でなく、その中でも男声の歌曲となるとほとんど興味からはずれてしまうのですが、このアルバムについては例外といえますね。とにかく両曲ともにフィッシャーディスカウらしさであるいつもの格調高さに加えて、ここでは若さ故なのかナイーブな情感のようなものがブレンドされ、微妙な緊張感を湛えつつも、知情意が見事にそろった歌い振りなっているのが素晴らしいです。一般的には老獪なフルトヴェングラーと組んだ「若人」のフレッシュな歌い振りが方が有名でしょうが、「亡き子」の抑圧された情念のようなものも見事なものがあると思います。
フィッシャーディスカウという人の歌曲は数えるほどしか聴いていませんが、60~70年代のつくられた歌曲集などを聴くと、あまりにコントロールされた完璧さ故にとっつきにくく感じてしまったものですが、このアルバムでは素直に情感に訴えてくるような一途さのようなものにぐっときます。
録音は52,55年ですから当然モノラルということになりますが、あまりに素晴らしいパフォーマンスなので、こうした音質上の欠点は1,2分聴いただけで忘れてしまいます(リマスターの効果もあるんでしょうが)。オケは50年代にEMIのハウス・オーケストラとして数々の盤歴を残したフィルハーモニアですが、フルトヴェングラーとケンペという指揮者を迎えたせいか、カラヤンの時のようなスリムな機動美さではなく、ドイツのオーケストラのような重量感とくすんだ響きがあってこれも良いところですね。
あと蛇足ですが、ここに収録された「若人」と「亡き子」って、もし指揮者は逆だったらどうなっていただろ?と聴きながら考えちゃいました。まだまだブラームスみたいなところが残っている「若人」の方を正統派ドイツの巨匠ケンペが担当し、「トリスタン」の親類みたいな「亡き子」フルトヴェングラーが振るというのも、けっこうおもしろかったと思うのですが....。