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マーラー 交響曲第5番/ハイティンク&ベルリンPO

2007年02月20日 00時42分19秒 | マーラー+新ウィーン
 ハイティンクがアムスを退任後、80年代中盤からベルリン・フィルと開始したマーラー・チクルスの一枚です。発売当初は非常に高い評価を得ていたように記憶していますが、結局、このコンビによるマーラーは8,9番を残したまま、全集は完成しませんでした。完成していれば、フィリップスのふたつめのマーラー全集ということで、それなりに価値も高いものだったろうに、こうして一枚1000円の廉価盤に組み込まれてバラ売りされているのは、ひとえに全集にならなかったからなんでしょうね。喜んでいいのか、残念に思うべきなのか複雑な心境になります。

 内容ですが、旧録のプレーンでさらっとした演奏に比べ、非常に重厚かつねばり強い雄渾なマーラーとなっています。どの楽章はテンポも遅く、雄大なスケール感とある種の克明さのようなものが同居した、これ以上ないくらいに安定度の高い、石橋を叩いても....的な演奏になっています。これは良い意味でいうのですが、時にブルックナーを聴いているような気にさえなる演奏とでもいったらいいかもしれません。
 あと、オケもアバドの時のような機能集団という感じではなくて、いかにもドイツ的な響きを発散していて、なにか久々にベルリンらしい音を聴いたという感じがします。このあたりはスケールの大きな巨匠となったハイティンクとベルリンの相性が良い方向に作用した結果なんでしょうね。とにかく、この演奏に漂う並々ならぬ平衡感と重厚さはただ者ではありません。同じ「遅い演奏」でも、ちょっと指揮者のキャラが強烈過ぎてエキセントリックな印象もあったバルビローリに比べ、個人的にはこちらの方が遙かに説得力があるような気もしました(13分もかけて演奏した第4楽章など全く遅い感じがしないのが「演奏の妙」というべきでしょう)。

 録音は最新のフィリップス・パターンというべきもので、適度なホールトーンで形成された遠近感、これ見よがしではないが十分に確保された解像度となめらかな高域のシルクのような感触は、昔からこのレーベルの特徴でしたけれど、この録音もそれをそのまま受け継いで、高域や低域の物理特性をぐっと上げたという感じの音になっています。デッカの録音されたようなシャイーのマーラーのような派手さはないものの、十分に素晴らしい優秀録音です(しかもこれライブ録音だとか)。

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