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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

Mahavishnu

2007年02月12日 12時44分45秒 | JAZZ-Fusion
 84年の作品、久方ぶりにマハビシュヌの名を冠したエレクトリック作品。メンツはドラムにビリー・コブハム、ベースにヨナス・エルボーグ、キーボードにミッチェル・フォアマン、サックスにビル・エヴァンスという今となって非常に豪華な面々です。私は今回初めてこの作品を聴きましたが、なかなか楽しめました。なにしろマハビシュヌという名前が入っているので、「火の鳥」とかああいった音楽を期待してがっくりしたというのはもっともですが、すくなくともアルバム前半の音楽的クウォリティはなかなかのものだと思いました。

 なにしろ1曲目「Radio-Activity」では不気味な胎動を思わせる導入から、近年のザ・ハート・オブ・シングスに遜色ないプレイが展開されていて(コブハムのタイコがデニチェンに聴こえる-笑)、モダンなカッコ良さ満開ですし、3曲目では「Nightriders」ではファンキーなリズムに乗って、ロック風なフレーズのつるべうちでマハビシュヌっぽくてこれもまたななかなか。4曲目「East Side West Side」もインド風なテーマを込み入ったリズムでアレンジし、それをさっそうとノリ切っていくバンドのテクニックを堪能できる曲だったりしますから、十分満足できます。
 一方、後半はウェザー・リポート風なパースペクティブをとりいれたシンセ・サウンドを中心になっていて、こちらはやや趣味に走ったかなという印象。なにしろここでマクラフリンが使っているのは、かのシンクラヴィアという80年代の中頃に一世を風靡したオール・イン・ワン・シンセで、あまりに高性能、あまりに超高額ということで、日本にすら何台もなかったという代物で、それを扱うのがよほどうれしかったのか、後半はそのデモみたいになっちゃってるんですよね(笑)。

 ちなみに、キーボードのフォアマンは一聴してヤマハのDX系とわかる堅いエレピ系の音色を多用しています。ヤマハのDXというシンセはシンクラヴィアと同じ頃、シンクラヴィア以上に音楽の世界を席巻したシンセですが、この音を聴くとあの時期ろくに弾けもしないのに沢山のキーボード買い込んで、打ち込みをやったりしていた自分を思い出し、独特に感慨がひたってしまったりします。
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ハイドン 交響曲第16番「夕立」/フィッシャー&AHハイドンPO

2007年02月12日 11時15分11秒 | ハイドン
 いやぁ、実に久しぶりになってしまいました。「ハイドンの交響曲命名シリーズ」の続きであります。なにしろ私のクラシックでの主な守備範囲は後期ロマン派なんで、ハイドンに限らず、古典派の音楽というと、いきおい足が遠のきがちになってしまいます。今、調べてみるとまだ16番までしか進んでいない(!)、このベースだと全部終わらせるには10年くらいかかってしまうのではないかとメゲたりもしますが、一応、最後までやる気はあるんですよね。でも、心配なのはその頃までにブログというメディアは生き残っているんだろうか....?ということ(笑)。まっ、どうでもいいか。

 さて、第16番ですが3楽章制の比較的小規模な交響曲で、エステルハージ家で副楽長をしていた時期の作品のようです。最初期はルツィンという伯爵で音楽を作っていたらしく、前回とりあげた15番などはそちらの時期の属しているようですから、何度も書いているとおりハイドンの交響曲番号(特に初期)で時系列を考えるとあまり意味がないということなんでしょうね。もっとも時間としては数年オーダの違いでしかないようですが....。

 第1楽章は序奏なしでフーガのように始まります。シンコペーションの効いたリズミカルなテーマが印象的ですが、展開部で途中て短調に転じて巧緻にテーマを変容させていくあたりもいかにもハイドンらしい職人芸を感じさせますね、4分足らずですが勘所を押さえつつ簡潔にまとめた楽章という感じ。第2楽章はアンダンテ、演奏時間は約5分で全3楽章の中では最長ですが、テーマをヴァイオリンとチェロのユニゾンさせて、いつもの緩徐楽章とはちょっと違った毛色を出しています。第3楽章は活気あふれるプレスト、弦の華やいだ動きでもって一気にラストまで進んでいきます。

 表題ですが、この曲場合、ラストの第3楽章がなんとなく、夏の午後、博覧会とかそういった会場で空は晴れているのに、突然降り出した降り出した雨、人々が慌てて逃げまどうユーモラスな姿を想像させたので、夏の午後の雨、つまり「夕立」としました。本当は晴れているのに、雨が降ってきたということで「狐の嫁入り」にしたかったんですが、これじゃ江戸時代の祭りの風景みたいになっちゃいますから、シンプルに「夕立」、あっ、あと「夏の雨」でもよかったかも。
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マーラー 交響曲第5番/マゼール&ウィーンPO

2007年02月12日 00時04分48秒 | マーラー+新ウィーン
 こちらは82年の収録、デジタル録音によるCDというメディアの黎明期ということで、なにしろ一聴して音質の良さに驚きます。ヒスノイズのない無音状態から、冒頭のトランペットがホールの響きをともなって演奏されるのが実にリアルに聴きとれるのは、やはりデジタル録音のありがたさを感じます。また、荒れ狂う第1~2楽章の音響も実に適度なホールトーンを伴いつつ、十分な解像度を持って収録されているあたり、音源に近接したマルチマイクで解像度ばりばりで収録してきた、60~70年代の録音パターンからの変化も如実に感じとれます。まずはそのあたりが印象的で、身もフタもない言い方をすると、マーラーはやっぱ音質だよなぁ....ということ。

 で、肝心の演奏ですが、これはマゼールというよりは、やはりウィーン・フィルの極上のサウンドを楽しむべきものですね。確かウィーン・フィルのマーラー全集はこれが最初だったように思いますが、マゼールもそのあたりを意識してか、あまり強烈に自己主張しないで(マゼールらしいエクセントリックなところもあるにはありますが....)、このオーケストラの持つエレガントで優美なサウンドをまずは十全に発揮させるということに傾注しているようです。したがって、この曲の持つアグレッシブなところは、ありがちな音響的な処理ではなく、遅めのテンポで極めて音楽的に演奏しているあたりが特徴でしょう。特に異形のスケルツォとして演奏されることが多い第3楽章など、ウィーン風としかいいようがない、まるでウィンナ・ワルツのようなノリで演奏されていて、けだし聴き物です。
 一方、第4楽章は比較的早めのテンポかつあっさりとした歌い回しですが、ここではウィーン・フィルの弦の美しさをいかしつつ、ほとんどオケのノリにまかせているような感じですかね。最終楽章は逆に遅めのゆったりと演奏で、お祭り騒ぎになりがちなこの楽章を格調高くしめくくっていると感じです(ややおっとりし過ぎな感もありますが)。ここでもウィーンのアンサンブルが実にエレガントでグー。

 という訳で、実はこの演奏これまであまりぴんと来たことがない演奏だったのですが、「ウィーン・フィルのサウンド+古典と割り切ったマゼールの解釈+高音質」ということで、今回は非常に楽しめました。いろいろな演奏を順繰りに聴いていくのは、こういうのがあるが楽しいところですね。マゼールとウィーン・フィルのマーラーはこれの他にも3,7番が自宅にありますが、同様にあまり感心した記憶がなかったので、それ以上触手が伸びなかったのですが、これを機に全集でも購入してみようとか思ってます....というか、既に注文してしまったのですが。
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