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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

Jeff Beck / There And Back

2007年02月21日 23時27分20秒 | ROCK-POP
 恥ずかしながら、この名作を私はきちんとした形で聴くのは、今回が初めてのような気がします。このアルバムが発売になった頃といえば、日本でもバンクとかニュー・ウェイブ、あとテクノといった音楽がシーンを席捲していた時期であり、私もそうした音楽をあれこれ聴きながら、なんとかシーンについていこうと必死になっていた頃でしたから、まさにそうした時期、大御所の新作が出たところで、なんか出し遅れの証文のように感じてしまい(思えば、そのくらい短期間にロック・ミュージックの大々的地殻変動が起きたというのも凄いことですが....)、結果的に手を出さないまま、今に至ったってなところだと思います。

 さて、このアルバムは有名な話ですが、「ワイアード」と同様ヤン・ハマーとのコラポレーションのような形でアルバムが制作され、一旦は完成をみるものの、ベックがその仕上がりに不満を感じ、ハマーに変わって、キーボードにトニー・ハイマスを向かえて録音し直した結果、出来上がったアルバムがコレ....ということになるようです。出来上がったアルバムは冒頭の3曲がハマーとのセッションでの曲、残り5曲が新布陣によるものと、割とメンツの違いがイコール音楽の違いになっていることが歴然とした構成です。これはベックが主としてパートナーの作った曲を素材として取り上げることが多い関係上、仕方ないことなのかもしれませんね。

 ともあれ、前半の3曲はゴリゴリしたテクニック史上主義的な面とファンキーでポップが妙な具合に混在するハマーらしい楽曲が並んでいて、それこそ前作「ライブ・ワイアー」の続編のような仕上がりになっているのですが、ハイマスがパートナーとして加わった後半では、同じようなフュージョン路線とはいえ、彼の楽曲の方が大分ナチュラルでストレートにベックのギターをフィーチャーしているような気がします。要するハイマスはあまりハマーのような「オレがオレが」的な自己顕示性がなく、アンサンブルの中でさりげなく自己の優秀性をアピールするタイプのようなのが(アコピを多用するあたりにもそういうところが感じられます)、ベックには気に入られる要因にもなったんでしょうね。

 という訳で、後半は結果的に「ブロウ・バイ・ブロウ」的な滑らかな流麗さに回帰しているともいえます。おそらくベックとしては「ハマーは確かに凄いけど、あいつと汲んだら軒を貸して母屋とらちまう」とでも思ったんじゃないですかね。旧セッションと比率が3:5というのが、なんかベックの心境物語っているようで微笑ましいです。
 ちなみに、曲目としてはハマーと「Stra Cycle」、ハイマスがハマー役となってバトルを繰り広げる「Space Boogie」が圧巻です。後AORみたいな「The Goldden Road」も良かったな。
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Oscar Peterson / The Sound of The Trio

2007年02月21日 00時21分56秒 | JAZZ-Piano Trio
 オスカー・ピーターソンのロンドン・ハウスでのライブといえば、彼の全盛期のライブとして名演の誉れも高いパフォーマンスですが、確かアルバムでは数枚に分散していたハズで、私が持っているのは"Put on a Happy Face"と"Something Warm"の2in1と、"The Trio"とこれの3枚だけで、あとはどんなアルバムに入っているのか、どんな順序で出たのかなどさっぱり分かりません。確か数年前にそのあたりをコンプリートにまとめたボックス・セットも出ていたようですが、さすがにこれは手を出していません。ただ、調べてみたら、今では入手困難のようなので、そう思うと購入しておけばよかったかなと、少し後悔しているところです。

 このアルバムですが、収録曲はA面2曲、B面3曲という長尺曲ばかり集めているのが特徴でしょうか。これのアナログ盤を購入したのは確か20代の中盤頃でしたが、当時、あしげく通っていたショップのマスターがもともとジャズのベーシストだったこともあって、ジャズについてはいろいろ指南を受けたのは今やいい思い出ですが、そのマスターがピーターソンで一押しだったこのアルバムで、それを信じて購入してきたところ、めくるめくようなピアノ・インプロヴィゼーションの洪水と、豪快というか痛快この上ないスウィング感で圧倒されたもんでした。今から思えば、あの頃はスタンダード・ナンバーなど未だほとんど眼中になかった頃でしたから、間違って「ブリーズ・リクエスト」だとか「ナイト・トレイン」なんか購入していたら、ピーターソンのイメージも全く違ったものになっていただろうなと思います(まぁ、それはそれでおもしろかったとは思いますが)。

 そんな訳で、このアルバムピーターソンの汲めども尽きぬといった感じのジャズ・ピアノのフレーズの洪水としてとても楽しめる作品です。個人的に好きなのは2曲目の「On Green Dolphin Street」ですかね。左手で繰り返す高速のアルペジオをバックを右手がラプソディックなソロを繰り出すクラシカルな冒頭が華麗そのものという感じでカッコ良いことしきり、ミディアム・テンポで繰り広げられる本編の途中で「Tenderly」が引用されるあたりも洒落っ気も最高です。もちろん1曲目の「Tricotism」やラストの「Kadota's Blues」は、前者のパップ風味、後者のブルージーさなど、全てこのトリオらしい、「ひとつの楽器」の如きトリオの一体化した-やや前のめりな-グルーブ感もほとんどワン・アンド・オンリーな世界を醸し出していて、ほんとあれよあれよという間に楽しめます。
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