テレビ修理-頑固親父の修理日記

古いテレビ、ラジオ、カーラジオ、アンプ、プレーヤ、電話機の修理のご案内です。古い物でしたら何処の国の物でも略OKです

日本コロンビア 14-T586 (昭和36年5月)

2015-07-19 12:37:26 | Weblog

上は発送前に撮影しておいたクリーニング後の画像、下はお預かりした状態。

    今日お預かりしたのは本来2日前に届くはずだった日本コロンビアの 14-T586 で先日通電した
ところヒューズが飛んで仕舞ったとのお話だった。   この種のテレビの修理、改造に付きまして
はこちらの ホームページ https://vrc-tezuka.sakura.ne.jp/ からお問い合わせ下さい。

真空管テレビの修理には甚だ不向きな季節となって仕舞ったが贅沢は云えない!

当然と云えばその通りだが可成りのホコリだったのでこの後少し払っておいた。

短絡していたセレン整流器と絶縁不良を起こしていた電源回路のブロック型ケミコンを交換し
通電してみた。  最初水平発振の真空管等一部の真空管のソケット部分で接触不良が診ら
れたがそれらを直した結果一応動作し始めた。  ただ水平同期を調整しても水平の発振周
波数が殆ど変化せず、周期約70μSec.で変わらなかった(下の画像)。

一応暗いながらもラスターが何とか見られたがブラウン管のエミッションは可也低そうだった。

今日は時間切れでここまでとなったが明日は基本に立ち返り各真空管のgmを診てみよう。

7月20日 先ずはブラウン管前面に貼られたプラスチック・カバー(薄いグレー)を外した。

元々は外来光の反射を抑え、コントラストを上げるのが目的だが悪影響の方が大きい。

ブラウン管面は綺麗にしておいたが、前面のガラスや周りのプラスチック部品のクリーニング
を行う為には一度前面部分を完全に分解しなければならず時間を要するのでどうするか?

殆どの真空管のgmやエミッションを診てみたが1X2B、6U8(x2)、6DK6の4本が最低値を下回っ
ていた。 ただご予算の問題が有りエミッションが致命的だった1X2Bのみを交換した。

7月21日 前面部分の汚れが可成り酷かったのでこの部分のクリーニングを開始した。 

 

真空管の交換等で可成り動作し始めたが水平/垂直同期が取れてない。

同期分離の出力波形を確認したが当初殆ど出ていなかったがソケットの接触に問題が有った
様でここを直した結果振幅が一挙に増加し、同期も良好となった。

コントラスト・ボリュームに問題が診られたので分解し接触面のクリーニングを行った。

ファイン・チューニングが機能してないので診たところV/C側の羽が外れていたので修復した。

クリーニングを行った前面部分が乾いたので組み立てた。

シャーシーをキャビネットに組み込み連続試験を開始した。 現在のテレビに比べると暗いが
画質等は十分だった。 画像に見られる縞模様は走査線とカメラのCCD 間で発生したモアレ
縞なので実際には見えない。

7月22日 最終調整を行った。 今回一部の真空管は交換しなかった為、通電後動作が安定す
までに5分程を要する。

連続試験中に輝度が低下することがあった。 電源を切ると一瞬輝度が増加したことからCRTの
g2の電位が怪しかった。 この回路に入っているC416、1μFが怪しかったので交換した結果g2の
電圧が259V から363Vに上がり輝度も増えた。 どうもこのコンデンサが劣化していた様だったが
こちらに在る内に問題が出て良かった。 その後も連続運転を続けているが解決した様だった。

7月27日 先日九州に送った物が音声は出るが、映像が出ないとのお話だった。 ただ電源を
切った際に白い 4角が現れ消えて行くとのお話だった。 音声出力が有ると云うことは映像増
幅までは為されており、水平/垂直の両偏向回路も、また高圧も動作しており、ブラウン管も生
きていることになり、ヒョットすると輝度が絞られているのでは無いかと朝方気付き、ご連絡した
が遅きに逸した様で今日お送り頂いた物を受け取った。

裏面が底になっておりブラウン管を先ず心配したが幸いブラウン管は14WP4で14RP4等に比
べネックが短いので無傷だった。

ただアチコチの飛び出している部分が壊れていた。

シャーシ後部のAGC、直線性、垂直振幅、焦点等の各半固定VRのシャフトと水平振幅調整ネジ
が折れていた。 折れたシャフトは2本しか残っておらず、他の2本は底に開いた穴から落ちて仕
舞った様だった。 (半固定VRなので調整後は普段使うわけでは無いが)

早速通電してみた。 通電後直ぐには音声と略ラスターのみでハッキリした画像は得られなかっ
たが徐々にコントラストが付き、5分程で上の画像が得られた。

暫く通電していたが特に問題は無く、想像通り輝度を絞っていたか、或いは通電後直ぐの状態
からご判断頂いたのかは不明だが兎に角問題は診られなかった。 何とも解せない。

7月28日 こちらのブログに目を通して頂いたご依頼主から電話を頂戴した。 先日テストを行っ
た際の様子をより詳しくお話頂き通電後1度目は30分、2度目は2時間も掛けテストを行ったとの
お話だった。  兎に角通電後音声は出たが、ブラウン管は暗いままで一度電源を切ると四角い
ラスターが短時間出て消えて行ったとのことだった。 信号源としては地デジ・チューナー或いは
DVDを使い、念の為別のテレビに入力したり、別のRFモジュレータも使ったとのお話だった。
昨日返送されて来た物にそのまま通電し、直ぐに音声とラスターは出た(コントラストは低いが)
ので益々理解に苦しむが、明日は永年放送局等で使用するビデオ用測定器を設計していた友
人が手伝いに来てくれるのでその彼に伺ったことを話したが彼も小生同様頭を抱えていた。
何とも不思議な症状だが二人で取り組み何とか原因が見付かると良いのだが!

7月29日 今日は心強い友人のMさんが手伝ってくれることになり彼と二人で動作確認を行った。

ブラウン管(CRT)が発光せず、ラスターが出ないと云うことは結局昨日も一度も診られなかった。

CRTが発光しなくなるのは輝度調整を絞った場合。 つまりこの機種のCRTではカソードの電位
を上げた場合で映像増幅のプレートとの間に入っている C204 の絶縁が劣化した場合こうなる
ことが想像出来るので念の為ここのコンデンサ0.2μFを交換した。 (外した物の絶縁に問題は
診られなかった) それと先日絶縁の劣化が診られた C416 (1μF/400WV) と同じコンデンサが
他にも一つ使われているのでこれも(輝度には無関係だが)念の為交換した。 電源のケミコン
C602 も容量に問題は無かったが片方の端子の周りのゴムの劣化が気になったので思い切っ
て交換した。

 

7月30日  昨日は夕方5時に早仕舞いをして仕舞い画像が一部アップ出来無かったが水平同期
に問題は見られないが可変範囲に気掛かりな点が在ったのでMさんに調べて貰った結果上の画
像に見られる抵抗 R513 (1MΩ) の断線が見付かった。 また連続運転中コントラストが減少した
ことがあったが、その一つの原因はアンテナ回路のスイッチの接触不良だったのでDX側と同一と
なる様スイッチをパスし直接入力とした。 もう1つの原因はチューナーの接触不良だったが今回
の機種に使われているチューナーはロータリー・タイプで残念ながらターレット・タイプの様に接点
を磨けない。 通電後コントラストの増加には時間を要するがビデオIFの 6DK6 を交換して様子を
診てみよう。

今日は時間切れで画像をアップ出来なかったが新たにご依頼頂いた電源コードを交換し、輸送
中に壊れて仕舞った部分を修復した。 また単純なことだが部品間を整理しなるべく触れない様
全体の配線をチェックした。 明日は駄目元でチューナーの接触を診てみよう。  それと昨日動
作試験にはDVDの再生よりテストパターンの方が好ましいのでは無いかとパターンゼネレータ
を久し振りに引っ張り出したが扱いを間違え壊して仕舞った。  結局DVDプレーヤのスタンバイ
画像を使ったがダイナミックレンジが十分では無く、今日修理を試みた結果上手く直せたので今
後の動作試験にはこちらを使うことにしよう。

7月31日 チューナーの接点の洗浄を先ず行い、次いで接点復活剤を使ったが約3時間のランニ
ング中チューナーの接触不良は一度も診られなかった。 また6DK6の交換により通電後コントラ
ストが通常の状態になるまでに要する時間は予想以上に短縮した。

これまで使っていたDVDプレーヤでは無く、別のDVDプレーヤ(修理しながら)でも確認してみた。

当初トレイを駆動するモーターの導通が無くモーターを交換するしか無いかと考えたが強制的に
手動で回した結果、整流子表面の酸化膜が取れたのか回転する様になり動き始めた。

考えられる殆どのことを終えた。 これまでの数日間でブラウン管が発光しないと云う症状は全く
診られず謎は残ったままだが、これ以上はやり様が無く明日にもお送りしてみよう。

8月1日 昨日接着しておいたハードボード製裏面カバーも乾いたので最終試験を行った。

昨日動作試験を行っていた際に画像が飽和した状態を示したことが有った。 この際アンテナ端
子を後部に引くと直ったので入力アッテネータの問題と想像しこの部分を外した。 その後この問
題は診られなかったので安心していたが、今日の最終試験でまたもや同じ問題が診られ原因を
追った。 結果判明したのはこの機種の所々に用意されているテスト・ポイント (単にシャーシー
に穴を開け、ビニール線(約0.4φの軟銅単線)を出した簡単な構造)の一つがシャーシーに触れ
掛かっており、ほんの少しシャーシーが変形した際にグランドに落ち、また逆に浮いていた。

好結果が得られたので梱包し集荷を待つことにした、今回はスンナリ動いてくれる様祈ろう!

コメント
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