
これまでにもポルシェ356 Pre A用のラジオは何度か手掛けたが来週届く画像の物はTelefunken
製で多分リムロックタイプの今となっては入手が非常に困難な真空管が使われていると想われる
が何れにしても非常に楽しみだ! この種のラジオの修理に付きましてはこちらの ホームページ
https://vrc-tezuka.sakura.ne.jp/ にお願い致します。

11月2日 来週と伺っていたが今日の昼前に届いた。




しかし本体のみで電源部が添えられて無い、困った! また型番が何処にも記されて無い。
(左側の紙テープの上部の辺りに本来型番が記されていた可能性が高い)

てっきりリムロック管が使われているのかと想像していたが更に古いドイツ・オクタルだった。

多分ラインナップは EF11-ECH11-EBF11-ECL11と想われる。


若干近年手が加えられた形跡が診られた。 電源部が在れば直ぐに動作を確かめられるのだが。


アンテナ・コネクタは近年の物に交換されていた。 また上の画像に見えている 6pin のコネクタ
は近年加えられた物の様だった。



忘れていたが以前同じ機種を手掛けていたことが分かった。 どうも型番は IA 50 の様だった。
細かく回路を追い、更に電源部を用意しなければならないが道のりは可成り遠い!
改めてご依頼主に電源部を探して貰ったが無いとのお話だった。 こちらで作るしか無さそう。
11月3日 昨日時間を掛け今回の機種の回路図を探した。 また参照したRadio Museumの情報に
依ると IA 50 は EF11-ECH11-EBF11-ECL11+EZ11 の5球で、IB 50 は EZ11 (両波整流管) の無
い4球とのことだったが入手した IA 50/IB 50 共用の回路図に EZ11 は何故か記されて無かった?。
更に今回のシャーシーにはもう1本真空管を設置するスペースは無かった、何ともハッキリしない。
その後 2020年11月5日に IA 50 と IB 50 両方をお預かりした記事が見付かり 2機種の差 (他にも有
るかも知れ無いが) でハッキリしているのは電源とアンテナ・コネクタが裏面に在るのが IA 50 で
左側面に在るのが IB 50) 従って今回の物は IA 50 となる。 EZ11 はどう考えても使われていない。

電源部を作る前に動作確認に取り掛かった。

ヒーター回路は約 1.3A が流れた。 B電源回路がイマイチはっきりしない、 B-は 125Ωと 25Ωを
介してグランドに落ちており ECL11 の3極管部と4極管部の各グリッド・バイアス電圧を発生させ
ている回路だが実際は可也異なっている様だった、今日は時間切れとなったので続きは明日。


11月4日 簡単な電源を作り動作試験に取り掛かった。 出力管 ECL11 の 4 極管部は動作してお
り加えた信号を増幅していたが、前段の 3 極管部は機能しておらず回路を追った。

グリッドとグランド間が数10Ωしか無く使われているシールド線の芯線が外皮に触れているのだ
ろうとスピーカーを外し回路を追った。

結果判明したのは有ろうことか ECL11 の 2 (グリッド) と 3 (カソード)番ピン間が 50Ω程しか
無くこれでは動作しない。 しかし困った、この真空管が手に入るか?

ECL11 は海外のオークションサイトでは想像以上に多くの物が出品されていたので出来るだけ確実
な物を購入してみよう。 ところで低周波出力は得られなかったが検波出力を確認した結果 NHK
第一、第二、FEN、日本放送、ラジオ日本は良好に受信出来た。 1MHz近辺が受信出来なかったが
トラッキング調整用のセラミック・トリマが片方が固着、もう片方は接続部分が壊れていた。

11月5日 出品されていた ECL11 をウォッチリストに加えておいたがその出品者から 6%値引きの
連絡が有ったが、それらの動作に付いて質問を送っておいた。 一方 ECL11 の 2-3番ピン間の導通
の問題は多分内部でグリッド カソード間が短絡したとは考え難く、駄目元で引き出し線に手を加え
てみた (上は2番ピンの半田を少し取り除いたところ)。 結果良好に動作し出し連続運転を開始した。

次いで壊れている(中央のネジと蒸着されている銀の薄膜間が切れている)アンテナ側のトリマ
に取り組んだ。



完全では無いが一応トリマは直った。 ただ暫くして動作が停止して仕舞い確認したところ g-k
間が再度短絡していたので、今回は 3番ピン側の半田を吸い出した結果再度動作し始めた。

連続運転を始め気付いたのはアンテナ端子にアンテナを繋いでも感度は殆ど変化せず、アンテナ
のコードを近くに持って来るだけで動作していた。 アンテナ回路を追う必要が有る。

11月5日 意を決してアンテナ回路(コイル)に取り掛かった。

上の画像で同軸の芯線の左の端子が浮いているのが気になった。 (全ての端子が使われるハズ)


上は先ずは配線を外す前の状態。


中身を取り出した。左は長波用と想われる同調コイルとアンテナコイル。 右は中波用コイル。


回路図上ではコイルの端子番号がふられているのだが実際には番号は読めない。 番号さえ読め
れば簡単なのだが! 一応こうでは無いかと云う想像に基づき番号を振った。


想像に基づき回路を組んだが幸い良好に動作して 1MHz付近の TBS、文化放送も聴こえる様になり
通常こちらで聞ける全局が聴ける様になった。 長波の動作は無視したが、当初長波で診られた発
振も無くなった。 以前修理した方が回路を間違えていたことがハッキリした。

11月6日 今回のスピーカーを改めて見てみたがマグネットがコーン前面に備わった物で可也薄く
作られていた。 夕方部品屋さんに向かいトランスやケースを購入したがトランスは若干容量不足
かも知れ無いが次の容量の物が可也大きくなって仕舞うので先ずはこれで結果を見てみよう。


11月7日 昨日買って来た部品を使いバイブレータ電源の試験回路を作った。

外してあったスピーカーを元に戻し連続運転を開始した。

11月9日 若干容量不足と感じたので昨日は久し振りに秋葉原を尋ね2倍程の容量のトランスを購
入した。

サテ、ケースに収めるか。

11月15日 時間が空いて仕舞ったが何とかケースに組み込んだ。

11月16日 電源ユニットを組み立て本体と接続し、全体を組み立てたがアンテナ・コネクタが奥に
在り通常のアンテナ・コネクタでは接続出来ず仕方なく半田付けを一度外し位置を出した。

組み込み実際の動作を確認した、イヤハヤ疲れた!
