UGUG・GGIのかしこばか日記 

びわ湖畔を彷徨する独居性誇大妄想性イチャモン性前期高齢者の独白

空爆も虐殺と知る戦中派・・・世界は非対称に満ちている・・・

2015-11-28 02:08:20 | 日記

「非対称戦争」という言葉がありますね、これはasymmetric warという造語の日本語訳ですが、ウィキペディアさんによれば、非対称戦争とは「その交戦様態が、正規軍同士ではない戦闘である点を特徴とし、相手と同じ戦術では勝利が困難な交戦集団が、相手にとって予想も対抗も困難な別の手段によって戦闘をしかけることで戦われる」戦争であるとされており、「一般には「テロ」やゲリラ戦という言葉で認識される場合が多い」とされています、わかりやすく申し上げられば軍事力に圧倒的な差があるものの間における戦争のことであります、ですからまことに残酷なことでありますが、軍事力が極端に「非対称」である場合、「テロ」攻撃は論理的に当然予想される帰結であると言っては言い過ぎでありませうか 

9・11同時多発「テロ」への復讐として米国がアフガン空爆を敢行したことにより始まった一連の戦争は(イラク戦争は当初正規軍どうしの戦いでありましたが)、非対称戦争の典型であると言えるでありませう

 片や世界最強の軍事力を誇る米国をはじめとした欧米の大国、原子力空母や巡航ミサイル、あげくの果ては無人攻撃機という最新のハイテク兵器を駆使しての戦闘、片やアフタガンやパキスタン、中近東の武装集団による戦闘は小銃や機関銃、ロケット弾などの小型の対空砲火、小型爆弾などを用いての、ときにはテロを交えてのゲリラ戦・・・圧倒的な軍事力の不均衡であり、非対称戦争の典型です

ところで、 「非対称戦争」という場合、まず軍事力の不均衡を意味していると考えられますが、不均衡戦争における不均衡は単に軍事力にとどまりませぬ

 たとえば、軍事力の不均衡から当然予想されることでありますが、戦闘に関連した死者の数の圧倒的な不均衡です、アフガン戦争以来の死者数はどのくらいであるのか定かではありませんが、イスラム圏の人々の死者の数は、将兵に関しても民間人に関しても、圧倒的に欧米諸国の人々の死者の数を上回っており、桁違いに多いと断言しても差し支えないでありませう

 たとえば、イラク戦争における有志連合諸国の将兵の死者数は約4800人(このうち米軍は約4500人)(http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nobu/iraq/casualty.htmによる)(201112月の米軍撤退時のデータ、この記録では何とわが日本の自衛隊も有志連合軍のひとつとされており、死者はゼロとされています!)、これに対してイラク軍の死者数は、これまた驚くべきことに?正確な記録がほとんどないようであります、有志連合と称する米国をはじめとした諸国の将兵に関する数字はたくさんあり死者数の端数までわかっているのですが・・・・GGIが勝手に乱暴に推定いたしますと米軍将兵の死者数の10倍ぐらいには達しているのではないでせうか

 イラク戦争など一連の戦乱による民間人犠牲者(これはほぼ全部がイラクの人々あるいはイスラム圏の人々です。欧米諸国における民間人犠牲者は、欧米におけるテロの犠牲者を除けば、微々たるものであると考えられます)に関しては、欧米の市民による調査組織「イラク・ボディ・カウント」がイラク戦争以来、現在まで詳細に報じており、20151127日現在の数字は147000~167000人であり、戦闘員も含めると224000人とされています(この数字からはイラクにおける戦闘員の死者は6~8万人ということになります)https://www.iraqbodycount.org/

 ただし、イラク・ボディ・カウントにおける死者数は複数のメディアの報道などをクロスチェックすることなどにより、正確に確認されたものに限定されていますので最低限の数字に過ぎません、たとえば共同通信によれば、20061011日、イギリスの医学誌ランセット(電子版)は、イラク戦争開始(2003.3)から、2006年6月までの間に戦争に起因する状況の変化(戦闘、テロ、治安悪化など)で死んだイラク人の死者数を約655000人だとするアメリカのジョンホプキンズ大学の推計を発表したとされています。これは、イラクの47箇所、1800世帯、1.2万人以上への調査をもとにして、死亡率が開戦前より2倍以上はねあがっていることに着目し、それを全土にあてはめた数字であるとされています(http://www1.odn.ne.jp/kamiya-ta/iraq-death0409.html
しかし、このランセットが報じた数字は9年前のものでありますから現在ではもっともっと犠牲者の数は多いものと考えられます

一方、欧米人の民間人の死者の場合、大半はいわゆる欧米諸国で起きたゆわゆるテロ攻撃によるものでありませう(311同時多発テロでの犠牲者は約3000人、先日のパリ同時テロの犠牲者は約130人、そのほか欧米以外の国で起きたイスラム系武装集団によるテロ事件に際しての犠牲者が考えられますが、それらの犠牲者の数を合計してもイスラム系の人々の犠牲者の数には遠く及ばないことは明らかです・・・・

このような非対称戦争においては、民間人犠牲者の数も圧倒的に不均衡なのです

 非均衡戦争におけるもう一つ見落とすことができないはメディアの不均衡ということです。これもまた将兵や民間人の死者の数の場合と同様に圧倒的に不均衡です。9・11危機と米国によるアフガン空爆に始まったイスラム圏における一連の戦乱に関する報道は、圧倒的に欧米のメディア(日本のメディアも実質的に欧米系メディアであるというべきでありませう)によるものです。私たち一般の日本人が知っているイスラム系メディアといえばアルジャジーラぐらいなものです、したがって私たちは欧米の事情や事件に関してはよく知っていますが、イスラム圏で起きていること、あるいはイスラム圏の人々が置かれている状況に関しては極く限られたことしか知っていません。つまり私たちが接する情報は圧倒的に偏っているとしか言いようがないのです。だから私たちのパリのテロの犠牲者の数は端数まで知ることができますが、空爆や地上戦やテロに巻き込まれてイスラムの人々が何人亡くなったかということなど、知ることもできず、したがってイスラム系の人々の死には無関心になっていってしまうのです

この点に関して放送大学の高橋和夫氏が1127日に朝日新聞で次のように書いています。「しかし、ここで考えてほしいのは、テロを起こしているのは一部の過激主義者であってイスラム教徒一般はないことです。世界中で起きているテロの犠牲者の大半はイスラム教徒なのです。フランスでのテロの直前にレバノンで起きたISによるテロでも多くのイスラム教徒が命を落としました。イスラム教徒の大半はフランスでのテロも支持していません。でも、そうしたことを欧米のメディアはあまり報道しない。パリでのテロの報道と、あまりに情報が非対称です。たとえば、フェイスブックでフランスの犠牲者を悼むためにプロフィル写真に国旗を重ねる動きが起きましたが、レバノンの時はそうではなかった」(レバノンのテロ事件というのはパリでの事件の一日前、20151112日にベイルートで起きたISによる自爆テロ事件を指しており、犠牲者は43人と報じられています)

また、非対称戦争においては政治家の驚くほど「非対称」な政治行動ともいうべき現象が見られたりすることもあります。たとえば、米軍の無人攻撃機による爆撃で祖母を失い、自身も傷を負い、ほかに家族8人も負傷したというパキスタンの11歳になる少女がお父さんに連れられて訪米したときのことです。彼女は、ノーベル平和賞を受賞したタリバンの攻撃で危うく一名を取り留めたマㇻラさんが訪米してオバマ大統領と会った数週間後に訪米して、この自らの悲劇を米国議会で訴えたのですが集まりの場に姿を見せ耳を傾け議員はわずか5人、米政府は取り合わず、オバマ大統領も会いませんでした。まことに驚くべき露骨な政治家の「非対称」的な行動というべきでありませう

アフガン・パキスタン国境地帯における米軍の無人攻撃機による空爆ですでに1000人近くの民間人が犠牲者になっていると推測されており、国際的な人権NGOなどが米国政府にその非人道性を指摘し勧告していますが、米軍は依然としてこのハイテク兵器による攻撃を行っています

 欧米諸国+ロシアによる空爆には英国も加わる模様であり、これからも激しさを増す一方でありませう、報復と憎しみの連鎖は泥沼の様相を呈しはじめています

 昨日の朝日新聞に次のような川柳が載っておりました

《空爆も虐殺と知る戦中派》

 まことにそのとおりであります、じゃあ、そんなことを言って、ISと相手にどうしたらいいんだとお叱りを受けるかもしれませんが、妙策はないでありませう、でもGGIが考えますところ、空爆などで膨大な戦費を無駄づかいするのをやめて、本気になってその分のおカネを中東をはじめとした難民のために。イスラム圏の人々の生活向上のために、教育や医療、生活支援などに使うならば、事態は少しは変わってくるのではないかと思います・・・

今夜の写真は、無人攻撃による爆撃で祖母を失い、この悲劇を伝えようと訪米したパキスタンの少女についての新聞記事です(朝日新聞)、ぜひクリックしてご覧くださいませ

 グッドナイト・グッドラック!

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