透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

道祖神の帯代って何?

2021-06-05 | B 石神・石仏



 長野県には道祖神が多い。とりわけ安曇野には多く、道祖神巡りをするために訪れる人も少なくないようだ。上掲の写真は安曇野市豊科に祀られている道祖神の背面(過去ログ)。帯代五両と刻まれている。

帯代について6月4日付のMGプレスに記事が載っていた。「松本まちなか遺産めぐり」という連載記事で紹介されているのは松本市のあがたの森近くに祀られている道祖神。天保十二辛丑年という建立年と共に刻まれた帯代は十五両とのこと。この年、西暦では1841年。ちなみに上掲の豊科の道祖神は天保十四年、記事に紹介されている道祖神の2年後、1843年の建立。

ところでこの帯代だが、昔は「嫁入り」という道祖神ぬすみの風習があって、夜中に道祖神を近隣の村人がぬすんでいく、と言うとよくないが、嫁に欲しくて持ち去ることがあったという。で、帯代というのは、まあ結納金のようなもの。「嫁入り」させるなら、五両の結納金をいただきます、という意味だ(過去ログ再掲)。帯代について同じ内容が新聞記事にも載っている。

帯代って今のお金にしてどのくらいの額になるのだろう、と前から思っていたが、MGプレスの記事には町会長だった方が**2009年、日銀松本支店に問い合わせるなどして天保のころと現代の米価の比較を行い、(中略)「70万円ほど」に相当すると試算した。**とあり、**世の中の仕組みや人々の暮らしが異なる上、貨幣価値も変動するため、こうした比較の当否は難しい面があるが、(後略)**と続く。用心深い記述だが、天保時代の十五両は70万ほどという目安がついた。

一両4万7千円くらいになるが、ざっくり一両5万円と押さえて、豊科の道祖神の帯代は五両だから25万円。同じ豊科には五拾両と、高額な帯代を刻んだものもある(下の写真)。今のお金で250万円。高額な帯代にすることで道祖神ぬすみを防いだのかもしれない。


安曇野市豊科の諏訪松尾神社の境内に祀られている道祖神 帯代五拾両

現在の結納金の額についてネットで調べて、50万~150万が半数という記事が見つかった。


 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。