透明タペストリー

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「8 男はつらいよ 寅次郎恋歌」は涙映画

2021-06-06 | E 週末には映画を観よう

 偶然。

今朝(6日)ラジオ深夜便の「時代を創った声」のコーナーに声優・女優の岡本茉利さんが出演していた。岡本さんは寅さんシリーズ第8作の「男はつらいよ 寅次郎恋歌」に出演していて、旅役者の役を演じている。岡本さんは深夜便でこの作品出演に至る経緯も語っていた。ちなみにこの作品に出演したとき岡本さんは高校1年生だったそうだ。偶然にもぼくは昨日この作品のDVDを借りてきていた。

酔っ払いふたりをつれて寅さんがとらやに帰ってくる。おいちゃん(第1作からおいちゃん役だった森川 信さん最後の出演)にこっぴどく叱られるが、さくらがその場をしのぐ。さくらは3人にビールを注ぎ、歌を歌ってくれと言われて、躊躇いながらも「かあさんの歌」を歌う。ここで涙が出た。寅さんはさくらに悲しい思いをさせてばっかり。本当にさくらはお兄ちゃん思い。

博の母親の葬儀の後、独りぼっちになった父親(志村 喬)が信州は安曇野で見かけたという夕暮れ時の家族団らんの様子を寅さんに語る。その話を今度はとらやで話す寅さん。ふたりの語り口がそれぞれ味わい深い。この両場面にも涙。

今回のマドンナは帝釈天の近くで喫茶店を開いた貴子(池内淳子)、女手一つで小学3年生の男の子を育てている。家族を持ちたいと思っている寅さんが挙げた条件に貴子はピッタリ。

いつもマドンナに振られてばっかりの寅さんだが、今回は自ら身を引く・・・。とらやを後にする寅さんの後ろ姿にもなぜか涙。

この作品には泣かされた。ストーリーは書かない。家族について考えさせられる作品とだけ書いておく。山田洋次監督の作品に通底するテーマは家族の絆、それにふるさと。

2歳で満州に渡り、そこで終戦後まで過ごしたという山田監督が想い描き続けた日本のふるさと。寅さんは日本各地を気ままに旅するが、あれは山田監督のふるさと探しの旅でもあるのだ。


 



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