透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

二八会のカレー大作戦

2024-07-02 | A あれこれ


 我が村で昨年始まったカレー大作戦に二八会は今年も参加することにした。今月(7月)から村内各所で順次開催されるカレー大作戦、今年は全10回。そのトップ、7月20日の第1回を二八会が担当する。

昨夕(1日)その打合せ会という名目の飲み会があった。いや、実際に社会福祉協議会の担当者から説明を受けた。昨年は炊きあがったご飯の提供など社協のサポートをかなり受けたが、今年は基本的に全て自分たちで準備することに。配布された資料に**調理の全てをお任せします。**とある。

会場も昨年とは違う。調理室の下見、調理器具の準備も必要になる・・・。当日の受付・会計や配布も手際よくしないと混乱する。

カレーライスを提供する分とスタッフ分とを合わせて120食くらいつくることになるが食材の必要量は? 目安が資料に示されている。米7升(10.5kg)、豚肉5kg、タマネギ8kg、ジャガイモ4.5kg・・・。去年はケチャップや隠し味(?)でチョコレートも使った。

必要な食材の大半を昨年は寄付で賄うことができた。今年も村内外の人たちの寄付や二八会の仲間が持ち寄って賄うことになる。




昨年(2023年)の様子 約100食を20分程で完売した(子ども無料、大人300円)。

昨年のカレー大作戦で印象的だったのは、調理する時のみんなの真剣な表情。飲み会の時の顔とは大違い。実に頼もしく見えた。手際よく調理するおじ(い)さんたちの様子にサポートスタッフの女性たちもびっくりしたという。まあ、今年もみんなでやればなんとかなるだろう。

**二八会有志の皆さんが声をかけ合い、楽しそうにカレーを調理する姿は、とても心強いです。(中略)今まで職業人として培った経験とチカラを子ども食堂運営に貸して下さい。(後略)** これは配布資料に記されていた社協担当者のメッセージ。そう、昨年同様、みんなで楽しくやろう。


 


「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」を読む

2024-07-02 | A 読書日記

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『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』三宅香帆(集英社新書 2024年4月22日第1刷発行、5月19日第3刷発行)を読んだ。この本は今ベストセラーになっているそうだ(6月22日付日経新聞読書(書評)面ほか)。

著者の三宅さんは本が読めなかったから、会社を辞めたとのこと。本の虫。**好きな本をたくさん買うために、就職したようなもの**(14頁)とまで言う三宅さん。

本も読めない働き方が普通の社会っておかしくないか、という問題意識から明治以降の読書の歴史を労働との関係から紐解き、読書の通史として示している。読書史と労働史を併置し、どうすれば労働と読書が両立する社会をつくることができるか、を論じている。

本書の終盤のなぜ本は読めなくてもインターネットはできるのか、という論考は興味深い。三宅さんは本は知りたいことだけでなく、「ノイズ」も含まれている、インターネットの情報はノイズが除去されていて、知りたいことだけ提供されてると指摘し、次のようにまとめている。**読書は欲しい情報以外の文脈やシーンや展開そのものを手に入れるには向いているが、一方で欲しい情報そのものを手に入れるに手軽さや速さではインターネットに勝てない。**(207頁)


『映画を早送りで観る人たち』稲田豊史(光文社新書2023年 過去ログ

映画を早送りで観る人たちが話題になったことも本書で取り上げられている。映画を鑑賞モードではなく、情報収集モードで見る人たち。効率よく情報を得るのに、ノイズ混じりの読書は不向きだ。ノイズのない情報をいかに効率よく収集するか、現在の労働社会では情報収集の効率性が求められる。だから読書ではなくインターネット、という図式。

**本が読めない状況とは、新しい文脈をつくる余裕がない、ということだ。自分から離れたところにある文脈を、ノイズだと思ってしまう。そのノイズを頭に入れる余裕がない。自分に関係のあるものばかりを求めてしまう。それは余裕のなさゆえである。だから私たちは、働いていると、本が読めない。**(234頁)

だが、自分とは異なる価値観、自分には関係がないと感じる知識、ノイズこそ大切だ、と三宅さんは説く。**他者を人生に引き込みながら、人は生きていかなくてはならない。**(230頁)のだから。他者を自分の人生に引き込むとは、自分とは関係ないと思われるノイズを排除しないで受け入れること。

それを可能にするために三宅さんは全身全霊をやめよう、全身労働社会から半身労働社会、分かりやすく言えば働きながら本を読める社会への転換を提言する。

「『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』ってどんなことが書かれた本ですか?」とKちゃんに問われれば(Kちゃんでなくても)、「要するにワーク・ライフ・バランスを最適化しましょう、と説いた本」とぼくは答える。「読書好きな著者の三宅さんはワーク・ライフ・バランスのライフを読書に代表させて「仕事と読書の調和」の必要性を説いている。これを個人の問題に帰着させてしまうのではなく、働き方と関係づけて論じたところがミソかな」と。そして、「巻末に示されている参考文献は10頁にも及ぶ。このような多くの文献をベースに分かりやすく論じているところも本書の魅力」と付け加える。