水の上に浮かべる船の君ならば
ここぞ泊まりていまはしものを 伊勢
古人の言葉によると法皇(宇多)様はまるで水に浮かんだ船のような方でいられる。もし、そう申し上げることが許されるなら、このお邸が今夜お入りになる港でございますと申し上げるのに。
ここぞ泊まりていまはしものを 伊勢
古人の言葉によると法皇(宇多)様はまるで水に浮かんだ船のような方でいられる。もし、そう申し上げることが許されるなら、このお邸が今夜お入りになる港でございますと申し上げるのに。
すみよいsと海人に告ぐとも長居すな
人忘れ草生ふるといふなり 壬生忠岑
君が行っている[住よし]の土地の漁師が教えてくれるかもしれない。そういわれても長居はしなさるな。その浜には人を忘れさせる忘れ草が生えている噂があるのだから。
人忘れ草生ふるといふなり 壬生忠岑
君が行っている[住よし]の土地の漁師が教えてくれるかもしれない。そういわれても長居はしなさるな。その浜には人を忘れさせる忘れ草が生えている噂があるのだから。
難波潟潮満ちくらし雨衣
たみのの島に鶴鳴きわたる 詠み人知らず
難波潟には潮が満ちてきているに違いない。鶴が田簑島を目指して、鳴きながら飛んでくるのだから。
この歌は万葉集の山部赤人の和歌の浦の歌に似ている。
たみのの島に鶴鳴きわたる 詠み人知らず
難波潟には潮が満ちてきているに違いない。鶴が田簑島を目指して、鳴きながら飛んでくるのだから。
この歌は万葉集の山部赤人の和歌の浦の歌に似ている。
わたつみの沖つしほあひに浮かぶ泡
きえぬものから寄るかたもなし 詠み人知らず
大海の沖で潮流が渦巻くところに浮かんでいる泡は消えないけれども、寄り着くべき岸がない。私の命は消えないけれども、よるべを持たない。
きえぬものから寄るかたもなし 詠み人知らず
大海の沖で潮流が渦巻くところに浮かんでいる泡は消えないけれども、寄り着くべき岸がない。私の命は消えないけれども、よるべを持たない。
誰をかも知る人にせむ高砂の
松も昔の途もならなくに 藤原興風
私は誰と心から知り合った親友としたのだろうか。高砂の松も私に負けない老齢だそうだが、松では昔馴染みの友とすすわけにはいかないからな。
この歌は百人一首第34番に収載されている。
松も昔の途もならなくに 藤原興風
私は誰と心から知り合った親友としたのだろうか。高砂の松も私に負けない老齢だそうだが、松では昔馴染みの友とすすわけにはいかないからな。
この歌は百人一首第34番に収載されている。