昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(474)中央線(3)チャラい若者

2018-12-14 03:31:29 | エッセイ
 四ツ谷駅で高校生だろうか? 生きのいい若者が入ってきた。
 
 イヤリングを付けたの、金グサリを首にかけている者。
 しかし着ているものは清潔で真新しい。
 洗いたてのジャージにリーボックの高そうなシューズ。
 中には香水をつけている者もいて、今どきのニューブリードだ。

「オレは盛ってるんだ」
 でかい奴が、手すりにからだをこすりつけ、小さいのにも身を寄せる。
「気持ち悪いんだよ、テメエ!」

 小さいのが腰を引くと、あきらめてスマホを取り出して通話している。
「あっ! ちり子か? 待ってろよ」
 スマホを股間に当てる。

 駅に近づくと「オレはこの手すりを絶対に離さねえぞ」
 がんばっている彼をすり抜けて、オバサンが降りて行った。
「あのババア、ふざけんじゃねえ」
 悪態をついている。

 このうるさいエネルギーのかたまりみたいなやつらがお茶の水駅で降りると、
 周囲にほっとした空気が流れ、今まで座席で固まっていたおじさんたちが思わず姿勢を正した。