昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

小説「カナダ旅行」(3)成田国際空港(3)

2016-09-12 05:40:52 | 小説「カナダ旅行」
 もう既にみんな集まっている。
「私たちが最後みたい・・・」額の汗をぬぐいながら妻がつぶやいた。
 
「いいえ、まだ見えていない方がいるんですよ。ビリではありません!」
 案内を始めようとしていたツアーガイドさんが声をかけてくれた。
 ・・・電話の声で想像していた通り、期待にたがわない美人だ・・・
 スラーとした体形。丸顔で大きな目。白いカッターシャツが初々しい。
 かわいい口を目いっぱい開いて白い歯でにっこり笑いかける。
「あっ、最後の方がお見えになりました」
「スイマセン・・・。交通渋滞に巻き込まれちゃって・・・」
 若い女性の二人連れが、頭を揃えて下げた。
「みなさんがお揃いになりました。わたくし、今回みなさまのお供を致しますツアーコンダクターの鈴木幸子と申します。よろしくお願い致します」
 周りにいろいろなツアー団体がいるのでスピーカーを使って語りかける。
「似たようなカナダ行のツアーが同じ飛行機に乗りますので、いくら美人だからといって浮気しないように。いいですね。ハイ」
 ・・・君より美人の添乗員なんていないと思うよ・・・
「カナダでの出入国カードは機内でお配りいたしますが、英語とフランス語で書くようになっています。お得意な方で書いてください。ハイ。フランス語は私に聞かれても分からないので、念のため。ハイ」
 ・・・ハイというのが口癖みたいだ・・・

 予定通り、21時ジャストJL016はスタートした。
  
 ところがいつまでたっても、這いずり回っているだけでなかなか飛び立たない。
 機体がミシミシ音を立てている。
 ・・・中古機かな。大丈夫かい?・・・
 20分経ってようやく飛び上がった。
 すぐ食事が配られたが、チャーシューメンのせいか食欲がわかない。
 ビールを要求する。
 席が狭くて足の置き場がない。靴を脱ぎ靴下も取った。
 オウムが主役のポーリーとかいう映画を見る。
 
 あまり面白くないがなんとか見終えると寝てしまった。
 到着2時間前に目が覚めて、ひとより早くゆっくりと鬚をそり、洗顔してさっぱりする。
 13時15分予定より15分早くバンクーバー国際空港へ到着。
 ・・・さあ、いよいよカナダだ!・・・

 ─続く─ 
 
 <好奇心コーナー>
 
 今日の朝、ウチのリビングにクモがいた。
 
 エアコンの上にも2匹
 
「潰しちゃえ!」とボク。
「かわいそう」と妻。
「外へ追い出せ!」とボク。
「ダメ! クモは家の守り神なんだから」「そうなんだ」