昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

有名人(50)男の魅力(19)旭天鵬

2012-05-21 04:49:15 | 男の魅力
 常勝横綱白鵬がいて、6人もの大関が誕生した大相撲夏場所において優勝したのは、力士最年長の37歳、平幕の旭天鵬だった。
 

 ウイキペディアによれば、彼は20年前、旭鷲山らとともに来日し大島部屋に入門、初のモンゴル出身力士となった。来日して半年後、稽古の厳しさや日本の食文化などに馴染めずともに来日した5人とモンゴル大使館に駆け込むが、モンゴルの実家まで来た師匠大島に「今に相撲はモンゴルの時代になる」と説得され、部屋へ戻った。

 そんな彼が、「やっちまったというか、これもひとえに20年間にわたり、私を支えてくれた人たちがいて初めてなし得たんです。相撲をやっていてよかった・・」とインタビューに答えている。

 彼の日本語の上手なことは有名で、かつて早稲田大学日本語研究教育センターで、<学習ストラテジー概論:効果的な言語習得のために>というテーマで宮崎里司教授と対話形式で学生たちに授業を行ったことがあるくらいだ。

 韓国から日本に帰化した呉善花さんによれば、日本語は独特の難しさがあると言う。
 いくら文法や言葉の意味を覚えても日本語が上達することはない。
 意味ではなく「いわんとするところを悟るセンス」が必要になると言うのだ。
 日本的な非論理的思考そのものをたどって、話す相手から伝わってくる気分に乗せられて「わかる」という体験をするしかない。
 つまり、自分の気分を変えなくては「言わんとするところ」がわからないのだそうだ。
 この「わかる」という体験がある程度習慣となったとき、人はきっと日本人になるのだと彼女は看破している。

 「日本語はむずかしいと聞いていましたが、覚えていくうちにそんなでもない」と旭天鵬は言っている。
 彼は日本語学校で学んだことはない。辞書などもそっちのけで、周りのひとたちと沢山しゃべり、カラオケやテレビのバラエティ番組やドラマを見て、理屈ではなく日常の体験の中で習得していったのだ。
 彼はいつの間にか日本語に馴染み、そして感覚的に日本人になり、気分は日本に帰化するまでになった。
 実際彼は7年前にモンゴル国籍を離脱、日本国籍を取得し帰化している。

 そういえば、彼は表彰式の国家斉唱の時、あきらかに「君が代」を口ずさんでいた。
 今や彼は日本人より日本人らしい。
 
 名実ともに日本人になった旭天鵬さん、今回の快挙、ほんとうにおめでとう。