タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

流産の処置と合併症

2018-08-22 21:11:56 | 産科
篠山市味間南の斗陽(とうや)くん、7月18日生まれ。
「光続ける星のように、自分の意思をしっかり持って、笑顔いっぱいの人生を歩んでください。
産後は回復が早かったです。
みなさん話しやすく、入院中とても安心できました。」

男の子が3人続きましたね。
不思議と女の子ばっかりだとか、男の子ばっかりと続きますよね。
もし次も有れば、上の子たちと一緒に産みたいそうですよ。

今日の話題は、流産の合併症について、です。
流産の手術の後に、腹膜炎になったり、最悪、亡くなってしまうことだって有り、
毎回ニュースになりますよね。
いったい流産の手術の合併症って、どれくらい有るのでしょう?

一番問題になるのは、子宮穿孔(せんこう)と言って、子宮に穴が開くことです。
毎年、全国で25件ほど報告されています。
ということは10年で250件、20年で500件ということですね。
しょっちゅう起こると言っても良いでしょう。
おそらく穿孔後に腹膜炎を合併したから報告されたのでしょうが、
無症状ならもっと多いのかもしれませんしね。

例えば、帝王切開でも子宮に大きな穴を開けるわけですが、
抗生剤を使用するので、産後には子宮の穴は閉じますよね。
だから穴が開いただけでは、そう問題にはならないかもしれませんよ。

むかし天理に居た時ですが、
未婚の女性で子宮外妊娠になられて、開腹手術をした際に、
子宮に大網(だいもう)という膜が癒着していたことが有ります。
大網はお腹の中の炎症などを包み込む働きを持つ臓器です。
だからおそらく人工妊娠中絶の手術の時に穿孔が起こって、自然に治ったのだろうな、と想像したのです。

その女性は、過去の妊娠歴は無いと申告されていたのですが、
術後に問うてみると、やはり中絶の手術をしていたということでした。
結局、子宮穿孔は知らないうちに起こっているということですね。
だって、子宮って、とても柔らかい臓器なのですから。

いきなり怖いお話をしましたが、
それで日本では2年ほど前から、流産や中絶の手術には、昔ながらの細長いスプーンで掻き出す手術ではなく、吸引法でされることが少しづつ拡まってきました。
こちらの方が安全だから、というわけです。

それともう1つの問題も有ります。
流産や中絶の手術の既往の回数が多いほど、
子宮内膜が薄くなることが報告されています。
それによって、子宮因子による不妊症になることと関係していると言われているのです。
そしてこの子宮内膜が薄くなる対策としても、
吸引法の方が影響が少ないとされているのですね。

タマル産では、以前から胞状奇胎という病気には吸引で、
普通の流産には掻き出す手術をしていましたが、
最近はどちらも吸引法だけでしていますよ。

さらに言うと、最近は普通の稽留流産に対しては、
待機療法も考慮しています。
手術した方が1日で回復するので、次の妊娠が早くできるということは有ります。
それに仕事にも戻りやすいですしね。

それでも手術を希望されないことも有るので、
場合によっては、待機して、月経を待つように、流産でも待つこともします。
その場合は流産するまでの期間が長くなりますし、
出血する期間も長くなるのですが、
手術を回避することもできるので、人によってはメリットと考えられることでしょう。

知識として知っておかれると、
自分の番になった時に、考える材料となるのではないでしょうか。

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