タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

地方での消防隊との搬送訓練

2024-03-15 16:09:17 | 産科
今週のお昼の1つから〜
●鶏ももポワレとお野菜
●蛸と烏賊のマリネ
●ミネストローネ
●菜の花カシューナッツ炒め
●蕗の酢味噌和え
○ショコラパンナコッタとクコの実

最近は牛肉より鶏肉の方が消費量が増えているそうです。
安いからというだけではなくて、健康のためという話ですね。

お産で生命を落とすことがあるなんて、誰も想像しませんよね。
ところが世界一安全と言われる日本でも年間50人ほどの妊婦さんが亡くなっています。
兵庫県でいえば、毎年1人くらいの感覚でしょうか。
初発の症状が出るのは診療所半分、病院半分ですよ。
決して診療所で多いとは限りません。
それどころかこれだけ帝王切開が増えれば病院での事故も増えるでしょうからね。
実際、帝王切開中の死亡例も2%有りますよ。
さらには最近、無痛分娩が流行っているらしく、よくもまあわざわざ命懸けでしますよね。

お母さんがお産で亡くなる原因で一番多いのは産科出血です。
産科の出血ってね、バケツで水を流すごとくに出血することが有るのですよね。
タマル産では輸血しないといけないようなお母さんが年に1人有るか無いかです。
この数も他院よりずっと少ないのですよ。
最近は全国的に出血による母体死亡数は減少していたのですが、2020年度以降は再び増加傾向にあるので、
院内での訓練以外に、「院内・地域のシステムについて、今一度見直してね」という通知が日本産婦人科学会から出されたのですよ。

そこで兵庫県では、通報システムをバージョンアップさせようと、先日オンライン勉強会が開かれました。
通報システムってどんなものかというと、ネットに受け入れられるベッド数が載っているので、検索してね、というものです。
でもね、仮に朝一で登録したとしても、刻一刻と入院患者数や医師が手術中かどうかなんて入力できないのですよ。
まして入力補助者が24時間コンピューターの前に座っているわけではありませんからね。
結局、先の通報システムは機能していないので誰も使っていません。
そして今回のバージョンアップですが、びっくりするほど事務の人が現場を知らずに作ったとしか言いようのないものなのですよ。
お金の無駄遣いですね。
結局電話を1本した方がよほど効率が良いのです。

それではとばかりに、私は議員さんを通して消防署に搬送訓練を申し入れたのです。
他の医療施設もこの際とばかりに何件か個別に申し込まれたようです。
その結果ですが、結論を言うと、消防署は個別には対応できないのだそうです。
何条何がしにそう書いてあるかららしいのです。
なんだ、それなら初めからお互いに貴重な時間を使わなければ良かったですね。

産科の危機的出血では2〜3時間で心停止に至ります。
だから2時間以内に神戸大学に到着しなければなりません。
初発症状からは処置が30分、大学病院への電話連絡から返事までおおよそ15分、それから消防に出発依頼してからタマル産を出発するまで15分はかかるでしょう。
さらに救急車で1時間15分ほどかかるのです。
だから2時間15分という計算です。
そこでこの15分を短縮する相談をしたのですが、断られたという次第です。

理由は彼らは公務員であって、急いで交通事故を起こしてはならないし、搬送先を間違えてもいけないし、
制限速度も守らなければならないということです。
そうか、私たち医療者は消防隊のことを医療従事者だと思っていたのですが、そうではなくて、公務員だったというわけです。
定年まで無事故無違反でいかなければならないのですね。

最近のニュースで、鳥取県では救急医と消防隊との間にパワハラが有ったとして、救急の部長と副部長がクビになったそうです。
救急課は産婦人科以上にミスが犯せない、極限の状態で指示を出しますからね。
さてこれからの時代、どちらが正解だと思われますか?
結論は明白で、患者さんより自分達の身の安全です。
東日本大震災では自分の生命を捨てて避難誘導をした義人の姿が伝わりますが、そんなヒーローは要らないということなのですよ。

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