タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

へその緒4重巻

2019-04-17 21:16:21 | 産科
写真は、篠山市西吹の優妃(ゆうあ)ちゃん、3月13日生まれ。
「思いやりのある優しい子に育ってください。
お産は想像以上の痛みでした。
みなさん優しく丁寧で、過ごしやすかったです。」

初めてのお産でしたが、そんなに痛かったですか?

つい先ほども赤ちゃんが生まれたところです。
なんと、首に4回もへその緒が巻いていましたよ。
事前に複数回巻いているのは分かっていたので、
経産婦さんでしたが、ウォーターベッドではなく、分娩台でお産していただきました。
リスクの有るお産では、吸引分娩や急な帝王切開になることも有るからです。

ですが2人目だったので、少し心音は下がりましたが、大きな問題は有りませんでしたよ。
それでも最後は素早く生まれるようにお手伝いはしたのです。

私の経験では、4回巻いているのが過去最高ですよ。
京大病院での研修医の1年目に、他院で妊娠後期に子宮内胎児死亡となって搬送されたお母さんが初めてでした。
赤ちゃんのお爺ちゃんは産婦人科の先生で、自分のクリニックで健診されていたのですよね。
とても辛い経験だったと思うのですよ。

子宮の中で胎児が亡くなってしまうと、2週間以内に分娩にしてあげないと、
お母さんに悪さをしてしまうのです。
それは血液が固まらなくなる、DICという病気を引き起こすのです。
それで陣痛を付けて、産ませてあげたのですよ。
私にとっても、その時の記憶は今でも影響していますよ。

かと言って、妊娠中の胎児の首にへその緒が巻いていることは頻繁に有って、
4人に1人と言われています。私の実感では3人に1人くらいだと感じています。
事前に分かっていると、つい先ほどのように分娩台でお産したり、
いつもよりより慎重に分娩監視装置の波形を注意したりしているのですよ。

お産の時まで何も無ければ、陣痛が始まってから注意すれば良いのですが、
妊娠中の中期とか後期では、注意しようが無いのですよ。
タマル産ではすでに数千人の赤ちゃんが生まれています。
その中で数人は、妊娠中に亡くなった赤ちゃんです。
だから率にして千人に1人くらいの割合でしょうね。

みな思い出せますよ。
柏原で開業していた時は、双胎のお産もしていました。
あるお母さんの赤ちゃんは、双胎で1人の胎児がへその緒のせいで亡くなったことが有ります。
それでもう1人の赤ちゃんのために帝王切開したことが有りますよ。
亡くなった子は、神戸大学まで搬送して病理解剖をしたのです。
残念ながらこの時は、ご両親の理解が得られませんでした。
居たたまれない気持ちが、誰かに罪を着せようとするのでしょう。

篠山に転居してからは、3人居られました。
1人は外国から嫁がれたお嫁さんで、初めてのお産でしたが、
陣痛が来かけてから遠のいて、家で待機されていた時です。
本当の陣痛で来院された時には亡くなっていたのですよ。

みなさんはお産にはどんなイメージをお持ちでしょうか。
初めてのお産なら、とてもワクワクした気持ちでしょうか。
それともお産はとても怖いと感じておられるでしょうか。
それはどちらも正解だと思うのですよ。
ほとんどの場合は無事に生まれて、お産のことなんて、痛かったね、で終わってしまうものだからです。
ですが、ごくごくまれに、お産に悪い思い出が残ってしまうものなのです。

それでもね、すぐにまた赤ちゃんを妊娠することはできるのですよ。
よく流産した時など、その時はとても残念がられるのですが、
次に妊娠して出産までしたなら、苦労を乗り越えた満足感も出てくるものです。
どうかみなさんにも、良き人生経験をしていただきたいと思っています。

***
愛は最高の価値を持っています。
真の愛さえ引っ張っていけば、
神様もついてくるし、
世界もついてくるし、
みなついてきます。
愛の場でなら、
すべてのものがみなついてきます。

   レバレンド・ムーン

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