タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

効率的なお産

2021-09-03 20:50:07 | 産科
毎週、新型コロナのお話では興醒めでしょう。
ですが明後日よりタマル産でも妊婦さんへのワクチン接種が始まるので注意事項を記します。
私自身も勘違いしていたことも有るのでここで整理しておきます。

質問で多いのが、解熱剤は使用しても良いか、というものが1つ。
できれば使用しない方が良いでしょう。
首から頭を冷やすことで対応してください。
まれに解熱剤で胎児の動脈管という血管が細くなって、亡くなってしまうことが有るからです。

次にインフルエンザなどの他のワクチンとの接種間隔ですが、前後2週間開けることになっています。

産後の授乳中に打ってもよいかという質問では、
妊娠中と違って推奨にはなっていませんが、授乳を中止したくない場合も注射しても良さそうです。
ですが数時間から数日でワクチンは分解されるので、親の判断で少しの間ミルクに置き換えるということも可能でしょう。

今回は妊娠中の女性が優先接種の対象なので、授乳婦の方は一般接種が本当のところでしょうけれど、
市はついでに受け付けているようですね。

今からでもワクチンの申し込みは可能なので、希望する方はなるべく早く申し込んでくださいね。
私も数百ページのマニュアルを読んで、手順も確認して、請求の仕方も読んでと、思ったよりもたいへんです。
とくに市をまたいでの丹波市の妊婦さんへの手続きがたいへんでした。
同じ保健所管内なのに、融通が利かないものですね。

さて、ここからが今日の本題です。
毎年、今頃の時期になると、近隣の病院から診療案内という本が送られてきます。
ここには前年の手術の成績などが詳しく書かれているのですよ。
それによると県立丹波医療センターの1年間の分娩数は299人でした。
タマル産が166人でしたから、倍近くですね。

その中で帝王切開をされた女性は84人で、28%。
タマル産では3人だけで、2%弱です。
タマル産も28%だったなら、46人の方が帝王切開になっていたはずで、43人の女性の帝王切開を防げたという計算になりますよ。
帝王切開は緊急だと22万2千円プラス薬代などがかかりますから、これだけで1千万円くらいの医療費が節約されています。
医師の数もタマル産は1人ですが、医療センターは6人ですから、1億円くらい余計にかかっていますね。
もちろん婦人科の治療も有るでしょう。
助産師さんの数も5倍くらい多いでしょうから、さらに1億円くらい人件費がかかっていますよ。

医療費をかけた分、それだけ安全になっていれば問題は無いのでしょうけれど、
帝王切開をするとやはりそれだけ合併症が増えます。
輸血をする女性も多いのですよ。
タマル産では輸血を必要とする女性は2年に1人くらいですが、医療センターでは年に数人でしょう。

どれだけ丹波篠山市のお産における医療費の効率が良いか、ということを考察してみましたよ。
普通はこれだけの成績を出すには、年間であと2億円はかかるということですからね。
ですが丹波篠山市ではお産をしない産婦人科に巨額の助成が降りているので、やはり無駄が多いかもしれませんが。

追記:
解熱鎮痛剤のアセトアミノフェンは妊婦さんでも使用しても良いとされますが、弱いながらもプロスタグランジン抑制作用が有り、胎児への影響は危惧されるので、禁忌ではありませんが、おすすめできるものではありません。

授乳婦へのワクチンは米CDCや日本産婦人科学会で推奨となっているものも有りますが、薬の添付文書には有益性投与となっています。
妊婦の場合は産む場所が無くなる、重症化しやすい、早産のリスクに伴う児への影響などの問題が有り、推奨されるものですが、
授乳婦の場合はそういった状況にはありません。
また乳汁中への薬の移行は少ないとされていますが、半減期が短い薬なので、少しの間授乳を回避することはおすすめできる方法だと考えます。


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