連休はお疲れだったことでしょう。
妊婦の皆さんは、遠出はしていませんか。
タマル産では連休の間も連日、赤ちゃんが生まれていましたよ。
最近のお父さんは優しい方が本当に多いのです。
さて、休みが終わった後は、また通常通り、優しく知識をつけていきましょう。
参考になれば幸いです。
水曜日ですから、久しぶりに婦人科のお話です。
でも婦人科の病気って、そんなに種類が無いのですよね。
例えば皆さんが恐れているであろう、「婦人科癌」についてはどうでしょう。
先日お話したように、婦人科の癌の中で一番多いのは、実は子宮体がんです。
そして次に多いのが子宮頸癌です。
この事実は意外だったでしょう?子宮頸癌がいわゆる子宮がん検診の主体ですからね。
細かいことを言えば、子宮頸癌には
ヒトパピローマウィルスが関与している扁平上皮癌も有りますが、
関与していない子宮頸部腺癌というものが有るのだとか、
子宮体がんには子宮体部肉腫という癌ではないけれど悪性度の高いものだとか、
他にもいろいろ有りますよ。でもそれは稀ですから。
その次に多いのが卵巣癌ですね。
一口に卵巣癌と言っても、卵巣の癌はたくさん種類が有ります。
だって卵巣には人間の卵も有れば、卵を護る間質の細胞も有りますし、
卵巣の表面の皮である細胞も有るのですから。
卵にできる腫瘍なんて、それこそいろんなものが有りますからね。
卵は何にでもなれるわけですから。
話が逸れそうですが、次に多い癌は外陰癌、そして膣癌です。
そんなの、聞いたこともないでしょう。
今日はその外陰癌のお話です。
外陰癌は天理に居た4年間で、2人の患者さんの主治医になりました。
今でももちろん覚えていますよ。滅多にない癌ということも有りますが。
1人は若い産後の方でした。
外陰部の広い範囲に黒っぽい色の変化が有るのです。
染色液を付けるとその境界が、まだら模様に分かるのです。
これは上皮という皮の部分の表面の中だけに、横に広がる癌なのです。
別名をボーエン病といいます。
原因はこれも子宮頸癌と同じで、ヒトパピローマウィルスの性行為での感染です。
治療は大陰唇も小陰唇も、回りの皮膚も全部取ってしまうのです。
のっぺらぼんになってしまいますよ。不謹慎でしたか。
そしてもう1人の方は、外陰部から膣にかけての悪性黒色腫瘍という病気でした。
悪制度は高いのですが、治療によく反応されて良かったです。
インターフェロンベータの注射がよく効きました。
放射線療法を追加して、最後に手術で残りを切除しました。
手術では皮弁(ひべん)と言って、太ももの筋肉を血管を付けたまま延ばして来て、
外陰部のそげてしまった所に移植するということもしました。
その後順長に回復されて、もちろん感謝していただき、長い間年賀状なども来ていました。
心配しておられたご主人の方が先に他界されましたよ。今はまた一緒になられているかな。
天理よろづ相談所というところは大学病院顔負けに研究が盛んなところで、
標本もたくさん有りました。
私が居たより前の、数十年に渡っての外陰部の癌の顕微鏡標本が揃っていたのです。
私はこれを機会に、外陰の癌の標本を特殊染色で、
ヒトパピローマウイルスが居るかどうか調べたのです。
結果はその殆どにウィルスが染色されました。
つまりは子宮頸癌だけでなく、外陰癌も同じ原因でなるということだったのですね。
このことはまだ世間ではあまり認識されていませんが、
私は25年ほど前に発表しているのですよ。
外陰部の癌は子宮がん全体の1%ほどの癌ですが、
子宮頸癌との関わりで、これから注目されていくんじゃないでしょうか。
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連休中に生まれた赤ちゃんたちです。
追伸:たびたび訂正をしてお詫び申し上げます。
5月のお誕生会は再々日程がかわりまして、最終案内では、
来週の5月16日の金曜日となりました。時間は14時10分から1時間ほどです。
お間違えのないよう、お願いします。