タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

常位胎盤早期剥離が続きました

2019-06-24 21:00:27 | 産科
写真は、伊丹市の瑞和(みお)ちゃん、5月15日生まれ。
「穏やかに、みんなを和ませられる子に育ってください。
自然分娩の方が楽だな、と思いました。
皆さんとても優しく、楽しい入院生活でした。」

2人目ですが、さかごで帝王切開を選択されたからですね。
実は来週も、初めてのお産でさかごのお母さんの帝王切開が決まっています。
最近は、さかごなら帝王切開するご両親が増えてきましたよ。
ただし希望が有れば、タマル産では、初めてでも、経膣分娩に付き合いますからね。

さて、今日の話題は常位胎盤早期剥離という病気についてです。
久しぶりに出会ったのですが、2件も続けて起こったものですから。
滅多に起こる病気ではないのですけれどね。

胎盤はたいてい子宮の奥の方に貼り付いています。
そこからへその緒が延びて、胎児のおへそに繋がっています。
胎児の首にへその緒が巻いていると、引っ張れて、お産の前に剥がれてしまうことが有るのですよ。
胎盤が1/3以上剥がれてしまうと、胎児が亡くなってしまいます。

ただし、そこまでひどく剥がれることは滅多に有りません。
ですがごく稀には起こりますよ。
それは予測不可能です。
妊娠中で、陣痛が無い時期でも剥がれてしまうことが有るのです。
それはへその緒が3回以上も巻いていると、リスク大ですね。

今回の常位胎盤早期剥離は、胎盤の端っこの方だけが剥がれていただけだったので、
急いでお産にすることで、どちらの赤ちゃんも元気に生まれました。
元気かどうかは、すぐに元気良く泣くかと、ダラッとしていないかで分かります。
さらにへその緒の血液検査で分かるので、必ず検査していますよ。

なぜ生まれる前に常位胎盤早期剥離が疑われたかと言えば、
生まれる前には膣からはあまり出血はしないものなのに、
だらだらと出血しだすから疑うのです。
経験の多い産婦人科医なら、予想が付くものです。

そんな時は大きな病院なら、ゆっくり超音波検査をして診断を付けて、帝王切開するのでしょう。
ですが、早く産ませてあげることで、治療になるのですよ。
タマル産ではそんなところが大きな病院とは治療方針が異なります。
もちろんまだまだ生まれそうになければ、帝王切開することも有りますからね。

原因としてはへその緒が原因ということが一番多いのです。
ただ他にも原因は有ります。
妊娠高血圧症候群など、胎盤の働きが悪くなる病気が有ります。
そうすると胎児はあまり育たないので、小さいです。
胎盤の働きが悪いと、胎児が生まれる前に剥がれたりすることが有るのですね。

今回の1人のお母さんは妊娠高血圧症候群ではなかったのですが、
再三の注意にも関わらずタバコを吸っておられて、胎児も小さく、胎盤の働きが悪かったのでしょう。
子宮口が7センチくらい開いたところで出血し出したので、
すぐにお産にもっていきましたよ。

もう1人のお母さんは、妊娠中からノンストレステストで、へその緒が引っ張れている所見が有ったのです。
それでも陣痛が始まらないとどうなるか分かりませんからね。
経産婦さんだったので、この方も、手助けしてあげることで、
すぐに生まれたので、赤ちゃんは元気でしたよ。

ということで、帝王切開になりそうなお母さんを、2人救うことができましたよ。
もちろん、可能なら帝王切開なんてしない方が良いのに決まっていますからね。

ついでに注意点を挙げるなら、
常位胎盤早期剥離の時は、産後の出血が多く、
場合によってはDICという合併症を起こして、血が固まらなくなることが有ります。
そんな時は緊急で赤血球と血漿の輸血が必要になるのですよ。
だから今回も、産後の出血にはとても気を使いましたからね。

***
愛とは、私の心と体が自動的に1つになるその中心の柱です。
個人、家庭、氏族が同じ点、国家、世界、神様が同じ中心、1つの柱に位置します。
その中心は動きません。
ですから真の愛の場は永遠の定着点です。

   レバレンド・ムーン

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